ちょうど去年の今ごろ、愛車にスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)を装着してその効果を知った俺───ダンロップのDSX-2で冬の道路を走ったが、もうホッント~に安全に走れたのだ。とくに凍結路。タイヤがギュッとグリップするのを体感できてプチ驚いたものだ。
ただ、スタッドレスタイヤがなぜ凍結路面に効果があるかを、シクミとして明確にはわかっていなかった。シクミ知らなくても効果が得られればいいじゃん……てのも、なーんかスッキリしないし納得がいかない。
てなわけで「スタッドレスタイヤはなぜ滑りにくいのか?」を、俺的手法で実験&調査してみる。そしてその全貌を一気にご紹介してみたい!!
さて、実験の前に、そもそも氷の上だとなぜタイヤが滑りやすくなるのか? 滑る原因は何か? 現在でも諸説あって「これが正解」という明確な原因が見つかっていないそうだが、そんななかでも「摩擦融解説」がもっとも有力な説だと言われている。
具体的には、クルマが走行するときにタイヤと氷面の間に摩擦熱が生じ、この熱で氷表面が溶けて水膜ができる。タイヤと氷の間に水の層ができちゃうんですな。この層がタイヤ/氷面間のグリップを妨げるため、タイヤが滑りやすくなるというわけだ。
ちなみにこの説だけで「氷の上のモノが滑りやすくなる現象すべてを説明できるわけではない」のだが、しかし、タイヤと氷の間にある「水膜」が、タイヤが滑りやすくなる原因であることは明らか。この「水膜」をいかに「排除」するかが、スタッドレスタイヤの善し悪しを決める大きな要素となることも明白だ。
てか、冬の道路の氷はヤバイ!! と思っていたが、タイヤを滑らせていたのは水だったのか~。確かに、表面が濡れていない氷って滑らないもんネ。ともあれ、凍結路面の上でタイヤが滑りやすくなる理由がわかったところで、早速実験に取りかかろう♪
実験をするには、対象をしっかり観察せねばならない。観察対象となるスタッドレスタイヤは、去年の俺に大量の安心感を与えてくれたダンロップのスタッドレスタイヤDSX-2!! まずはコイツをジックリとイジってみることに。
タイヤを触り始めてすぐ気づいたのは、スタッドレスタイヤのざらざら感。通常タイヤ(夏タイヤ)と触り比べると明らかにざらざら!! いかにも摩擦係数がデカそう!! ……もしかして、拡大するとそのざらざらのヒミツが見えるのだろうか? DSX-2には、えーと、確かテトラとかファイバーとかいうヒミツの素材が入っていたハズ。よっしゃパソコン連動のマイクロスコープでそのヒミツを目視するゼ!!
と、テンション上げてスタッドレスタイヤ表面を観察してみた結果がこれだ!!
◆最初の実験は、パソコン連動のマイクロスコープでの目視だが…… |
いくら見比べても違いらしきモノは見当たらず。こりゃ実験としてスベったか? そこでタイヤセレクト久が原の副店長さんに訊いてみた。「ねえちょいとお兄さん、なんで見えませんかね、DSX-2のヒミツ」と。
なるほど、ほうほう、DSX-2のざらざらのヒミツは、ハイパーテトラピック、ビッググラスファイバーなどの独自素材だそうだ。
ハイパーテトラピックは、鋭い4本の足を持つ単結晶針状セラミック。そのサイズは40μmほど。つまり、0.04ミリメートルといった大きさ。なーんだそれじゃあ俺の秘密兵器ことお手軽激安USBマイクロスコープじゃ見えないネ。ガックシ。なお、ビッググラスファイバーは太さ0.033×長さ0.05ミリメートルほどの突起。これもやっぱり見えないっす。
◆ハイパーテトラピック(約40μm) | ◆ビッググラスファイバー(太さ約33μm 長さ約50μm) |
ところで副店長、ハイパーテトラピックやビッググラスファイバーって、どんなふうに「タイヤを滑りにくく」しているんスか?
「DSX-2の場合、まずシリカ撥水ゴムなどでタイヤと氷面の間の水膜を弾き飛ばします。同時にミウラ折りサイプでブロックの倒れ込みを抑えて、タイヤと氷面が直に接触する部分を増やすんです。その接触面で、ビッググラスファイバーによるミクロレベルのひっかき効果が生じます。氷面にビッググラスファイバーが突き刺さるイメージですね。さらに忍者が使うまきびしのような形のハイパーテトラピックが氷面をひっかきますので、粘り強くグリップするというわけです」
◆ミウラ折りサイプ | ◆指でめくってみた | ◆ミウラ折りサイプの剛性原理 |
なるほど!! ハイパーテトラピックとかビッググラスファイバーって、その素材自体がグリップするためのものなんですな!! だから指で触っただけでもざらざら感が。うーむ去年のDSX-2体験をシクミ的にも理解。だ~から氷結路面でもギュッとグリップしてくれたのか~。
タイヤをさんざんイジっていて感じたのだが、通常タイヤ(夏タイヤ)と比べてスタッドレスタイヤ(冬タイヤ)はミョーに柔らかい気がする。きっと路面としっかり接触するために柔らかいのだと思うが、ホントに柔らかいのか? また、真冬の厳寒な環境下でも柔らかいのか? 寒くてゴムが硬くなって……冷えて硬くなったタイヤって滑りやすそうだ。そのあたりを実験してみた。
まずはタイヤの表面温度を計測。秋口の暖かな日だったので22℃だった。この状態でタイヤの硬さを硬度計にて計測した結果がコレだ!!
◆タイヤ表面は22℃ | ◆ゴムの硬さを硬度計で測るのだ!! |
通常タイヤであるエナセーブ EC202が58に対し、スタッドレスタイヤであるDSX-2の硬度が46。やっぱりDSX-2のほうがかなり柔らかいんですな。
次っ!! これをドライアイアイスで冷やすのダ!! ドライアイスの氷面温度はだいたい-80℃くらい。シベリアより冷え冷えなわけですよ。そういう厳寒環境下、スタッドレスタイヤはどうなるのかっ!?
◆ドライアイスで冷やし中。 よいこはまねしないように。 | ◆かなり冷えた感じ! | ◆ドライアイスで冷やしたら、なんとマイナス24.7℃! |
結果、スタッドレスタイヤDSX-2の表面にドライアイスを数分置き、タイヤ表面が十分冷えたところで硬さを計測。数度計測したが、通常タイヤがピークで80程度とチョー硬くなったのに対し、チョー冷やしたDSX-2の硬度は46~48くらい。表面温度が22℃でもシベリア激寒温度のマイナス80℃でも、硬度がほとんど変わらないのかッ!! DSX-2、すすすスゴいかも!!
やっぱりスタッドレスタイヤは柔らかさが命なんでしょうか、副店長? 「スタッドレスタイヤに必要な要素はいろいろありますが、DSX-2の場合は温度変化によるタイヤの硬度変化が起きにくい設計になっています。柔らかいことも大切ですが、グリップ力が温度変化で変化しにくいというところがポイントですね」
なるほど。じゃあ夏も冬もスタッドレスなら安定したグリップが得られたりします? 「いえ、スタッドレスタイヤはあくまでも冬専用。まず通常タイヤより減りやすいので、冬場以外に使うのはモッタイナイです。それと、たとえばDSX-2の場合は雪を掻き分けたり水膜を弾き飛ばしたり、さらに氷面をひっかいてギュッとグリップする性能は非常に高いのですが、通常タイヤと比べると雨の環境では劣ります。そのため雨天時には通常タイヤより滑りやすいんです。これはほかのスタッドレスタイヤも同様ですが、やはり凍結路や雪路のためのスタッドレスタイヤということですね。冬シーズンが終わったら通常タイヤへの早めの交換をお薦めします。」
ふむふむ。スタッドレスタイヤの「滑らないシクミ」についてさらに理解が深まった。さらに、俺愛用中のDSX-2には独自のシクミがあるというので調べてみた。
まずはトリプルフェイスパターン。DSX-2は凍結路面などでのグリップ性能が非常に高いが、雪道でのハンドリング性能も良好。これを実現しているのが「剛性が違う3種類のブロックによるタイヤ表面パターン」だそうだ。
具体的には、タイヤ外側(ショルダー部)が高剛性で、この部分で直進安定性を高めている。その内側(ミドル部)は柔らかくて排雪性能が高い。そして中央(クラウン部)は高剛性で、良好なハンドリング性能をもたらしているという。
また、ブロックサイズを測ってみたら、それぞれのブロックの大きさが微妙に異なっていた。ブロックの大きさを敢えて変えることで、走行時のノイズを大幅に抑えているんだそうだ。いろいろなシクミが詰まってるんですな。
タイヤにノギスを当てていて気づいたが、DSX-2、各ブロックに浅い溝がたくさん入っている。コレって、ナニ?
「これはファインウェーブグルーブですね。トレッドの表面に細かい溝を設置することによって新品時から氷上のグリップ性能を発揮できるようにしています。また波のような形状に溝を配置することで、色々な方向のすべりに対応しています。」
スゲ!! 芸が細かい!! だから去年のアイスバーンでは超安心&安定して走れたのか!! イカスぜDSX-2!!
そうか、つねに十分接地してグリップ力を維持するのか。てコトは、通常タイヤとスタッドレスタイヤ、そもそも接地面積が大きく異なったりするのか? ぜひ調べていきたい!!
と言っても、タイヤは接地して荷重がかかればゆがんで型も変わるので、見ただけではわからない。そこで実際に組み付けて「タイヤ拓」を取ってみることに。
アレですよ、タイヤにインクを塗ってですね、紙にペタリと。もちろん俺の愛車にタイヤを装着して、インク塗って、ペタリ。これなら実質的な接地面積がバッチリわかるハズ。なおこの実験、DSX-2とエナセーブ EC202を使って比べて行った。また、両タイヤは同じサイズ、同じ空気圧にし、クルマの同じ位置に取り付けて実験した。
結果、明らかにDSX-2のほーが接地面積が広い。とくにショルダー部までシッカリと接地していることがわかる。通常タイヤのほうはショルダー部はさほど強く接地していないようだ。また、両タイヤのパターンから、通常タイヤは雨を逃がしやすい構造で、スタッドレスタイヤはとにかく雪や氷をグリップしそうな構造だということも見えてくる。
……でまあ、見たり調べたりしてくると、確かにDSX-2のほうが氷結路面でのグリップ力が高いという「シクミ」はわかるのだが、通常タイヤと比べて実際のところどーなのか? 今スグここで比べた~い!! 神様~今スグ路面凍らせて~、てなわけにも行かないので、デカい氷を買ってきて、その上で通常タイヤとスタッドレスタイヤの滑りやすさを比較してみた。
その結果、マジで驚いちまった俺なのであった!!
てのは、まず、氷の上で通常タイヤ、スベりまくり!! ツルっツル!! こんなんで氷結路面走ったら……本気でヤバい!! おーいみんな~、真冬の通常タイヤ、チャレンジ精神旺盛すぎで命がけだし大迷惑だからヤメようね~。
一方、DSX-2は、これがまた凄いグリップ力。氷がゴリゴリ削れていく!! 氷表面に鋭い傷が入りまくり!! 明らかにDSX-2が氷表面をひっかいていることがわかる。 副店長、DSX-2凄いっす!! 全然スベらないんですけどコレ!! 「先ほども少しご説明しましたが、DSX-2の場合、氷上でブレーキをかけるとまずシリカ撥水ゴムが水膜を弾き飛ばします。次にミウラ折りサイプがブロックの倒れ込みを抑えて路面との接地面積を拡大します。同時にビッググラスファイバーやハイパーテトラピックが表面をひっかいてグリップ。その氷の実験でもまさにこれと同じことが起きているんですよ。ただ今回の実験は新品タイヤを手の力だけで行っているので 実際はサイプによるエッジが効いているんですが、それだけでも通常タイヤとのグリップ力の違いを充分に体感出来たと思います。」
ありがとうございます~今回イロイロ超よくわかっちまいました~スタッドレスタイヤのシクミ。
こんな単純おちゃめな実験で最初は比較出来るのか???と思った拙者であったが、結果的にスタッドレスタイヤをより深く体感し理解できて満足。DSX-2とか調べてると、ほーんとに「滑りにくいシクミ」が随所に仕込まれていることがわかる。そして実際、ホントに滑りにくい。てなわけで冬を安全に走るために、やっぱり絶対スタッドレスタイヤですよ皆さん!!
あと、今、DSX-2を見に行くとお得が。全国のタイヤ販売店やダンロップ直営店「タイヤセレクト」「タイヤランド」の店頭に、スタッドレスタイヤDSX-2の性能体感コーナーがあるんですな。DSX-2ザラザラ感などを実際に体感できる展示だが、そこで「もらえるダンロップ!」なるキャンペーンをやっていてバンダイ社製「ダンロップオリジナル ハイパーヨーヨー」のプレゼントに携帯があれば誰でも応募できる。抽選で5555名がハイパーヨーヨーをゲット!! ハズレた場合でも翌日になればまた応募権利が発生するので毎日応募することも可能!!
応募期間は2012年1月31日まで!! さぁDSX-2のざらざら触って応募してハイパーヨーヨーゲットだぜ~、みたいな。ゼヒ♪
◆今回拙者がやった実験を、店頭でも体験できる! | ◆「ダンロップオリジナル ハイパーヨーヨー」のプレゼントに応募しよう!! | ◆誰でも応募できて5555名にプレゼント!! |
(スタパ齋藤)