デルのメインストリーム向けノートPCの新モデル「New Inspiron 15R」が登場。従来モデルから様々な点でパワーアップを実現しながら、安価な価格が維持されており、従来以上に魅力的な製品に仕上がっている。

◆必要な機能が全て揃ったメインストリームノート

DELL New Inspiron 15R

 New Inspiron 15Rは、従来モデルのInspiron 15Rをベースに、様々な点をパワーアップした新モデルだ。まず、最も大きなパワーアップポイントは、なんといってもCPUで、コードネーム「Sandy Bridge」でおなじみの、第2世代Core iシリーズが採用されている。これにより、CPU処理能力が向上しているのはもちろんのこと、CPUに内蔵されるグラフィックス機能も大きく強化されている。第2世代Core iシリーズに内蔵される「Intel HD Graphics 3000」は、エントリークラスの外部GPUを凌駕する2D/3D描画能力を誇っており、軽めの3Dゲームも快適にプレー可能だ。後ほど紹介するが、搭載CPUはCore i3、Core i5、Core i7から選択可能だ。

 クアッドコアCore i7を搭載する上位スペックモデルでは、外部GPUとしてGeForce GT 525Mが搭載されるようになった。これにより、3Dゲームはもちろん、3Dグラフィックスを扱う様々なソフトを快適に利用可能となる。ここまで来ると、もはやメインストリームを凌駕するパワーを備えると言っていいかもしれないが、予算や用途に応じて、自在にスペックを選択できるという点も、New Inspiron 15Rの魅力のひとつだ。

 また、無線機能も充実しており、IEEE 802.11b/g/n対応の無線LANと、Bluetooth 3.0+HSが標準搭載される。そして、無線LANは「インテル ワイヤレス・ディスプレイ」機能に対応しており、テレビに専用アダプタを取り付けることで、PCの映像を無線LANを利用してテレビに転送し表示が可能となっている。デジカメ写真や動画を、大画面テレビで楽しみたい場合などに重宝する機能だ。

 基本的なスペック面だけでなく、側面に用意されているポート類も強化されており、最も大きな強化点となるのが、本体背面および右側面に1ポートずつ、計2ポートのUSB 3.0ポートが標準で用意されている点だ。USB 3.0は、データ転送速度が最大5Gbpsと、USB 2.0の10倍以上高速で、HDDやSSDを接続した場合でも、内蔵ドライブとほとんど変わらない速度で利用できる。インテル製チップセットでは、USB 3.0が標準でサポートされておらず、外部コントローラによる増設が必要なため、安価なノートPCでは採用されないことが多い中、New Inspiron 15Rで標準搭載されている点は、他の製品に対する大きな優位点と言える。もちろん、従来モデルに用意されていた、eSATA/USB 2.0共用ポートやHDMI出力、7種類のメモリカードに対応する7 in 1メディアカードリーダーなどもしっかり受け継がれている。

本体正面。ラッチレス構造で、すっきりとした印象が強い
左側面。高さは、31.37〜35.2mmと、このクラスのノートとして標準的だ
背面。中央部にはバッテリーが取り付けられている
右側面。光学式ドライブはこちらに内蔵されている
天板部分。フットプリントは376×260.2mm(幅×奥行き)。15.6型ワイド液晶搭載ノートとしては、標準的なサイズと言える
左側面には、USB 2.0×1、HDMI出力、eSATA/USB 2.0共用ポート×1、7 in 1メディアカードリーダーを用意
背面には、ギガビットイーサネット、USB 3.0×1、アナログRGB出力、電源コネクタを用意
右側面には、ヘッドホン出力、マイク入力、USB 3.0×1を用意
安価なノートながら、USB 3.0を2ポート標準で用意している点は大きな魅力だ

◆15.6型の大型液晶と高音質スピーカでAV用途も満足

 搭載される液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の、15.6型ワイド液晶だ。パネル表面は光沢処理が施されているので、外光の映り込みは若干気になるものの、発色は非常に鮮やかで、表示品質はかなり高い。また、サイズも大きいため、迫力のある映像が楽しめる。

 表示品質に優れる大型液晶に加え、高音質スピーカーを搭載する点も見逃せない。New Inspiron 15Rには、本体手前下部に2W+2Wのステレオスピーカーが搭載されるが、SRS Premium Soundに対応することで、臨場感あふれる迫力のサウンドが再生される。実際に動画や音楽を再生させてみたが、このクラスのノートPCの内蔵スピーカーとしては、頭ひとつ飛び抜けたクオリティだと感じた。上位クラスのノートでは、より高品質なスピーカーを搭載する製品もあるが、それらと比べても遜色のないサウンドが再生され、かなり好印象。大型液晶と合わせ、AV用途やゲームなども大迫力で楽しめるはずだ。

液晶パネルは、1,366×768ドット表示対応の15.6型ワイド液晶を採用。光沢パネルなので、発色が非常に鮮やかだ
液晶パネル中央上部には、約100万画素のHD Webカメラを搭載。横の穴はマイクだ
本体底面手前側に、2W+2Wのステレオスピーカーを搭載。SRS Premium Soundによって、高品質スピーカー顔負けの迫力のサウンドが再生される

◆ユーザーが自在に天板を交換可能

 New Inspiron 15Rは、従来モデル同様、多数の天板カラーやデザイン天板が用意され、購入時に自由に選択可能となっているが、今回はそれだけではない。「Switch by Design Studio」と名付けられたシステムで、自分で天板を交換できるようになっているのだ。

 天板ヒンジ部に用意されているボタンを押しながら天板をスライドさせることで、簡単に取り外せるようになっている。そして、別途用意した天板に、簡単に交換できるのだ。

 用意されている天板は、標準のマーズ・ブラック以外に、ピーコック・ブルーとファイヤレッドの単色カラー天板、複雑な模様を持つデザイン天板など、全部で12種類用意されている。標準のマーズ・ブラックも、光沢ヘアライン仕上げで高級感があるが、他のデザインもなかなか魅力的。個別に購入できるので、季節や気分に応じて着せ替えを楽しむというのも面白そうだ。

標準のマーズ・ブラック天板だけでなく、様々なデザイン天板を用意
このように、天板は簡単に取り外せ、自由に交換可能となっている
ライン状の模様と鮮やかな紫色が特徴の「Horizontal Purple」
こちらは、幾何学的な模様が印象的な「Amira」。デザイン天板は全部で10種類用意されている

◆安価なエントリーパッケージでもパワーは十分

 デルの製品は、購入時に基本スペックを自在にカスタマイズできる点が大きな特徴だ。ただNew Inspiron 15Rでは、自在にカスタマイズが可能な「New Inspiron 15R 最新プロセッサーベーシックパッケージ」だけでなく、カスタマイズできる部分をメモリ搭載量や光学ドライブの種類などに限った、パッケージモデルが多数用意されている。

 今回試用したのは、49,980円と最も安価な価格が設定されている「New Inspiron 15R 最新プロセッサーエントリーパッケージ」であった。基本スペックは、CPUがCore i3-2310M(2.10GHz)、メモリ容量が標準で4GB、640GBのHDD、DVDスーパーマルチドライブ。安価とはいえ、これだけの基本スペックがあれば、Webアクセスやメールなどの基本的な用途はもちろんのこと、Officeをはじめとするビジネス系ソフトも軽々動作する。加えて、Core i3-2310M内蔵グラフィック機能のIntel HD Graphics 3000には、HD動画再生支援機能だけでなく、H.264形式などの動画エンコードを非常に高速に行える、「クイック・シンク・ビデオ」機能が用意されており、AV用途にも楽々対応。5万円を切る安価な製品ながら、申し分ないパフォーマンスが備わっているのだ。

 ちなみに、「New Inspiron 15R 最新プロセッサーベーシックパッケージ」では、CPUとしてCore i5-2410Mや、クアッドコアのCore i7-2630QMを選択したり、Core i7-2630QM選択時に限られるが、外部GPUとしてGeForce GT 525Mも選択可能。ちなみに、Core i7-2630QMに6GBのメモリ、外部GPU、ブルーレイドライブを選択した場合でも、今なら90,535円と10万円を大きく下回る価格で購入できる。ハイエンドノートに匹敵するスペックを実現しても9万円強で購入できるという点は、非常に大きな魅力と言える。

 また、New Inspiron 15Rはモバイル用途のノートPCではないものの、省電力モードに設定することで、バッテリー駆動時間が比較的長く確保されている。実際に試用機でテストしてみたところ、無線LANを利用したWebアクセスを連続に行わせた状態で約4時間49分であった。これだけの駆動時間があれば、家の中で移動して利用したい場合でも、ACアダプタを持ち歩く必要はないだろう。

メインメモリは標準で4GB、オプションで最大6GBまで増設可能。メモリスロットには底面からアクセスできるので、自分で増設することも可能だ
光学式ドライブは、標準ではDVDスーパーマルチドライブが搭載されるが、オプションでブルーレイドライブも選択できる
キーボードはアイソレーションタイプで、テンキーも備える。キーピッチは19mmフルピッチで、非常に扱いやすい
ポインティングデバイスのタッチパッドも面積が大きく、扱いやすい
キーボードのファンクションキーの列には、無線機能のON/OFFやタッチパッドのON/OFF機能などが割り当てられている
タッチパッドをOFFにすると、上部LEDがオレンジ色に光る。外付けマウス利用時などに便利だ
キーボード右上には、液晶の明るさやボリュームなどの調節や各種設定が行える「Windowsモビリティセンター」や、専用サポートツール「Dell Support Center」を呼び出したり、液晶表示をオフにするボタンが用意されている

◆コストパフォーマンスに優れるメインノートを探している人にオススメ

 New Inspiron 15Rは、エントリーパッケージで5万円を切る価格と、非常に安価な製品ではあるが、メインストリームノートとして十分に満足できるスペックが備わっており、他の製品を圧倒するコストパフォーマンスが実現されている。それでいて、自由なカスタマイズも可能で、ハイエンドノートに匹敵するパワーを実現できる点も嬉しい。さらに、自分で天板を交換できる「Switch by Design Studio」も、見逃せない特徴だ。そのため、コストパフォーマンスに優れるメインストリームノートを探している人にはもちろん、天板を交換してデザインの変化も楽しみたいという、見た目にもこだわりたい人にオススメしたい製品だ。

※2011年7月29日より「New Inspiron 15R」は「Inspiron 15R」に名称変更いたしました。

  [Text by 平澤 寿康]

New Inspiron 15R
第2世代CPU搭載。カラフルな次世代のメインストリームノートパソコン

■関連情報
□デル株式会社
http://www.dell.co.jp/

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