デルのエンターテインメントノートシリーズ「XPS」シリーズの最新モデルである「XPS 15z」。XPSシリーズの中でも、上質なデザインと優れた機能を両立させた、プレミアムモデルとして位置付けられている製品だ。

◆15.6型液晶搭載ノートとして世界最薄クラス

DELL XPS 15z

 XPSシリーズのノートPCは、最新のCPUをはじめ様々な高性能パーツの詰め込まれた、パフォーマンスに優れるノートPCシリーズだ。それに対しXPS 15zは、XPSシリーズらしい高性能さはそのままに、本体のデザイン性を高めたプレミアムモデルとして位置付けられている。実際に本体を見ると、これまでのデルのノートPCとはかなり違う印象を受ける。その最大の要因となるのが、ボディが非常に薄いという点だ。XPS 15zの高さは、わずか24.68mmしかない。これは、15.6型液晶を搭載するノートPCとして世界最薄クラスである。このボディの薄さによって、スタイリッシュな印象が強まっているのだろう。

 ボディが薄いだけでなく、デザインも非常に上質だ。アルマイト加工の施されたアルミニウム素材を採用する本体は、すっきりとしているだけでなく、これまでのXPSシリーズ以上に高級感が感じられる。また、キーボード面にはマグネシウム合金を採用してメタリック調の塗装が施されており、液晶部分を開いた状態でも安っぽい印象は全くない。さらに、背面の空冷ファンの排気口や底面の吸気口、キーボード左右のスピーカー部分などは、一般的なスリット状ではなく、独特なメッシュ状となっており、細かな部分までデザイン性が追求されている。まさに、プレミアムと呼ぶに相応しいデザインが実現されていると言っていいだろう。

 XPS 15zは、モバイル用途をターゲットとした製品ではない。とはいえ、本体の薄さはいろいろなメリットがある。例えば、デスクの引き出しに収納する場合でも、薄い引き出しに余裕で入れられる。また、本体が薄いことで、重量も約2.51kgと、このクラスのノートPCとしてはかなり軽くなっておりリビングルームや書斎など、家庭内で持ち運んで使いたい場合でも、楽に持ち歩ける。もちろん、デザイン性に優れるので、リビングルームでも違和感なく利用できるだろう。

本体天板部分。アルマイト処理の施されたアルミニウム素材を採用し、すっきりとした中に高級感が感じられる
本体正面。正面もすっきりとしたデザインとなっている
左側面。高さは24.68mmと、15.6型液晶搭載ノートPCとして世界最薄クラスを実現。本体部分はもちろん、液晶パネル部も非常に薄いことがわかる
背面。中央のメッシュ部分は冷却ファンの排気口だ
排気口は、一般的なスリットではなく、独特なデザインのメッシュ構造となっており、デザイン性に優れる
右側面。デザイン性を崩さず、薄型化を実現するためにスロットインタイプの光学式ドライブが採用されている
キーボード面やパームレスト部はマグネシウム合金を採用しメタリック塗装が施され、液晶を開いた状態でも高級感がある
キーボード側面のスピーカー部も、独特なメッシュ構造となっている

◆15.6型高品質液晶やバックライト付きキーボードを搭載

 液晶パネルは、15.6型のワイド液晶を搭載している。表示解像度は、評価機は1,366×768ドット表示対応だったが、1,920×1,080ドットのフルHD表示に対応するパネルを選択することも可能。1,366×768ドット表示対応のパネルを選択して価格を抑えてもいいし、フルHD液晶を選択して広大な解像度での表示を実現してもいい。用途に応じて自由にスペックを変更できる点は、デルの製品らしい特徴だ。

 液晶パネル表面は光沢処理が施されているので、若干外光の映り込みは気になるが、非常に鮮やかな発色が実現されている。デジカメ写真なども高品質に表示してくれる。もちろん、DVDビデオやWeb動画なども、美しく表示されるのはもちろん、15.6型とサイズも大きいため迫力がある。

 キーボードは、他のXPSシリーズ同様、キーの間隔が開いた、いわゆるアイソレーションタイプのキーボードを採用している。一般的なアイソレーションタイプのキーボードのように、キートップが平面になっているのではなく、わずかな凹凸が施されているため、指にしっくりなじみ、なかなか扱いやすい。

 また、このキーボードにはバックライトが取り付けられており、キートップの表記が明るく浮かび上がるようになっている。暗い場所で利用する場合でも、キーボードバックライトのおかげでキー入力も楽々行える。バックライトの明るさは2段階に調節可能だ。

試用機では、1,366×768ドット表示対応の15.6型ワイド液晶が搭載されていた。光沢パネルで発色は非常に鮮やかだ。オプションで、フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応のパネルを選択することも可能
液晶パネル上部には、130万画素のWebカメラを搭載。左右の穴はマイクだ
Webカメラを利用して、顔認証ログインや、本体前に利用者いるかどうかを検知し、利用者がいなくなると自動的に画面をオフにしたりスリープに以降させる機能も搭載している
アイソレーションタイプのキーボードを搭載。Enterキー付近の一部のキーでピッチがやや狭くなっているが、キートップに微妙な凹凸が施され、一般的なアイソレーションキーボードより手にしっくり馴染んで使いやすい
キーボードにはバックライトが搭載されており、キートップの文字が明るく浮かび上がる。これなら、暗い場所での利用も快適だ
ポインティングデバイスのタッチパッドは、面積が広く、マルチタッチによるジェスチャ機能にも対応し、こちらも使いやすい

◆スペック面は十分でバッテリー駆動時間も長い

 XPS 15zは、単なる薄型軽量でデザイン性に優れるだけのノートPCではない。XPSシリーズの優れた性能面もしっかり受け継がれている。

 搭載されるCPUは、インテルの第2世代Coreプロセッサシリーズのデュアルコアモデルとなる、Core i5-2410MまたはCore i7-2620Mだ。CPUの動作クロックはクアッドコアCPUより高く、処理内容によってはクアッドコアCPUを凌駕する性能が発揮される。

 また、グラフィックス機能は、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000に加えて、外部GPUとなるGeForce GT 525M(ビデオメモリは1GBまたは2GB)が搭載され、3Dゲームも快適にプレー可能。ハイエンドGPUではないため、描画処理の重いゲームのプレーは少々厳しいが、実際にベンチマークテストを実行したり、それほど重くないゲームをプレーしてみたところ、なかなか軽快に動作した。このクラスのノートPCとしては、十分に満足できる性能だ。そして、NVIDIA Optimusテクノロジにより、CPU内蔵グラフィックスと外部GPUが自動的に切り替わるようになっている。通常時はCPU内蔵グラフィックスを利用して消費電力を低減し、ゲームなど高い3D描画能力が必要な場合には自動的に外付けGPUが動作し快適なパフォーマンスが実現されるのだ。特にユーザーが切り替え作業を行う必要がない点も嬉しい。

 メインメモリ容量は、標準4GBで最大8GB。ストレージデバイスは、500GBまたは750GBのHDDと、スロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブが搭載される。無線機能はIEEE 802.11a/b/g/n対応の無線LANとBluetooth 3.0が標準搭載。また、USB 3.0ポートも搭載しているので、外付けHDDなども高速にアクセス可能だ。もちろん、これらスペックは購入時に自由にカスタマイズできるのは言うまでもない。

 ところで、大型のノートPCではバッテリー駆動時間が短いものが多いものの、XPS 15zでは大容量のリチウムポリマーバッテリーが内蔵され、最長で約8時間22分もの駆動が可能となっている。実際に省電力モードで連続してWebアクセスを行うテストを試したところ、約7時間11分の駆動が確認できた。今年の夏は、一層の節電対策が求められているが、これだけ長時間のバッテリー駆動が可能なら、ピーク時にバッテリーだけで運用することも全く問題がない。節電対策としてもXPS 15zはかなりオススメとなる。

通常時はCPU内蔵グラフィックス機能が利用されるが、3Dゲームなど優れた3D描画能力を必要とするソフトが起動すると、NVIDIA Optimusテクノロジーにより、自動的に外部GPUのGeForce GT 525Mに切り替わる
左側面には、HDMI出力、Mini DisplayPort出力、USB 2.0/eSATA共用ポート、USB 3.0ポート×2、9-in-1メディアカードリーダーを配置
9-in-1メディアカードリーダーは、SD/SDIO/SDHC/SDXCやメモリースティック、xDピクチャーカードなどに対応している
背面には、電源コネクタとギガビットイーサネットポートを配置
右側面には、ヘッドホン・マイク端子と光学式ドライブを配置
光学式ドライブは、スロットインタイプのDVDスーパーマルチドライブが搭載される

◆デザイン性に優れるノートPCを探している人にオススメ

 XPS 15zは、ハイエンドモデルのXPSシリーズに比べるとややスペックは落ちるものの、それでもエントリークラスのノートPCよりも十分に処理能力に優れ、そのうえでデザイン性に優れる薄型ボディが実現されており、非常に魅力的な製品に仕上がっている。販売価格は、今回試用したスペックで99,980円と10万円を切っている。また、上位CPUやフルHD液晶を搭載したとしても、129,980円と十分に安価だ。スペック面はもちろん、デザイン性にもこだわったノートPCを探している人にオススメしたい製品だ

  [Text by 平澤 寿康]

XPS 15z
洗練も、先進も、すべてがこのノートブックの中に。

■関連情報
□デル株式会社
http://www.dell.co.jp/

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