現代人の財布から毎月継続的に、かつ、かなりの金額を吸い取っているものの筆頭に、「通信費」があるだろう。
固定電話の基本料と通話料、自宅ブロードバンドの回線料、ケータイの基本料と通話料とパケット通信料……。頭の中で軽く計算しただけでも、これらを毎月支払っているのだと考えて背筋が寒くなりそうだ。
固定電話、固定インターネット、ケータイと、それぞれの通信料金ごとに節約するテクニックもあるだろうが、劇的に安く!というわけにはなかなかいかない。だが、これらを「まとめ」ることで、大幅に通信料金を節約できる方法が登場した。それが、テレビCMなどでも最近よく目にする「auスマートバリュー」だ。これは、指定のCATV等が提供する固定IP電話&ブロードバンド、そしてauスマートフォンを組み合わせるだけで、スマホ通信料から大幅な割引を受けることができるサービスだという。
どうやら筆者最寄りのCATV局でも「auスマートバリュー」を受け付けているらしい。筆者は現在CATVには加入していないが、気になってCATVのWebサイトで調べてみたところ、「auスマートバリュー」の割引以外にも、通信料を節約するためのサービスが多くラインアップされているようで、興味がわいてきた。今回は、それらを活用して、月々の通信費用をグッと節約するためのテクニックを探ってみたい。
3月1日から提供開始された「auスマートバリュー」は、全国40数社のCATV事業者とKDDIの協業により実現したサービスだ。手っ取り早く言えば、「CATV提供の固定IP電話サービス」「CATV提供のインターネット接続サービス(※)」「auスマートフォン」の3つを契約することで、auスマートフォンの月額利用料金が最大2年間、月々最大1,480円安くなる、というものだ。(※)CATV各社が指定するインターネットサービス
(※)auスマートフォンの料金プランはISフラットまたはプランF(IS)シンプルが必要
例えば、対象CATVのひとつであるJ:COMを例にとれば、固定電話「J:COM PHONE プラス」、インターネット接続サービス「J:COM NET(40Mコースないしウルトラ160Mコース)」、そして「auスマートフォン(ISフラット またはプランF(IS)シンプル)」をセットで利用することで、auスマートフォンの利用料金から月々最大1,480円の割引が発生する。この割引期間は最大2年間続き、その期間が過ぎたあとは月々980円の割引となるものの、基本的に永続的な割引となるのがポイントだ。
さらに注目すべき点は、auスマートフォンを利用している家族、最大4人にも割引が適用される、ということ。家族4人なら1ヶ月あたり5,920円、最大2年間で142,080円もお得になるわけだ。
ちなみに、割引適用の条件になっている固定電話サービスもなかなかの優れものだ。J:COMだったら「J:COM PHONE プラス」だが、CATV各社では「ケーブルプラス電話」と呼ばれる、KDDIとの提携による固定電話サービスを指す。月額基本料金が安めな上に、ケーブルプラス電話とJ:COM PHONE プラス同士の通話が24時間、無料となる。
一家の家計を支える人も、携帯の使用料を安くしたいと考えている一人住まいや学生にとっても、かなり嬉しいサービスであることがわかるだろう。
さて、では実際どれだけお得感があるのか、筆者の環境を例にあげて検討をしてみたい。現在、筆者はauのスマートフォンを利用しているが、実際に、「auスマートバリュー」に申し込んだ場合をシミュレートしてみた。
まず筆者の場合、家庭の固定インターネット通信料プラス固定電話料金で、月々約6,200〜6,300円ほど。それに加えて、auスマートフォンの月額料金が、機種の割賦代金を除いて6,000円前後だ。合計で12,000円以上となる。毎月の通信費だけでも、なかなかの数字だ。
家族もauスマートフォンを利用しており、筆者をあわせて合計で3台。それぞれ、auスマートフォン利用料は私とだいたい同じ代金だ。
これが、「auスマートバリュー」に加入すれば、1人1,480円割引。家族3人なので1ヶ月4,440円の割引となる。これだけでも、さっそく申し込みたいくらいの割引率だ。
ただ、ここで気になるのは、現状の環境から固定電話+CATVインターネットへの移行である。ここで初期費用がかさんでしまっては、元も子もない。…が、そのあたりはしっかり考慮されているようで、調べてみたところ、「auスマートバリュー」のためにCATVを契約する場合は、基本工事費相当無料(※)を実施している事業者がほとんどのようで、さらに独自のキャンペーンを行っている事業者もいる。たとえばJ:COMの場合、初期工事費6000円が無料になるのに加え、さらにWeb申込みなどで商品券3,000円をプレゼントしている。(※)CATV各社によって異なります。
さて、実際に申し込む際には、各CATV事業者が提供する料金プランから選択することになるが、電話、インターネット、場合によってはケーブルテレビなどのサービスをまとめて契約することで割引が受けられる場合がほとんどだ。
J:COMを例にとると、見たところ筆者の環境に合っていそうなのが「J:COM NETパック 40Mコース」。下り最大40Mbpsの「J:COM NET 40Mコース」と「J:COM PHONE」がセットで4,725円(一定期間の継続利用が条件)と、現在の我が家の回線費よりも1,500円ほど安い。回線速度は下り40Mpbsと、高解像度の動画ストリーミングでも余裕がありそうだ。さらに、他社インターネットサービスからの乗り換えで合計10,000円分の割引も受けられる(月額料金から2,500円割引×4カ月)。
もしこのコースに筆者が乗り換えた場合、現在の月額通信費との差は、「J:COM NET 40Mコース」利用による差額1,500円と、auスマートバリュー割引(家族3人で4,440円)の合計で約6000円。さらに上記の乗り換え割引も含めれば、2年間で154,000円が節約できる計算だ。もし家族がもう一人余分にいて、月額1,480円の割引が受けられるならば、189,520円節約だ。これはすごい。おそらく、「通信料金を節約する」という目的にはもっとも沿っているだろう。
ほかにも、J:COMのおすすめプランとして紹介されているのが、「お得プラン160」。最大160Mbpsのインターネット接続サービスと固定IP電話に加えて、ケーブルテレビサービス「J:COM TV デジタル」がセットになったパックで、月額料金は9,500円(一定期間の継続利用が条件)。単体で組み合わせるよりも1,830円ほど安くなる。
実際のところ、「auスマートバリュー」を適用するのにケーブルテレビ放送サービスの契約は不要なのだが、地デジ、BSデジタルなどの70ch以上の放送を、アンテナを立てることなく見られるようになるのは魅力的。また、上記「J:COM NET 40Mコース」同様、他社からのインターネット乗り換えなら月額料金が安くなる。1カ月3,500円割引×4カ月=14,000円ほど割引になる計算で、これも後押しになりそうだ。
はっきり言って、ケーブルテレビ分の料金約3,000円が上乗せになって、当初の「通信料を安く!」という話からはやや脱線してしまうのだが、考えようによっては、「auスマートバリュー」の家族3人合計4,440円割引で、差額の3,000円を相殺して余りある!……という考え方もできるだろう。これは迷い所ではあるかもしれないが、地デジやBSデジタルを、アンテナ工事することなく気軽に見たいという人には良さそうだ。
もちろん、各CATV事業者によって、料金プランはさまざま。最寄りの事業者のサイトをいちど確認してみるのがいいだろう。
筆者の場合は、auスマートフォン契約済みで、現在CATV以外のインターネットを使用中と言うことで以上のようになったが、その他の環境だと、どうだろうか?
まず、auスマートフォンを利用していて、なおかつ「auスマートバリュー」対象のケーブルテレビ契約中の場合。もしサービス契約条件を満たしていても、別途申込みが必要となる。というか、申し込んだだけで月々の割引が受けられるようになるのだから、申し込まなければ損だ。契約中のケーブルテレビ局までさっそく確認してみよう。
次に、auスマートフォンを利用していて、かつ対象のCATVに契約しているが、契約プランが条件を満たしていない場合。CATVのIP電話サービスや、インターネットのコースを上位プランに変更すれば、auスマートバリューを適用可能になる。仮に、サービス追加でCATV月額料金が増えてしまったとしても、たいていの場合、auスマートバリューの割引で相殺可能になるだろう。IP電話のコストメリットやインターネットのスピードアップによる恩恵を追加コストなしで受けられる、という見方ができるわけだ。
対象のCATVをすでに利用中で、なおかつ現在auのケータイ(フィーチャーフォン)を使用している方は、スマートフォンに機種変更することで、auスマートバリューの割引を受けることが可能になる。つぎに機種変更する機会があれば、このことを記憶に留めておくといいだろう。現在au以外のキャリアを使用している場合はMNPを検討してみてもいいかもしれない。
いずれにしろ、CATV+auスマートフォンの利用による割引のメリットは高く、しかもauスマートバリュー自体には利用継続期間等の縛りが存在しない(CATVの料金プランで縛りが存在する場合はある)。現在契約中の通信料金プランとじっくり比較検討した上で、乗り換えを考えてみてはいかがだろうか。多くの場合で電話料金、通信費用が安くなる可能性が高いだろう。
今、携帯電話の多くはスマートフォンに移行している。もちろん、ご家庭で誰かは持っているだろう。
もしそれがauスマートフォンなら、ぜひとも今回の「auスマートバリュー」を検討してみてはいかがだろうか? すぐにでも通信費が安くなる。
また、これからの新生活シーズン、新しい住まいのインターネット回線をどうするか迷っている方にも是非検討してみて欲しい。賃貸の集合住宅などの場合、すでにCATVの回線自体が引き込んであるケースも多く、導入の手間や時間を節約できる場合が多い。場合によっては契約と機器の設置だけで済む場合もある。加えて、各CATV事業者は、基本的に地域密着型のサービスプロバイダーであり、緊密なサポートも期待できる。
「ネットとか、よく分からないし……。聞くのも面倒。サポートも遅いんじゃないの?」なんて考えてる方には、まさにオススメだ。
(Reported by 眞条崇司)