自社システムのクラウド移行がさらに容易に! 機能強化されたBIGLOBE クラウドホスティング 3つのポイント + 1

NECビッグローブ(以下、BIGLOBE)といえば、日本有数のインターネットプロバイダーだが、コンシューマ向けのサービスだけでなく、企業向けのインターネット接続サービス、インターネットVPN、中小企業向けのホームページサービス、ハウジングサービス、BIGLOBEのインフラを活用したクラウドメールサービス、クラウドストレージサービスなどの企業向けのサービスを提供している。

また2011年1月からは、企業向けパブリッククラウドサービス「BIGLOBEクラウドホスティング」の本格的な展開を開始している。BIGLOBEクラウドホスティングは、企業向けのBIGLOBE Webホスティング サービスで培われたサーバーの可用性、高い保守性などをベースにした、IaaS型パブリッククラウドサービスとして提供されている。本サービスの概要や、試用レポートを過去に掲載しているので、詳細はそちらをご覧いただきたい。

【クラウド特捜部】 ビジネス向きのクラウドサービスを展開するBIGLOBE 【特別企画】BIGLOBEクラウドホスティングでサーバーを立ててみた 【特別企画】BIGLOBEクラウドホスティングを実運用に向けていじってみた

そんなBIGLOBEクラウドホスティングだが、2012年の3月、自社システムのクラウドへの移行を容易にするための機能強化を行った。今回はその強化ポイントについて見ていきたい。

Oracle Databaseをクラウド上で使える機能を提供

企業がパブリッククラウドサービスを利用する上で、重要になるのがライセンスの問題だ。OSやアプリケーション、ミドルウェアなど、さまざまなライセンスが存在するが、パブリッククラウドサービスを利用しようと考えているIT管理者の頭を悩ませていたのが、Oracle Databaseのライセンス問題だ。

Oracleでは、Oracle DatabaseをCPUのソケット数(Standard Edition/Standard Edition One)、コア数(Enterprise Edition)に応じたライセンスで提供している。しかし、仮想環境でOracle Databaseを動作させる場合、仮想マシン上に設定される仮想CPU数ではなく、ハイパーバイザーを動作させている物理サーバーが持つ物理CPUコアをベースにして課金される。

さらに、仮想環境の特徴ともいえる、障害発生時に仮想マシンを別のサーバーに移動する機能(例えばVMwareではvMotion、Hyper-VではLive Migration)を利用した場合には、移動先のサーバーにもライセンスが必要になる。つまり仮想環境上では、データリカバリーポリシーにおけるフェイルオーバーの対象としては認められない。このため、仮想マシンが移動するような構成を組むと、ライセンスが2倍必要になってしまう。

パブリッククラウドサービスでは、膨大な数のサーバーをクラウド事業者が運用し、それぞれのサーバー上で動作している仮想マシンを移動させることで、高い可用性や保守性を保っている。しかし、Oracle Databaseを利用する上では、このようなクラウドサービスのメリットがライセンス違反の原因となる。

多くの企業にとって、コンプライアンスは大きな問題で、「分からなければライセンス違反でもいい」というわけにはいかない。もしライセンス違反が見つかれば、巨額な罰則金を請求されたり、企業としての信用を失ったりすることにもなる。

しかし、Oracle Databaseのライセンスを回避するためにほかのデータベースに切り替えるということも、すでにあるシステムを移行する場合難しい。また、データベースとして企業において高いブランド価値を持つ、Oracle Database以外を使用するというのもなかなか難しい。

そこでBIGLOBEでは、ライセンス違反をせずに、パブリッククラウドサービスにおいてOracle Databaseを利用できる「ベースモデル(Oracle用)」を提供開始した。

サーバー作成時に「ベースモデル(Oracle用)」を選択できるようになっている

このベースモデル(Oracle用)は、BIGLOBEクラウドホスティング上にOracle Databaseを動作させる専用のサーバーを用意するもので、VMwareのハイパーバイザーは動作しているが、VMware DRS、VMware HAといった機能が無効になっており、それに伴う仮想マシンの移動機能(vMotion)は停止されている。これにより、クラウド/仮想環境のメリットの1つが失われているものの、Oracleのライセンスに違反することはない。

さらに、同じベースモデル(Oracle用)をもう1つ用意することで、ユーザー自身の手でOracle Databaseの冗長構成を組めるようにしている。もちろん、HAクラスタを構築するためのバーチャルIPアドレスも追加オプションとして提供されている。

Oracle用サーバ作成時に、物理的に分離したクラスタ(ゾーンA/ゾーンB)を指定することで、冗長構成を組むことも可能

・本機能は、2012年3月15日以降にお申込いただいたお客様のみご利用が可能です。
・必要なRHELサブスクリプション、及びOracle Databaseライセンスはお客様にてご用意ください。また、Oracleのインストール作業はお客様にて実施ください。
・BIGLOBEではOracleライセンスを販売しておりません。利用するためにはOracle社のライセンス規約を遵守した上で、適正なライセンスをお客様にて取得ください。
・ベースモデル(Oracle用)の提供OSは、RHELまたは、Windows となります。また、本機能は、SLA適用除外となります。
・ベースモデル(Oracle用)サーバでは、CPUリソース保証、ファイアウォール、オートスケール、API、VMware HA機能、DRS機能は提供されません。

ちなみに、こういった機能は他社のクラウドサービスでも提供されているが、申請が紙ベースだったり、申請しても構成に数日かかったりすることが多い。しかし、BIGLOBE クラウドホスティングでは、コントロールパネルからオンデマンドにシステムを構成することが可能になっている。これなら、必要な時にすぐに利用できるので、そのメリットは大きいといえよう。

なお、Oracle Databaseのライセンス自体はBIGLOBEクラウドホスティングでは提供されていないため、ユーザーが所有するライセンスをBIGLOBEクラウドホスティングへ持ち込む必要がある。

サーバーイメージの共有機能でスムーズな作業を実現!

BIGLOBEクラウドホスティングでは、ユーザーがカスタマイズしたサーバーイメージを保存しておける「イメージ共有」機能も新たに提供が開始されている。この機能は、あるユーザーがカスタマイズしたイメージをベースにして、ほかのユーザーが新規にサーバーを作成できるものだ。

企業においては、さまざまなミドルウェアやアプリケーションを基盤としてサーバーを構築しているが、多くの場合、基盤となるミドルウェアやアプリケーションはほとんど同じであるため、新しくサーバーを構築する時、こういったソフトを何度もインストールし、そのたびに設定をしていたのでは、サーバー構築にかかる時間が無駄になる。

パブリッククラウドサービスのメリットともいえるオンデマンドでの仮想サーバー作成により、数分で新しい仮想サーバーが構築できても、ベースとなる環境構築に数日かかるようでは、クラウドのメリットも失われてしまう。そこで、あらかじめ作成したサーバーイメージを保存しておき、必要な時にコピーして使用するようにすれば、数分で環境設定済みの仮想サーバーを構築できる。

サーバイメージを利用することでサーバの構築がスムーズになるほか、サーバを実際に運用していない期間にイメージだけ補完しておけば、余計なコストがかからないというメリットも

これまでのBIGLOBEクラウドホスティングでは、自身の契約ID内でしか、保存したサーバーイメージの再利用はできなかった。つまり、ある契約IDで作成したサーバーイメージを別の契約IDで利用することはできなかったため、同じ会社でも、複数の部署が別の契約IDでBIGLOBEクラウドホスティングを利用するようなケースでは、サーバーイメージの共有ができなかったのだ。

しかし今回新しく提供されたイメージ共有機能を使えば、複数の契約ID間でサーバーイメージを共有することが可能になるため、契約IDが違っていてもこうしたメリットを受けられるようになる。

また、システムの構築を複数のインテグレータに任せた場合、今までのBIGLOBEクラウドホスティングでは、1つの契約IDを複数のインテグレータで使い回さないと環境の共有が行えなかった。その場合、1つの契約ID内にインテグレータ担当者用のユーザーIDを用意して共有することはできたが、セキュリティ面を考えれば、あまりいいやり方とはいえない。

そこで今回追加されたサーバーイメージの共有機能を利用すれば、複数の契約IDでサーバーイメージが共有できるため、それぞれの契約IDを使って、BIGLOBEクラウドホスティング上でのシステム構築を行えるようになる。

将来的には、インテグレータやソフトベンダーが作成したサーバーイメージを、仮想アプライアンスとしてユーザーへ販売することも可能になるかもしれない。この時も、契約を交わしたインテグレータやベンダーの契約IDとサーバーイメージを共有するだけで、ユーザーは速やかに利用開始することができる。

またBIGLOBEでは、ユーザーがローカル環境で作成したVMware環境のサーバーイメージを持ち込む機能も、4月以降に提供する予定だ。

オンデマンドなファイアウォール機能も提供開始

コントロールパネルからオンデマンドでファイアウォールを設定することが可能に

ファイウォール機能についても、オンデマンドに対応した新たな機能を提供する。従来のBIGLOBEクラウドホスティングでは、「BIGLOBEファイアウォールサービス(VSR)」をオプションとして提供していたが、オンデマンドでの設置はできず、導入に少し手間と時間がかかってしまっていた。

そこで今回、コントロールパネルからオンデマンドに設定できるファイアウォール機能が用意された。新しく仮想マシンを作成した時だけでなく、すでに作成されている仮想マシンに対して、ファイアウォールを設定することも可能だ。また、ハイパーバイザー組み込み型のファイアウォールとなっているため、ユーザーの仮想マシン上では動作せず、仮想マシンの性能を落とすことはない。

ファイアウォールは、グローバルIP、プライベートIPの両方に設置できるほか、複数の仮想マシンに設置したファイアウォールを、一括で管理できるというメリットもある。これなら、仮想マシンごとにルールの設定を行う手間も、設定ミスもなくなるだろう。さらに、ファイアウォールを複数のグループに分けることも可能で、仮想マシンをグループ化して管理できる。

ファイアウォールはグローバルIP、プライベートIP双方に設置できるほか、グループ化によるルール設定の簡易化も可能

ストレージ性能が平均2倍程度に向上

なお新機能というわけではないが、今回のバージョンアップに合わせて、ストレージ関連の装置が一新されている。この装置更新により、ストレージへのアクセススピードが平均して2倍程度アップしている。ストレージの性能向上は仮想環境の直接的なパフォーマンス向上に貢献するものであり、クラウド事業者側の装置のアップグレードでこうしたメリットを享受できるのはありがたい。もちろん数値はベストエフォートで、ということにはなるが、ユーザー側の特別な負担なしに恩恵を受けられるのはうれしい点だろう。

このように、BIGLOBEクラウドホスティングの新機能は、ユーザー目線で開発されている。ユーザーにとって、便利な機能だけでなく、コンプライアンスにかかわる部分にまで配慮されている。こういったきめ細やかなパブリッククラウドサービスは、お客様のことを考えたBIGLOBEならではだ。

(Reported by 山本雅史)

ブロガーによるイベント&試用レポートエントリー、続々アップ中!

去る3月21日実施された『「BIGLOBEクラウドホスティング」を徹底解説 ブロガーミーティング』のブロガーレポート、そしてブロガーが実際にBIGLOBEクラウドホスティングを試用したレポートが続々アップ中、詳細は下記のリンクからチェック!

 

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