単体利用指向のJukeBoxは録音OK!!

 国内初のブロードバンド専用ラジオBiBioの大変身版として登場したBiBio wGate。インターネットラジオを自由に聴ける機能に加え、ネットワーク上のパソコンやHDDにあるMP3ファイルへ自由にアクセスできるという、MP3音楽野郎待望の製品であった。拙者も使ってますけど、いやホントにBiBio wGate、便利。俺のMP3音楽生活をガラリと変えてくれた。


BiBio wGateとそっくりだけど、かなり方向性が異なる機器なのだ

 そのBiBio wGateの兄弟機というか姉妹機というか、新型が登場した。その名はBiBio JukeBox。新型とは言っても、BiBio wGateとはかな〜り方向性が異なる製品であり、wGateユーザーの俺にとっても「あらソレ便利!!」てな機能が多々盛り込まれている。

 ともあれ、このBiBio JukeBoxでは何がデキるのか? とりあえずはそのあたりをザッと見ていこう。

 BiBio JukeBoxでは、まずMP3ファイルやWMAファイルの再生ができる。本体内に内蔵された40GB HDD上のファイルを自由に聴けるってわけだ。同時に外部から入力されたサウンドをMP3ファイルとして録音できる。録再対応のHDD型MP3・WMAプレイヤーって感覚で、単体での活用が可能だ。パソコンや家庭内LAN環境が必須だったBiBio wGateとの大きな相違点である。

 それから、BiBioって名が付くので当然、インターネットラジオ放送を聴ける。これは初代BiBioやBiBio wGateとほぼ同様の機能となるが、ちょいと嬉しいことに、BiBio JukeBoxでは受信中の放送を録音できちゃったりする!! 良くなくなくないですかこの機能!? なお、インターネットラジオ放送を再生・録音する場合は、当然だがインターネット接続環境(回線およびDHCPサーバ機能を持つルータ等)が必要となる。

 加えて、USB接続のメモリオーディオ製品と連携してくれたりもする。詳細は後述するが、BiBio JukeBox内に蓄えたMP3サウンド等を、携帯用MP3プレイヤー等に転送できるのだ。すなわち、BiBio JukeBox内の音楽を、自由に取り出して携帯するような使い方ができるわけだ。

 他、家庭内LAN等の有線ネットワークに対応し、例えばパソコンからBiBio JukeBox内のHDDへ直接的にアクセス───LAN経由でパソコンからBiBio JukeBoxへMP3・WMAファイルのコピー(あるいはその逆)を行うことができる。また、BiBio JukeBox内の音楽をBiBio wGate経由で聴くことも可能だ。

 てなわけで、BiBio wGateとはかな〜り方向性が異なるBiBio JukeBox。以降、その使用感を中心としたインプレッションをお届けしたい。

高級感のあるボディと便利なリモコン

 MP3やWMAといったオーディオファイルを再生することはもちろん、単体でのMP3サウンド録音が可能なBiBio JukeBox。


リビングルームのオーディオとして風格ある外観

 まずはその外見から見ていきたいが、見た目はBiBio wGateと非常によく似ておりクール。シンプルだが金属ボディから醸し出されるイイ雰囲気の質感があり、サイズ的にも小さめ。率直に言って、なんつーかこのテのMP3方面製品としては非常に高級感があるし、ミニコンポ等のオーディオシステムと一緒に置いてもよくマッチする。

 インターフェースとしては、操作部や表示部、それから多用しそうな接続部は全て本体前面に集められている。一通り触った感触としては、ボタン類の少なさと配置・機能割り振りと、理解しやすいアイコン等表示と日本語表示が相まって快適に扱える。

 例えばBiBio JukeBoxの設定を行う場合は、まずEDITキーを長押しし、次いで4方向キー等を使って表示パネルのアイコンを選択していく。表示されるアイコン自体もわかりやすいものだが、選択したアイコンに対する説明文が日本語表示されるのが便利。ま、画面見て4方向キーを押してきゃぁだいたいわかるって感じですな。


オーディオ機器としての使いやすさは、このリモコンにある!

 ちなみに、設定時はEDITキーが戻るボタンの役割をするとか、あるいはヘッドホンの音量調整は4方向キーの上下に割り振られているとか、感覚的に使いこなせるインターフェースが多く盛り込まれている。もちろんある程度細かな機能を使いこなすには、基本的な事柄(フォルダ階層やモード等)を理解する必要があるが、使用感としては敷居が低いハードウェアだと感じる。

 あとですね、付属のリモコン。これがイイっス。BiBio JukeBoxのほとんどの機能を遠隔操作できるリモコンなのだが、小さいわりにボタン類の大きさ・押下感は十分あるし、ボタン配置も使いやすい。BiBio JukeBoxは、例えばオーディオシステムがある部屋に据え置いて使うケースが多いと思うが、そんな状況を考えるに、このリモコンでラクにBiBio JukeBoxをコントロールできるってのは有り難い。

MP3に加えてWMAにも対応

 BiBio JukeBoxはデジタルオーディオプレイヤーでありデジタルオーディオレコーダーでもあるわけだが、プチ注目なのが対応のオーディオファイルだ。具体的にはMP3とWMA(Windows Media Audio)の両方を再生することができる(録音はMP3のみに対応)。

 チョ〜コダワリのある人ならまだしも、フツーの人の場合なら、パソコンのHDD上にMP3とWMAの両形式が混在しているんではなかろーか? 一昔前ならMP3が主流だったが、最近ではWMAがずいぶんと台頭中。まあどの形式がより隆盛かってのは別にいいのだが、実際MP3とWMAを両用しているユーザーは非常に多い。BiBio JukeBoxはそんな現状にしっかりと対応してくれているのがユーザーとして非常に嬉しい。

 なお、どんな仕様のMP3ファイルやWMAファイルに対応しているかを少々。


録音ビットレートはユーザーが選択できる

 まずBiBio JukeBoxでは再生のみとなるWMAに関しては、ビットレート5〜192kbpsのファイルを再生可能だ。一般的なWMAファイルならほとんど再生できるって感じですな。

 それからMP3に関しては再生が可能なのに加え、BiBio JukeBox上で生成(外部入力等からの録音)も可能だ。で、再生できるMP3ファイルは、ビットレート8〜320kbpsのもの。これもほとんどのMP3ファイルを再生できるという感じ。また、BiBio JukeBoxで録音すると、ビットレート16〜320kbpsのMP3ファイルができ、そのビットレートはユーザーが選択可能だ。加えて、サンプリングレートも11/16/22.05/44.1kHzから選べる。

単体でいろいろと活用可能!!

 ビットレートやサンプリングレートを調整しつつ録音できるBiBio JukeBoxだが、さて、どういう音源から録音できるのか?


光デジタルでもアナログオーディオでも入出力可能!

 これは本体背面を見れば一目瞭然。本体背面左側からACアダプタ端子(ACアダプタ自体もちっこいヨ!!)、LAN端子、光デジタル入出力端子、アナログオーディオ入出力端子がある。

 つまり、アナログ入力でも光デジタル入力でも録音できる。テープやレコードはもちろん、CDやMDなどのプレイヤーをデジタル接続しての録音が可能だ。すなわち、BiBio JukeBox単体でアナログソースもデジタルソースも、ビシバシジャカスカとMP3ファイル化できまくりだ。

 例えば、CDプレイヤーやMDプレイヤーを、BiBio JukeBoxにデジタル接続する。と、前述のように非常に高いビットレートで、デジタルミュージックソースをMP3ファイル化できる。BiBio JukeBox本体だけで、つまりパソコン等を使わず、手軽に高品位のサウンドライブラリを貯め込めるってのは手軽だ。

 あるいは、手持ちのテープやアナログレコードなんかのサウンドをBiBio JukeBoxに録音。この場合は必然的にアナログ接続での録音となるが、やはりパソコンやオーディオインターフェースや録音ソフトウェア等を使わず、BiBio JukeBoxだけでアナログ音源をデジタル化できるという点が嬉しい。

 ちなみに、録音方法はすこぶる簡単で、録音先フォルダを選択した状態で本体前面のRECボタンを押下する程度。アナログソース入力時は入力レベル調整も行える。また、録音時には無音部が自動検出され、その箇所でファイルを自動的に分割することもできる(検出する無音の長さは設定可能)。ついでに、ひとつのMP3ファイルをふたつに分割する機能も持つ───完全に任意な曲分割もOKだ。

 それからUSB接続の携帯型メモリオーディオとの連係動作。例えばBiBio JukeBoxにテープやレコードの音を録音(MP3ファイル化)したとする。それらファイルは、接続したUSBメモリオーディオ製品(マスストレージクラス対応)へとコピーできる。つまりBiBio JukeBoxに貯め込んだ音楽ライブラリの一部をサクッと取り出し、気軽に持ち歩いて楽しめるっつーわけだ。



シンプルだがユーザーを迷わせない操作系と、見やすくなった表示部分

 てなわけで様々な用途に役立てられるBiBio JukeBoxだが、やはりイケてるのはこれらのコトをパソコンや家庭内LANを使わずに単体でヤレるという点。単純なコトだが、BiBio JukeBoxだけで録音・再生ができる=単体で立派なオーディオとして使える。すなわち手軽簡単であり、独立したコンポーネントとして手持ちのオーディオに加えられる利便もある。極端な話をすれば、BiBio JukeBoxとアクティブスピーカーだけでもオーディオとして立派に使える。

 BiBio JukeBoxには40GBのHDDが搭載されているので、例えば約4分の曲をビットレート128kbpsで録音したら、約1万曲くらいが入る音源として楽しめる。もっと長い曲をもっと高いビットレートで録音しても、聴ききれないほど多量の音楽を蓄えられる。で、アクティブスピーカーさえあれば聴ける(つーかヘッドホンつなげただけでも聴ける)。多量の高音質音楽を、小さなボディに詰め込めて、シンプルに楽しめる。BiBio JukeBoxはまさに怒濤で超弩級のジュークボックスになる。

 例えばですね、手持ちのCDやMDの音楽を全部BiBio JukeBoxに録音しちゃって、CDやMDはしまっちゃうんですよ。音楽聴くときゃBiBio JukeBoxのみ。そんなシンプルな音楽ライフを味わえる。あるいは、多人数が集まる空間でBiBio JukeBox。すげー量の音楽が入るんで、趣味嗜好年齢が異なる人が取っ替え引っ替え使うにも、状況に応じて異なる音楽を流す場合にも、一台で対応できる。店舗等での利用も現実的ですな。こういうコトをパソコン等不要&前述どおりの平易さで楽しめるという点も大きな実用性である。

LAN接続すればさら〜に便利!!

 単体で十二分に活用できるコトもヒジョーに大きな魅力だが、BiBio JukeBoxはLAN経由で利用するとさらに快適になる。てのは、BiBio JukeBox、LAN接続時(HOSTモード動作時)にはパソコンやBiBio wGateから扱うことができるようになるのだ。

 まずパソコンとの連携だが、BiBio JukeBoxを家庭内LANに接続してHOSTモードとする(←ボタン押すだけっス)と、パソコンからはBiBio JukeBoxが単なるネットワークHDDとして見える。ので、パソコン上のMP3やWMAといったファイルを自由に転送できる(転送先フォルダ等は限られる)。また、BiBio JukeBox上のフォルダ・ファイル名等をパソコン上から変更可能(もち日本語もOK)ゆえ、パソコン上の音楽ライブラリを手っ取り早くかつ効率よくBiBio JukeBox上へ転送・整理する場合に便利だ。もちろんBiBio JukeBox上のファイルを自由にパソコン上へコピーすることもできる(一部録音ファイルを除く)。

 ある意味ではBiBio wGate+NASの使い勝手が、BiBio JukeBoxのみで実現できるとも言えよう。単体でも手軽に使いたいし、時にはネットワーク経由でも利用したい、というユーザーにはBiBio JukeBoxが向くかも知れない。

 BiBio JukeBoxとBiBio wGateの連携も便利。BiBio JukeBoxをLAN接続すると、パソコンとの連携時と同様、BiBio JukeBoxは単なるネットワークHDDとして働いてくれる。つまりBiBio JukeBox上にあるMP3ファイルを、BiBio wGateから再生できるってわけだ。


BiBio wGate+NAS=BiBio JukeBoxだ!!

 なお、パソコンやBiBio wGateと、BiBio JukeBoxは、いわゆる家庭内LAN環境経由でなくとも、イーサネットケーブルのクロスケーブルを使って直接接続することができる。

 てなわけで、単体でビシバシ活躍してくれると同時に、家庭内LANに参加させればより高度な使い方ができるBiBio JukeBox。MP3やWMAといった音楽ファイルやインターネットラジオ放送というミュージックソースをズギャッと身近にしてくれる。音楽は、やっぱオーディオで聴くべき! パソコンモニター脇のちっこいスピーカーで聴くな!! パソコンの便利さとオーディオ機器の音質を両立させてェ!!! 俺は一切妥協したくねェ!!!! そこでBiBio JukeBoxだ!!!!! コイツはパソコンとオーディオを理想的なカタチで融合させた、かな〜りホットなハードウェアなんであ〜る。


□SUNTAC BiBio wGate スタパ齋藤レビュー
http://ad.impress.co.jp/tie-up/bibio0411/

□SUNTAC BiBio
http://bibio.jp/

□BiBio JukeBox直販サイト
http://bibio.jp/ad/jukebox.html

□サン電子株式会社のホームページ
http://www.sun-denshi.co.jp/

□サン電子、「BiBio JukeBox」の発売日を決定
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050311/suntac.htm

□サン電子、HDD搭載のネットワーク対応音楽プレーヤー
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20041116/suntac.htm

□サン電子、HDD内のMP3をネットワークで再生できる「BiBio wGate」など
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/7486.html



スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。フォトエッセイのスタパデイズをAlt-R(http://www.alt-r.com/)にて連載中。