ユニークかつカジュアルな使い勝手 AQUOSブルーレイ「BD-HDW700」の魅力を探るシャープのAQUOSといえば、やはり「ブルーレイ・レコーダー」より「テレビ」、という印象が強いはずだ。実際、「AQUOSブルーレイ」購入者の多くが、テレビとのセット購入という形で選択しているのは間違いない事実である。  だがAQUOSブルーレイを「セットでだけ売れる製品」、と思い込むのはもったいない。レコーダーとして、他の製品にないポリシーを持った、ユニークかつ見逃せない存在なのだ。最上位機種である「BD-HDW700」を使い、その特徴をチェックしてみよう。

タイムシフトと連動データ記録で「テレビ番組」をもっと楽しく

最新AQOUSブルーレイ「BD-HDW700」

最新のAQUOSクアトロンと組み合わせることで、自動的に最適化された画質に調整される「AQUOS純モード」や、「AQUOSファミリンク」が利用できる。3D対応AQUOSと組み合わせてBlu-ray 3D観賞ももちろん可能

設定画面で常時タイムシフトをオンにすることで、放送時間に縛られないデジタル放送の楽しみ方が可能になる

 レコーダーに求められる機能はいくつもある。ある人にとってはBDにダビングできることだろうし、ある人にとってはハードディスクに長時間録画できることだろう。AQUOSブルーレイは、もちろんそれらを過不足なく満たしてくれる。

 だがなにより大きいのは「デジタル放送を見る」ことに注力した作りになっている、ということだろう。

 地デジをはじめとしたデジタル放送は、当然「テレビ」でも見れる。だったらそれでいいんじゃないの? と思いがちだ。だが、我々の生活の中では、テレビだけで事が済むわけではない。録画によって時間をずらした「タイムシフト視聴」が定着しているからだ。我々はそのために録画機を買うわけだが、「予約録画」だけでも、やっぱり不足だ。

 例えば。ドラマを見ている最中にトイレに行きたくなったら? サッカーを見ている最中に宅配便が来たら? とりあえず番組を録画して……ということになるのだろうが、それにかかる作業時間が意外と長い。

 そんな時にAQUOSブルーレイの特徴が役に立つ。明示的に録画をしていない時でも、AQUOSブルーレイでテレビ番組を見ている場合には、「ポーズ」が効くのである。ポーズボタンを押して席を立ち、用事を済ませて戻ってきたら、また「再生」ボタンを押せばいい。これでまた続きから見られる。

 なぜこういうことができるかというと、AQUOSブルーレイには「自動的に録画してタイムシフトする」機能があるからである。出荷時状態ではオフになっているが、あらかじめ設定しておくと、あとは一切意識することなく「タイムシフト」になる。他社製品では、録画しながらその番組を「追いかけ再生」することで同様の機能を実現する場合が多いが、追いかけ再生ではチャンネルを好きな時に切り換えられない。AQUOSブルーレイのタイムシフト機能は、好きな時にチャンネルを変えられるので、「録画している」ことを意識する場面が非常に少ない。まるで、放送局の電波を「手元で止めている」ような感覚である。

「放送局の電波」をそのまま使う感覚である点がもう一つある。それは、録画時に「データ放送」も記録する、ということだ。

 番組によっては、それに連動したデータが放送されている場合もある。例えばクイズ番組ならば関連情報が、スポーツイベントの場合には、出場選手の細かな情報などが記載されていたりする。リモコンの「d」ボタンを押すと表示されるのがこのデータである。多くのレコーダーでは、録画時間を長くするため、番組連動データをカットしてしまう。仮に残していても、録画再生時には表示できない、という機種も多い。

 AQUOSブルーレイでは、「DR」「2倍」「3倍」といった画質優先モードでは最初から、それ以外のモードでも設定変更により、すべてのモードで「連動データ」を保存しておくことができる。もちろん連動データをカットして、より長時間録画したり、画質を上げたりすることも可能である。だが、それは「思い出」という点で考えればもったいないことだ。特にスポーツイベントでの番組連動データは、その時の状況を示す貴重な資料。後々に見返すことができれば、録画番組の価値はさらに高まる。元々同社のレコーダーは、「デジタル放送を蓄積し、そのまま流す」ことを一つの開発思想としている。タイムシフトや連動データ記録は、その結果の現れといえるだろう。

録画しながらBDビデオも再生、「動作制限の少なさ」が魅力

 レコーダーを長時間「使い続ける」ためには、必要な点が一つある。

 それは「動作の制限」が少ないことだ。最近はAVCでの2番組同時録画ができる機種も増えたが、ことはそれだけに止まらない。

 例えば、番組録画中にブルーレイ・ディスクの再生ができないと、せっかくの時間が無駄になる。ディスクへダビング中に録画番組を見ると「ダビング速度が落ちる」ようでは、やっぱり時間の無駄。そういった同時動作の制限は、日々レコーダーを利用する上で負担となりやすい。

 しかし、HDW700は、同時動作制限がかなりゆるやかになっている。

 例えば、スカパー!HDチューナーと連動して「録画」をしている最中には、スカパー!HD・1番組の他、内蔵チューナーによって2番組を同時に録画できる(DRモードの場合)。2番組同時録画中でも、BDビデオやアクトビラの再生もできる。一般的な用途であれば、かなり制約を感じることなく使えるのではないだろうか。常に1番組は録画している、といったヘビーな状態でも、本体の持つ様々な機能を生かせるのはありがたい。

 どんどん録画してどんどん見る。そんな使い方をするには、見たい番組を見つけることが重要だ。番組を探す場合には、「類似検索」機能を使うのがお勧めだ。連続ドラマや再放送番組など、同じような番組を見つけたい際、選択している番組から自動的に選び出してくれる機能だ。番組表から録画したい番組を探す場合にはもちろん、すでに録画済みの番組が大量にあり、「次の回」を探す時などにも威力を発揮する。

 録画予約そのものも、EPGから番組を「選ぶ」、1アクションでOK。もちろん複雑な設定も可能だが、そういったことがわからない人にもすぐ使える簡単さが魅力である。

見やすい録画番組一覧。ここから「類似検索」での録画予約が可能

せっかく多ソース入力に対応していても、同時録画に制限があるレコーダーが多い中、BD-HDW700は非常に柔軟なマルチタスク性能を持つ

BDXLも3Dも携帯電話も! 「最新技術」と「基本機能」の両方が充実

BDXLに世界初対応。Blu-ray 3Dの再生にも対応している

普通のヘッドホンをつなぐだけで、バーチャルサラウンドが楽しめる

録画と同時に携帯電話用のデータに変換しておけるので、外出先で見たい番組は待ち時間のストレス無く携帯電話に転送できる

通常のものとは別に、ノイズを低減し、高画質を実現する3芯の電源ケーブルが付属

 そしてもちろん、いくつもの「最新技術」に対応しているのも魅力である。

 例えば「BDXL」。3層・100GBのディスクが利用できるため、よりたくさんの映像を1枚のディスクに蓄積できる。例えば、ドラマ1シーズン分(1時間×11本)の場合、従来はAVCで相当に圧縮しないと1枚に収められなかったが、BDXLならば放送されたままの「DRモード」で1枚に記録できる。もっとも長時間記録できる10倍モードならば、最大87時間も記録できることになるが、なにより「そこまで圧縮する必然性がなくなる」ことが大きなメリットだ。BDXL対応機器でないと、BDXLで記録したディスクは再生できない点には注意が必要だが、少なくとも自己録再用なら、現状でも問題ない。

 もうひとつブルーレイ関連で注目は、やはり「ブルーレイ3D」の対応だ。だが、筆者があえて注目したいのは、映像だけでなく「音声」の3D化にも対応していることだ。HDW700搭載のヘッドホン端子には、バーチャルサラウンドに対応した「サラウンド音声出力」機能がある。迫力のある立体音響は魅力だが、スピーカーシステムを揃えるのはなかなか難しいもの。住環境的には利用できない、ということもあるだろう。だが「サラウンド音声出力」を使えば、普通のステレオヘッドホンをつなぐだけで、サラウンド音声で映画を楽しむことができるようになる。専用ヘッドホン「VR-HSA100」「VR-HSB10」も用意されており、低音域を中心により聞きやすくなるよう、この機能に向けたチューニングが行われているという。

 また、「携帯電話」連携も見逃せない。録画番組を携帯電話向けに変換し、USBケーブルで転送して視聴できる。携帯動画というとワンセグレベルのものを思い浮かべるが、HDW700では、640×360ドット・30fpsで映像を転送できるので、画質面の不満もほとんど感じない。特にシャープ製の携帯電話と組み合わせて利用する際には、まだ未視聴な番組を自動転送することも可能で、朝の短い時間を有効活用して転送し、電車の中で楽しむ、といった使い方に向いている。

 そして、それら魅力的な機能を支えているのが、画質やハードディスク容量といった「基本機能」だ。特に高級機種であるHDW700の場合、ハードディスクの容量が2TBと大きいのはもちろん、コンデンサーにも音質にこだわった特別なパーツを使い、電源ケーブルは二芯の通常のものと、三芯の「音質・画質重視」のものの両方が同梱されている。

 ほかにも、音に悪影響を与える振動を抑えるよう、「アンチバイブレーションキャビネット」というボディ構造が採用されている。現状ではまだ動作していないが、今後のソフトウエアアップデートで、内蔵の「無線LANユニット」も動作するようになり、ケーブルを使わずネットワーク機能が使えるようになるのも魅力的だ。

 カジュアルさと基本性能、両方をカバーし、「日常的に使える高級機」となっているところが、HDW700のオリジナリティといってもいいのではないだろうか。

【西田宗千佳】

■関連情報
□AQUOSブルーレイ 製品情報
 http://www.sharp.co.jp/bd/index.html

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