深く、自由に、シンプルに LED AQUOS DX3シリーズの魅力とは?
 液晶テレビも、そろそろ「完全定着」「二台目・三台目需要」の時期を迎えている。それだけ、機能についても画質についても要求が厳しい時代になった、ともいえるだろう。  そんな中、シャープは大胆な作戦に打って出た。   二台目にも適した「ブルーレイ内蔵/リーズナブル価格」モデルの液晶テレビにまで、LEDバックライトと新開発液晶技術「UV²A」を組み込みはじめたのだ。そんな「これからのシャープの液晶テレビ戦略」の一つの象徴といえるのが、「LED AQUOS DX3シリーズ」だ。この製品の特徴は、どのような点にあるのだろうか。

シャープが挑む「これからの標準」 新技術UV2A+LEDバックライトの魅力とは

BD内蔵液晶テレビ「AQUOS DX3」は「LED AQUOS」ブランドとしてはLX1、SE1に続き3シリーズ目にあたる

LED AQUOSブランドを関するだけあり、デザインの高級感もポイント

 「LED AQUOS DX3シリーズ」(以下DX3)のポイントは主に3つある。

 一つ目は、やはりシャープらしい「液晶技術」へのこだわりだ。

 特に今回注目されるのは、同社が今後の主軸技術と位置づける「UV²A」技術を採用したこと。

 UV²Aとは、液晶分子の制御技術である。従来同社が採用していた液晶パネル技術との違いは、一言で言えば「開口率」だ。

 液晶パネルは一般的に、各色に応じて液晶を「開け閉め」することで絵を作り出す。要は教会の窓などでおなじみのステンドグラスに似た構造なのだが、これにはひとつの問題がある。

 各色を分けるには当然、それらを仕切る「枠」や液晶分子を揃えるための「仕組み」も必要になる。

 従来は「リブ」「スリット」と呼ぶ凹凸をつけて動きを制御していたが、高精細な液晶ディスプレイではリブ/スリットが細かく、多くなり、しかも光を通さない。結果、バックライトの光は液晶パネルを通ることで減衰することになるわけだ。リブ/スリットが細かく、多くなるほど映像が暗くなるので、画像の輝度を上げる上でも、同じ輝度をより低消費電力で実現する上でも、無駄が多かった。しかも、それほどの苦労をしているにもかかわらず、実際には液晶分子の動きは必ずしも均一ではなかった。

 UV²Aではここに根本的に手を入れた。

 液晶パネルにおいてずっと存在していたリブ/スリットを排除したのだ。これは「革新」と言っても過言ではない。紫外線に反応する特殊な高分子を使い、紫外線を当ててピコレベルのコントロールによって液晶分子の向きをコントロールする「ガイド」を作り出すことに成功したのだ。詳しくはシャープの技術解説サイトを参照いただきたいのだが、その違いは、写真を見ていただければ一目瞭然だろう。スペック上は、従来に比べ20%、開口率が上がったという。

 「分子の動き」にまで革命を起こしたUV²A技術だが、今後のシャープの液晶テレビ展開にも大きな影響力を持つ。先ごろ発表された「4原色」技術を実現した背景にも、このUV²A技術があるという。今後の液晶テレビにとって、「UV²Aか否か」は非常に大きな意味を持つ。

既存のASV液晶パネルとUV²A技術により製造されたパネルの比較

バックライトLEDとしてLEDを採用(写真はディスプレイ模型)

DX3ではこのUV²Aにくわえて、LEDバックライトを組み合わせている。

 LEDバックライトは、従来のCCFLに比べまだ高価だ。しかし、CCFLに比べると発光効率が高いので省エネ性能が高く、色の純度も高いので、省エネ・色再現性の両面でプラスに働く。

 なにより大きいのは、LEDは「消しやすい」ということだ。CCFLは、完全に消灯してしまうと、次に点灯するまでのタイムラグが大きいのだが、LEDはそういったリスクがない。

 それを生かしたのが「スキャン倍速」だ。液晶テレビで問題となりやすい動画の「ボケ」を、画面上部から順に一瞬だけバックライトを消すことにより、緩和することができる。画面全体を消すわけではないので、画面の輝度は大きく変わりにくいのが特徴で、LEDの「瞬発力」が活きるというわけだ。

 なにより、UV²AとLEDバックライトの特性は、お互いが補い合ってより強い力を発揮する。シャープはこの2つの組み合わせを、同社の液晶戦略の主軸に据えている。他社が持たない武器だからこそ、上位機種だけでなくDX3のような普及機にまで、一気に導入して「突き放し」を狙っているのだろう。

DX3は21世紀の「ビデオ内蔵テレビ」?! シンプル+高機能で幅広いニーズに対応

 DX3の特徴の2つめは「シンプルさ」だ。

DX3は、液晶テレビに記録型ブルーレイドライブを組み込んだ「複合型商品」である。複合型というと複雑なもの、と考えがちだが、DX3の狙いはまったく逆だ。 ブルーレイディスクやDVDを借りてきて、DX3で見るとしよう。操作手順はどうなるだろうか?

 答えは「ディスクを入れるだけ」だ。入力切り替えもプレーヤーの電源オンも必要ない。

 ハードディスク内蔵のブルーレイレコーダーは、確かに多機能で便利だ。しかし、多機能であるがゆえに、操作が面倒なのも事実だ。

 まだ時代が昭和だった頃、「ビデオ内蔵型テレビ」がヒットしたことを覚えている方も多いのではないだろうか。VHSデッキと小型テレビを一体化した製品だが、テープを入れれば再生が始まる簡単さが受け、単身者だけでなく高齢者にもヒットした経緯を持つ。

 DX3は、いわば「ブルーレイ時代、21世紀のビデオ内蔵型テレビ」なのだ。ブルーレイやDVDを簡単再生できる気軽さ・シンプルさこそが、単体型のブルーレイレコーダーとは違う価値になっている。

とにかく手軽に扱えるBD内蔵型。プレイヤーとテレビのあいだの配線に悩まされることもない

市販BDはドライブに挿入してすぐに自動で再生が始まる

 もちろん再生だけでなく録画もできる。50GBの二層ディスクを使えば、最長36時間の記録も可能だ。

DX3で録画したBDを挿入すると、画面右側に「再生リスト」が現れる。番組のプレビュー動画も表示されるので、直感的に録画番組を選択することが可能

録画予約は番組表からワンタッチで行える

照度センサーを搭載しており、部屋の明るさにあわせて画質が自動調整される。省エネにも有効だ

 シンプルさという意味で、もう一つ大きいのが「画質調整」だ。最近は、自動的に画質を調節する機能や、自分好みに画質を調整できる機能があるのは当然になっている。だが、「最適」かつ人それぞれの「好み」の設定を行うには、設定項目の内容に関する知識が必要で、使いこなしが難しく、結局使われることなく終わっている場合が多いのではないだろうか。

 だがDX3の場合「好画質センサー」という機能があり、シンプルに設定ができる。周囲の明るさなどから輝度や色温度を自動設定できるのはもちろんなのだが、その設定範囲からさらに、画面上のサンプル映像を見ながら「自分の好みにより近い画質」を選んで、文字通り自分にとってより「好ましい」画質へと設定できる。とてもシンプルでわかりやすい。

サンプルの画像から好みのものを選ぶだけで画質が調整できる

 画質の面以外でも「見る」ことの快適さを追求した機能が備わっている。それが「常連番組」機能だ。曜日や時間によって、「その時に見る番組」はけっこう決まっているものだが、DX3では、視聴行動の履歴を自動的に収集し、その時間帯によく見るチャンネルへ切り換えてもらうことができる。例えば、朝の忙しい時間帯に、電源を入れるだけで「いつも見ているニュース番組」が表示されたり、ドラマの時間帯に、リモコンの「常連番組」ボタンを押すだけで、いつものドラマのチャンネルに番組が変わったりするのだ。ちょっとしたことなのだが、これもまた「シンプルな使い勝手」を実現する機能といえるだろう。

HDMIは新たに「AQUOSファミリンクII」に対応。LAN接続もDLNAに対応している

 3つめの特徴が「連動」だ。もちろん単体でも使える機器ではあるが、HDMIやネットワークを接続して使うと、より便利になる。どちらもすでに一般的になりつつあるが、DX3で使うと、シンプルさに「高機能」を追加することができる。

 例えばHDMIを使った連動では、「携帯電話」との連携が注目される。5月18日、NTTドコモとソフトバンクから、相次いで「ハイビジョン録画対応デジカメ」を搭載した携帯電話が登場した。シャープからも「SH-07B」 (NTTドコモ向け)や「AQUOS SHOT 945SH」(ソフトバンク向け)などが発売される。

 携帯電話とテレビの両方を操作して使うのは大変だが、DX3のHDMIリンク機能「AQUOSファミリンクII」を使うと、DX3のリモコンを使って、画面上から簡単に携帯電話側まで「一括操作」できる。せっかくのハイビジョン撮影なのだから、ハイビジョンのテレビで楽しみたいもの。シンプルに使うなら、この種の機能は必須だ。

対応する携帯電話でハイビジョン撮影した動画を手軽に楽しめる

 またついに、DLNAでの動画再生にも対応。たとえば家庭内にLAN環境があれば、リビングにある「AQUOSブルーレイ」レコーダーの中にある映像を、寝室に置いたDX3から再生する、といった使い方もできる。

 寝室などパーソナルスペースのテレビならば、高機能よりも「シンプル」なものがいい、と思う人も少なくないはず。だが、たとえシンプルでも、使い方の自由度を広げる「便利さ」が無くては意味がない。その点、DX3のネットワーク機能は、他の機器と場所や時間の制約を取り払って連携できるのが魅力だ。リンク機能の操作も、複雑にならないようにリモコンを生かしたわかりやすい操作体系が採用されている。「シンプル」というコンセプトはぶらさずに、高機能を実現しているわけだ。

 複合型の機器では、コストや技術的な制約により「妥協」が目立ちやすい。だがDX3は、複合型機器でありながら、画質面でも操作の面でも、きわめて価値がわかりやすいパッケージが実現されている。

 しかもその中で、今後のスタンダードとなる機能・スペックを網羅していること。

 それが、DX3の最大の魅力であり、特徴であるといえるのではないだろうか。

(西田宗千佳)

 

■関連情報
□AQUOS Quattron Watch
 http://www.watch.impress.co.jp/aquoswatch/
□LED AQUOS DX3 製品情報
 http://www.sharp.co.jp/aquos/lineup/dx3/
□AQUOS TECHNOLOGY UV²A
 http://www.sharp.co.jp/aquos/technology/uv2a/
□LED AQUOSを次世代と呼ぶ理由
 http://www.sharp.co.jp/aquos/lx1/
□液晶テレビ アクオス 製品情報
 http://www.sharp.co.jp/aquos/

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□LED化したBDレコーダ内蔵「AQUOS DX」の進化とは?
 −ネットも録画も大幅機能強化した新世代機
 http://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/20100423_363025.html
□大河原克行のデジタル家電 -最前線-
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 〜今年度の液晶TV事業戦略を聞く。3D TVを積極展開〜
 http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/20100514_367040.html

 

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