LX1の液晶パネルは「液晶のシャープ」が送り出した新世代「UV²A」パネルだ。その解像度はもちろんフルHDの1920×1080ドット。
シャープのAQUOSは、従来、ASV液晶パネルという名称のものが採用されてきた。ASV(Advanced Super View)は、実は方式名ではなくブランド名であり、方式的にはマルチドメイン型垂直配向(MVA:Multi Domain Vertical Alignment)液晶の進化系といえるものであった。
新たに開発されたUV²A液晶パネルは、MVAと同じ垂直配向液晶を用いながらも、最も重要な液晶分子レベルで精密に制御するという技術革新が盛り込まれたものである。
その技術革新とは、新素材配向膜に対して紫外線を照射することで、理想的な液晶分子配列を作り出すことのできるテクノロジーだ。この紫外線照射は製造段階に行われるもので、その紫外線の照射を制御することで液晶分子を任意の傾き、方向に精密に配向させることができる。UV²A(UltraViolet induced multi-domain Vertical Alignment)はユーブイツーエーと発音し、名称にあるUVは紫外線のこと。名称にMVAも残っていることからも分かるようにMVA液晶の進化形なのだ。
MVA液晶パネルは、優秀な暗部階調特性はあるが視野角依存があったVA液晶を、複数(Multi)の方向に変えて配向させ、広視野角性能を獲得した進化版であった。その複数方向への配向を実現させるために必要なのが画素電極側に形成させるリブと呼ばれる突起物だ。そしてもう一つ、複数方向に配向させるためにはリブだけでなく、相対するTFT回路上に斜め電界を発生させるために電極を細かく形成しなければならず、これがスリット(細い裂け目)となる。スリットは影となって開口率の低下を招くし、リブに当たった光は散乱して迷光となって漏れてくる。従来のMVA液晶は、優秀になったとはいえ、ここにまだ課題があったのだ。
生産時に紫外線を照射することにより、リブやスリットを使うことなく液晶分子を配向させることができる
これに対しUV²Aパネルでは、製造段階で紫外線照射の方向を変えることで配向膜上の高分子側鎖(鎖状の高分子)の向きを任意の方向に変え、これに沿って液晶分子を初期配向させている。なので、リブもスリットもなしにマルチドメイン化が実現されるのである。さらに、全ての液晶分子に均一にイニシャルトルク(初期規制力)を与えて初期配向させているので、電界を与えたときの液晶応答速度も格段に増すというおまけまで付いてくるのだ。シャープによれば応答速度は従来比約二倍高速化されたという。この紫外線照射による液晶の初期配向工程は「光配向技術」と呼ばれ研究が重ねられてきたが、世界で初めて量産実用化したのがシャープなのだ。 なお、リブがなくなることで迷光は圧倒的に低減されて、黒や暗部階調のダイナミックレンジが広がり、スリットがなくなることで開口率が向上するので光利用効率が向上して明部階調のダイナミックレンジが広がる。
シャープによれば、ネイティブコントラスト比は5000:1とのことで、もはやこの値はプラズマディスプレイパネル並みである。
新開発のUV²A液晶パネルは、非常に優秀なコントラスト表現を実現できる
LX1はバックライトに白色LEDを採用しており、これを液晶パネル直下に配した設計を採用する。直下型RGB-LEDを採用していたXS1とはここが異なる点だが、それだけでなく、XS1では表示する映像の輝度分布に応じてバックライト輝度を局所的に変化させるエリア駆動も行っていた。LX1ではバックライトの白色LEDにはこのエリア駆動の仕組みはないが、表示映像の平均輝度に合わせて、全体輝度を変化させる「フレーム単位の動的バックライト駆動」は行っている。このため、UV²Aパネルのネイティブコントラスト5000:1がさらにエンハンスされることになり、公称動的コントラストは200万:1に達するという。これは上位機種であるXS1の動的コントラスト100万:1以上を上回ってしまう値。バックライトシステムとしてはXS1の方が設計は豪華なわけだが、UV²A液晶パネルの性能が高いためにスペック値でも上下逆転が起きてしまっているわけである。
さて、気になる画質だが、今回の視聴テストにあたってはLX1そのものを筆者宅に設置して約一週間ほど行った。テレビ放送の視聴はもちろん、映画ソフトとしては私物のブルーレイソフトの「ダークナイト」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」などを使用した。
実際に自室にて視聴を敢行
まず、UV²Aパネルの特性として気になる黒表現について。これは、実際に液晶パネルとしては最高レベルの黒が得られていると思う。最初はエリア駆動しない直下型LEDバックライトに意味があるのか…と疑問を持っていた筆者だったが、実際に見てみると、コストとのバランスを考えればLX1にエリア駆動を採用しなかったのも「なるほど」と頷けた。少なくとも一般的な生活照明下で視聴する限りではLX1の黒表現は真っ黒としてしか見えない。これまでの液晶特有の薄明るいグレーの黒表現はもはや過去のものとなった…といってもいいかもしれない。
コントラスト感も素晴らしい。直下型白色LEDのパワー感とUV²Aパネルが先天的に持つ正確な暗部表現の相乗効果で、真っ黒な背景に数ドット単位で描かれるような小面積のハイライトでも、その周りが薄明るくなることなく、鋭く描かれるのだ。
たとえば、星空のシーン、暗闇に浮かぶ街灯の表現などはかなりリアルに見える。また、暗いシーンでの人物の瞳の中に浮かぶハイライトが鋭く、まるで目力が強まったような感じで見え、演技に迫力が増して見える。
また、漆黒表現だけでなく、暗部の色深度も深いため、たとえば日陰の部屋の床に敷かれた模様付きのカーペットのテクスチャも、グレーに落ち込まずに正確な色味を残し、ちゃんと「暗い色」表現が出来ている。つまり、暗く描かれたオブジェクトでも情報量が多いのだ。
かといって、全体的に暗いシーンであってもそこに存在するハイライトのパワー感は損なわれておらず、語弊があるかも知れないが、液晶なのにかなり自発光ライクな映像フレームとして見えるのである。
そして、直視型のディスプレイデバイスの画質の感想としてはおかしく聞こえるかも知れないが、LX1の画質は従来よりも「面」表現が美しく、そしてなおかつ解像感が高く見えたことも報告しておきたい。これはリブレス、スリットレスの副次効果だと推測される。サブピクセルの仕切りの少なさから画素開口率が高くなったことで面表現での粒状感が少なく感じられるのだと思う。そしてリブレスによる迷光の少なさは暗部だけに効いてくるだけではないはずで、迷光が少ないということは先天的に色ノイズが少ないということである。従ってドット単位でサブピクセル色が急激に変化するテクスチャ・ディテール表現、輪郭において的確な描画ができ、それが解像感が高く見えることにつながっているのだと思う。
LX1の視聴機会があるのならば、是非ともやや暗めの部屋で「ハリー・ポッターと謎のプリンス」のチャプター29を見ていただきたい。ここで述べたことが分かってもらえるはずだ。ちなみに、AVポジションは、自動的に視聴環境や視聴ソフトに合わせた画調にしてくれる「ぴったりセレクト」でOKだ。この「ぴったりセレクト」はかなり賢いので、「画質にこだわらない」「画質の違いはよく分からない」といっている人ほど、このAVポジションを選んで欲しい。
2009年から登場したAQUOSの新世代映像エンジン「高画質マスターエンジン」の各機能についてもかいつまんで触れておこう。
「アンベールコントロール」はLX1で新搭載された高画質化ロジックで、輪郭周辺部をすっきりとさせるもの。こちらは各AVポジションの標準設定状態がうまく設定されているのでいじる必要はなし。DS6のときから搭載された表示映像に対して動的な適正画質補正を行う「アクティブコンディショナー」機能のうち「アクティブコントラスト」については、生活照明下では「する」のオン設定がいいが、やや暗めな部屋ではオフ設定の「しない」がいい。映像ソフトに盛り込まれた元々の明るさと暗さを味わうためには、暗室ではUV²Aパネル自体のネイティブコントラスト性能だけで十分すぎるためだ。
LX1のその他の高画質化ロジックについても触れておこう。
UV²Aパネルは非常に高速な応答速度を身につけたが、ホールドボケというのは人間の視覚特性で発生してしまうので、これを低減させる工夫はLX1にも搭載されている。
LX1に搭載される残像低減技術は「高画質Wクリア倍速」という名称で、DS6やDX2に搭載されるものと基本的には同世代だが、直下型白色LEDを液晶描画にシンクロさせてオンオフ(明滅)させる「スキャン倍速」も組み合わされたLX1特有の制御になっている。これはデフォルトでは「切」設定になっていて「QS駆動」設定を「アドバンス(スキャン)」設定にしないと有効にならない。縦横スクロールのカメラパンだけでなく、奥行き方向に突き進んでいくようなシーンでも効果的に威力を発揮する。これは是非オンにして活用してみて欲しい。
それと、倍速駆動技術で気になる補間フレームのエラーだが、これはだいぶ賢く進化している。筆者がテストでよく使う「ダークナイト」のオープニングのビル群のフライバイシーンは、ビル群のディテール表現にピクセル振動を起こす機種が多いのだがLX1ではこれがなかった。映画ソフトなどの毎秒24コマ映像では「フィルムモード」の設定によって補間フレームが挿入されるが、この補間フレームの精度は結構優秀なので、よっぽど速い動きが連続するものでなければ「アドバンス(強)」で常用してもOKだと思う。
「QS駆動」設定を「アドバンス(スキャン)」設定とすることで有効にする「スキャン倍速」機能。「フィルムモード」設定はアドバンス系設定にすると補間フレームが用いられる。LX1は補間フレームのエラーが少ないので「アドバンス(標準)」設定を是非とも活用しよう。
LX1は画質だけでなく音質にも多大な神経を払って設計がなされている。 スピーカーそのものはインビジブルデザイン実装で本体下部に実装されているが、そのユニットが贅沢なのである。
総出力にして30W。大幅に音質がよくなったと定評のあるAQUOS DS6やDX2は20Wだから、それよりも高出力なのだ。
メインのステレオスピーカーはφ2cm×2基、φ5.5cm×2基という2WAY仕様(7.5W+7.5W)で、さらにこの価格帯としては非常に贅沢なサブウーハーユニットが搭載されている。
このウーハーユニットは「Duo Bass」と命名されており、2基のウーハーユニットを対向実装しているのが特徴(7.5W×2)。この実装方式によりパワフルな低音再現と振動低減を両立していて、低音を音量大きめに鳴らしてもビビリが発生しない。
ライブコンサートのブルーレイソフト、DVD-Audioソフトなどを再生してみたが、一般的な普及価格帯のテレビのサウンドとは一線を画した音質となっている。
まず全体像として、低音から高音までが実にフラットな特性。テレビにありがちな中音域が盛り上がった特性ではなく、低音から高音までがバランスよい出力となっている。
高音域の伸びはφ2cmの高音域ユニットのツイーターによるところが大きい。ハイハットやライドシンバルの輪郭音も鮮明に聞こえる。
仕事量の多い中音域とそれ以下を担当するφ5.5cmのウーハーユニットも粒立ちのよいサウンドを鳴らしている。ユニットが下部に配されているのにちゃんと音像は画面中央付近から聞こえてくるのは、音像の定位操作を行っているため。音量を上げてもちゃんとボーカルなどは画面中央から聞こえてくる。
そしてLX1のサウンドのキャラクターを引き立てているサブウーハーのDuo Bassは、しっかりとした力強い低音を出してくれている。音量を上げたときにもバランスが崩れず、音楽番組をやや大きな音量で楽しんでも破綻しない。ロックやジャズだと、DuoBassのパワフル感をもうちょっとだけ強調するとさらに印象がよくなると感じ、筆者は「標準」モードの「低音」に「+6」して楽しんだ。
一般的なPCスピーカーよりも数段音がいいので、PCなどを接続してLX1を簡易的なジュークボックスにして楽しむのもありだろう。(*「DuoBass」は46V型、52V型、60V型に搭載。40V型は2.1ch3ウェイ5スピーカー)
さて、LX1のサウンドシステムは名実ともに2.1CHのサウンドシステムであり、これをお手軽なホームシアター向けのバーチャルサラウンドシステムのように活用したいという要望もユーザーからは出てくることだろう。シャープもこの声を想定し、ARSS(ARound Sound System)と呼ばれる機能を搭載している。これは画面を6基のスピーカーで取り囲むことにより、画面の中から音が出ているように聴かせるものだ。スクリーンに無数の穴を開け映像と音のマッチングを図っている映画館をイメージしてもらえれば分かりやすいと思う。
テレビ放送の映画番組やBSデジタルなどで比較的多く放送されているコンサート番組などではかなり効果的に作用する。そして、ARSSは放送番組の視聴時だけでなくHDMI入力されたデジタル音声にもちゃんと作用する。
もちろん、ステレオ音声放送はステレオサウンドとして聞きたいというユーザーも多いはず。そこでLX1ではそうしたこだわり派のユーザーのために音声調整の「サラウンド」設定に「自動」を用意している。「自動」設定ではサラウンドサウンド放送を視聴したときにだけARSS機能が働き、それ以外の場合では原音主義のステレオで再生してくれる。「サラウンド」設定はデフォルトでは「切」になっているので、LX1ユーザーとなった暁には「自動」設定を一度は試してみよう。
そうそう。"高"音質の機能ではないが、テレビ視聴の際に気になるTV番組本体からCM部に切り替わったときの音量レベルの変化を自動的に抑える「オートボリューム」がLX1シリーズにも搭載されている。こちらもデフォルトでは「切」設定となっているので、CM切り替わり時の音量違いを気にしていた人はこちらもオン設定とすることをお勧めする。
テレビはいまや放送を見るためだけのものではない。
あらゆる映像メディアを映し出すディスプレイ装置としてのポテンシャルがとても重要視されている。そこで重要となるのは接続性だ。
LX1の接続端子群は背面、そして正面右側面に配されている。背面側の接続端子パネルはほぼ恒久的に接続しておきたい各種AVプレイヤーやAVアンプなどの据え置き型機器との接続に、そして側面側の接続端子はゲーム機、カメラ機器などの脱着頻度の高い機器との接続に用いることになる。
現在のデジタル映像機器にとってなくてはならなくなったHDMI端子は、LX1では背面に2系統、側面に1系統が配備される。
もちろん、未だ無視できないアナログAV機器との接続端子もあり。LX1では3系統のアナログビデオ接続端子が実装されており、3系統全てに黄色の映像端子でお馴染みのコンポジットビデオ入力端子が配されている。そのうち2系統には、日本ではハイビジョンアナログ接続端子として普及しているD端子(D5対応。よく勘違いされるがD端子のDはデジタルのDではなく、D形状端子の意。信号自体はアナログ)が排他仕様で備わり、残る1系統にSビデオ端子が排他仕様で備わっている
最近の薄型テレビ製品では省略されることも多いPC入力端子だが、AQUOSは伝統的に1系統を実装してくれており、LX1もその例外ではない。なお、端子自体はアナログRGB接続に対応したDsub15ピン端子となっている。
アナログRGBではなく、PCとデジタルRGB接続を行いたい場合は、HDMI端子を利用することも可能だ。筆者の実機実験では、市販のDVI-HDMI変換アダプタを用いることでドットバイドットの1920×1080ドット表示が行えていた。HDMI階調レベルも正しく0-255で認識してくれるので、PCディスプレイ的に普通に活用できてしまう。
音声関連の接続端子も充実している。
サラウンドサウンド対応番組の音声をデジタル出力するための光デジタル端子は1系統完備。3系統あるアナログビデオ接続端子の全系統には赤白のアナログステレオ音声入力端子が実装されている。
さらにユニークなのはステレオミニジャック端子の特別に実装された音声入力端子。これは「HDMI-2」または「PC」と連動した音声再生を行うための音声入力端子だ。そう。実質的にはHDMI経由で音声を送れないPCとLX1を接続したときのPC音声をLX1へ入力する端子として実装されているのだ。PCを接続したときには、LX1側のスピーカーでPCの音声が再生できるのだ。これは便利。
この他、背面には制御用のRS232C端子、双方向番組のための電話回線端子、インターネット、アクトビラ、IPTVのためのLAN端子、背面にはヘッドフォン端子が実装されている。
ヘッドフォン端子は、2画面表示モード使用時に、スピーカーから音が出ていない方の表示画面側の音声再生に利用できるのが面白い。2画面表示で子供達に子供向け番組をスピーカー音声付きで見せて、大人がニュースなどをヘッドフォン側の音声で聴きながら見る…といった活用が可能だ。
こうした接続性の高さから分かるように、AQUOS LX1は、テレビ製品としてだけでなく、マルチAVユースのディスプレイとしてのポテンシャルもかなり高いのである。
昨年モデルのRX5シリーズ以降、AQUOSはネットワーク機能の充実化にも力を入れてきている。
だからであろう。LX1のネットワーク機能は上位機と同じ妥協なしのフル対応となっている。
AQUOSからネット利用する際のポータル的サイト「AQUOS.JP」
人気検索キーワードのランキングや、発売直後の雑誌を読める「デジ×マガ」、写真を楽しむ「ネットTVアルバム」など、ネットならではの機能が使えるDoTV。AQUOS.JPから1アクションで直接ジャンプできる
2画面表示は様々なパターンに対応。さらにインターネット画面を加えると、合計3画面まで可能
インターフェースもイチからAQUOS向けに作られた「Yahoo! Japan for AQUOS」
フルHDのオンデマンド動画配信を楽しめる「アクトビラ ビデオ・フル」に完全対応 そして今、テレビ関連のネットワーク機能として最も注目を集めているインターネットベースのVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービス「アクトビラ」についてもLX1はフルスペック対応となっている。
デジタル映像メディアとしてインターネットはいまや無視できない存在となっており、また、インターネットとテレビ放送を相互連携させた新しいテレビの楽しみ方も徐々に浸透しつつある。高画質メインストリーム機だからこそLX1は、この新しいメディアにフル対応し、その認知度を向上させようとしているのだ。
リモコンの右上の[インターネット]ボタンを押すことで瞬間的にポータルサイトの「AQUOS.JP」へと接続される。ここはいわゆるメインメニュー的なサイトで、AQUOSの各ネット機能にここからダイブしていくことになる。
全ては紹介しきれないのでポイントだけおさえておくとすると、まず、基本的な調べ物は一番上の「検索」で行える。
ここでパソコン的にインターネットの画面を全画面表示してのインターネット活用もできるのだが、なんとテレビ(外部入力画面)とインターネット画面を同時表示することができるのである。つまり、テレビ番組を見ながらネットブラウジングが行えるのだ。テレビに出てきたタレントについてのプロフィール、あるいは番組で紹介された商品や店舗の情報をテレビ放送を見ながら調べる…というのが最も直接的な活用となるだろう。テレビ放送を見ながら同時にネットを利用できるのは数多くのテレビがある中で、現状、AQUOSだけの機能となっている。
嬉しいのはこうしたテレビ連動検索の活用を手助けるサイト「DoTV」へのショートカットジャンプがポータルサイト画面のAQUOS.JPにちゃんと用意されているところ。現在、どのキーワードの検索が多いのか…のランキング表示もあったりするので、ここを基点にして逆にテレビ放送を楽しむ…なんていう楽しみ方もありかも知れない。
なお、毎日新聞の主要ページの紙面イメージをテレビで読めるサービス「毎日新聞×DoTV」も提供されている。これは、インターネット接続対応モデルのAQUOSだけで閲覧できるサービスとなっており、新しい試みといえる。
外部入力画面を表示しつつのネットブラウジングも可能なので、たとえばゲームの対戦相手待ちをしている間にネットを楽しんだり…という活用もアリ。さらにびっくりすることに「2画面+ネット画面」という、あり得なさそうなほどの多画面表示をサポートしている。なので「テレビ画面×2+ネット画面」「テレビ画面+外部入力画面+ネット画面」という3画面同時表示が一台のLX1で楽しめてしまうのだ。多画面★マニアを自称する筆者だけに、これにはどうしようもないほど琴線を揺さぶられてしまった。ちなみに、LX1には通常の2画面機能も搭載している。2画面を横並びに表示する「サイド・バイ・サイド」と親子画面表示の「ピクチャー・イン・ピクチャー」の両方に対応しているので、多画面表示は何もネット画面を絡めなくてもOK。(*コンテンツによっては2画面、3画面が表示できないこともある)
さて、この他、ネット関連機能としてはAQUOS向けにフルHDにカスタマイズされた「Yahoo! Japan for AQUOS」も要注目のポータルサイトだ。こちらではニュース、天気、地図といった実用情報から、音声朗読付きの「テレビでえほん」のような子供が楽しめるページまでが用意され、それぞれがテレビのリモコンでカジュアルに楽しめるようになっている。世界の不特定多数の人が撮影したflickrの写真をテーマに沿ってBGM付きでスライドショー再生してくれる「写真」機能は、見る番組がないときなどは環境映像的に流しておくのもいいかもしれない。
LX1はH.264デコーダを内蔵しているため、アクトビラ ビデオの最上位である「アクトビラ ビデオ・フル」にも対応している。ちなみに「アクトビラ ビデオ・フル」とはハイビジョン版のアクトビラ ビデオをフル画面表示で楽しめるもの。
現在、数百にも登るアクトビラ ビデオ・フルが配信されており、有料放送はもちろんのこと、無料放送でも非常に見応えのある番組が揃っている。なかなか放送波には乗らない有名アーティストの過去のレアなライブ映像や、1話まるまる楽しめるドラマの第1話など、メニューをまさぐればまさぐるほど興味深いコンテンツに行き当たる。連続ドラマは2話目以降が有料となる場合が多いが、無料で1話目をお試しで見られるのは嬉しい。
なお、HDマーク入りのコンテンツはハイビジョン映像であり、これがアクトビラ・ビデオ・フルのコンテンツの真骨頂だ。ネット経由だからと行って侮ることなかれ。そのコーデックは、デジタル放送で採用されているMPEG2よりも世代の新しいH.264ベースなので、場合によってはデジタル放送よりも画質が綺麗なコンテンツも少なくないのだ。 AQUOS LX1ユーザーとなったときには、アンテナ端子の接続だけでなく、インターネットにも接続してやろう。ここまで充実したネット機能を使わないのはもったいなさ過ぎる。
白色LEDバックライトとUV²Aパネルの相乗効果は思ったよりも大きく、LX1の映像は自発光を思わせるハイコントラスト感と、液晶ならではのアナログ感たっぷりのカラー表現と階調表現が両立される、実に特徴的な画質となっていた。特にUV²Aパネルの特性が暗部表現だけでなく、面表現を美しく見せたり、ディテール表現をくっきり見せるところにも効いているのが分かったのは収穫だった。
総じて1つ言えるのは、現状、LX1の画質はかなりの「オンリーワン画質」になっているということ。
さらに、この高画質性能に負けていない、高品位なサウンド性能を身に付けている点も高く評価したい。
接続性にも妥協がなく、ネット機能はフルスペックで搭載。 LX1は決して手の届かないハイエンド機ではなく、画質性能と機能を高次元にバランスさせた、意欲的なメインストリーム機に仕上がっているのがいい。そして、忘れてはならないのが“省エネ”。LX1は高画質とともに業界No1の省エネを達成している。LX1の登場により、2009年冬、液晶画質は一気に底上げされるはずだ。
[Reported by トライゼット西川善司]