成熟、そして進化へ〜 ブルーレイ内蔵第2世代「AQUOS DX2」

 シャープの液晶テレビAQUOS(アクオス)DXシリーズの最新機DX2は、BD(Blu-ray Disc)レコーダーを内蔵したBD録画対応の液晶テレビである。DX2は、2008年11月に発売された世界初のブルーレイ内蔵テレビ「AQUOS DX1」の後継で、今回は26V型から52V型まで全13モデルをひっさげて登場した意欲作だ。いわゆる録画テレビが注目されるトレンドの中で、ブルーレイ内蔵のアドバンテージとは何か? 使い勝手はどうか? どのようなテレビライフが開けるのか? DX2の企画担当者へのインタビューを交えて、その新しい魅力を探ってみよう。

世界的なプロダクトデザイナー喜多俊之氏のデザインによるツートーンカラーの本体は、丸形アンダースピーカーとスター型の台座を採用。カラーリングはホワイト・レッド・ブラックの3色が選べ(46型と52型はホワイトとブラックのみ)、生活に馴染むスタイリッシュさを演出している

”BD付きテレビ”という新カテゴリーを開拓

シャープ株式会社 AVシステム事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 商品企画部 渥美忠道氏にお話をうかがった

「ブルーレイ内蔵のAQUOS DXシリーズは、すでに50万台の出荷を達成しています。AQUOS販売に占める割合は2008年下期で14%、2009年上期には20%を超えると予想され、急速に成長しています。このようなお客様の支持によって”ブルーレイ内蔵液晶テレビ”という新しい商品カテゴリーを作れたと実感しています」(シャープ)

 ブルーレイ内蔵という選択は正しかったと言えそうだが、DXシリーズの開発陣はBDの何に注目したのだろう?

 「BDは”かんたん便利”なんです。BDの何が良いかといえば、ディスクという形に尽きると思います。BDを使えば時間の移動はもちろん、ディスクを抜いて場所を移動できますし、録画ライブラリとして本棚に並べることも可能です。またBD-ROMなどの映画も楽しめます。内蔵HDDでは、このようなシンプルかつ広がりのある用途提案はできません」

 新しいジャンルの製品だけにユーザーの意見や感想はどうなのだろう?

「お客様のご感想は機能についてではなくて、『AQUOSで子供にBDソフトを見せていると家事がはかどる』というように使いこなしにまで踏み込んだご感想を多くいただきました。これは機能がお客様の期待にジャストフィットしていて、すぐに使いこなせている証拠だと思います。実際に、ブルーレイ内蔵AQUOSでは一般のAQUOS比で女性層が約2倍に増え、BDソフトを再生する頻度は約1.3倍に、録画の頻度は約1.1倍に増えています」

 

 BDというと、いまだに映像ファン御用達のマニアックなメディアに思えるが、こうした”かんたん便利さ”からすると、むしろVHSから乗り換えるビギナー向きのメディアともいえるだろう。記録ディスクが2種類だけでわかりやすく(記録型DVDの規格の多さといったら!)、長時間の録画が可能、という点でもBDは、DVDが果たせなかったポストVHSにふさわしい録画メディアといえそうだ。

「DXシリーズは、DVDやHDD内蔵ではなく、ブルーレイ内蔵だからこそ実現できたテレビです。BDのもっている”かんたん便利さ”に触発されなければDXシリーズは生まれなかったと思います。技術的な背景としては、BDドライブのピックアップと液晶パネルを自社で生産している強みも大きな後押しになりました」

 そうした”かんたん便利”のコンセプトをさらに進化させたのが、今回のAQUS DX2である。 「DX2では、DX1以上を目指した更なる”かんたんさ”を追求しました。このコンセプトをフレンドリーなGUIと高度な自動調整機能などで実現しています。同時に、安心して選べて末永く使える”将来性の高さ”も大きなコンセプトで、このために最新の録画機能やネット機能などを積極的に新採用しています」

見ながら操作のできる「新・モーションガイド」

各機能にシームレスにアクセスできる新UI「新・モーションガイド」

リモコンのボタンは従来機と同じレイアウトだが、十字キーの右上に「新・モーションガイド」を呼び出す「ホーム」ボタンが新設された。タイマー機能などをかんたんに呼び出せる「ツール」ボタンも新たに装備している

 DX2はかんたん操作を実現するため、従来機の操作画面をリファインした「新・モーションガイド」を採用している。  

「新・モーションガイドは、テレビを見ながら操作できる一覧性の高さ、そしてテレビとネットを同列に選局できるシームレスな操作性にこだわって設計しました」

 「新・モーションガイド」を実際に体験してみよう。リモコンの十字キーの上に大きな「ホーム」ボタンが配置されていて、このボタンを押すと「新・モーションガイド」が表示される。

 本GUIはハイビジョンに最適化されたホームメニューで、高解像度表示を活かして機能をコンパクトにレイアウトしている。一般的なスタートメニューではGUIがテレビ画面を覆い隠してしまう場合が多いが、本GUIではテレビ放送画面が常に大きく合成表示され、テレビを視聴しながら選局などの操作ができる点が優れている。画面の遷移が少なく、この操作画面を起点にほとんどの操作ができてしまう点も便利だ。

 GUIの構成は、たとえるならPCのWebブラウザーでサイドメニューを開いたような印象で、テレビ画面が常に大きく表示されていて、まさに液晶大画面のための統合メニューという印象だ。基本操作は、上部のタブをリモコンの左右キーで選び、決定ボタンを押すとサイドメニューにカーソルが移る。「戻る」ボタンで上部タブに戻れるしくみだ。GUIのデザインやカラーリングが洗練されていて、タブやサイドメニューなどがアニメーション表示されるなど、ルック&フィールの良いフレンドリーなGUIを実現している。

テレビとネットをシームレスに選局

BD、外部入力、放送、インターネット配信などが総て同列に並べられ、シームレスにアクセスできる

 選局は上部タブで「チャンネル」を選ぶと、チャンネル一覧のサイドメニューにカーソルが移る。チャンネル一覧では、今放送されている番組の一覧が見られる。アナログ、地デジ、BS、CSのほか、BDの再生リスト、インターネットやIPTVまで同列で選局でき、チャンネルを切り換える感覚でテレビとネットをシームレスに楽しめる。

 デジタル放送では、画面下部に番組名のほか、番組説明がテロップで流れる点も親切だ。「チャンネル一覧の番組情報はリアルタイムに更新されますので、裏番組を確認しながらテレビを楽しめます」

大きく進化したEPG検索機能

 ホームメニューの上部タブで「番組表(予約)」を選ぶと、EPG(電子番組表)にジャンプする。なお、従来のようにリモコンの「番組表」ボタンでもEPGを表示可能だ。EPGは見やすい、新聞と同じような方式で、好みに応じて文字サイズを切換えることもできる。

 EPGの番組検索機能も大きく進化している。特に「ジャンル検索」の「おすすめ」ジャンル検索が高度だ。これはユーザーの視聴履歴を解析して、おすすめの番組を紹介してくれる機能で、ジャンル履歴のほか、視聴した時間帯までを解析して、おすすめ番組を紹介してくれる賢い機能。「例えば、深夜に視聴する機会の多い方には、深夜放送で嗜好にあった番組を紹介します」

 キーワード検索は、プリセットワードのほか、フリーワードでの検索も可能になるなど、BD録画にふさわしい充実した検索機能を装備している。

DX1からBD自動再生とワンタッチ予約などを継承しているということで、確かにBDへの録画予約はとても簡単で、EPGで見たい番組をフォーカスして決定ボタンを押すだけのワンタッチ操作で予約が完了する。この場合、録画モードはデフォルトで5倍モードに設定される(初期設定でデフォルトを変えることも可能)。予約リストが画面左に一覧表示されるので、独立した予約リスト画面に入って確認する手間もない。

 こうして登録した、かんたん予約を修正することで詳細な予約も可能だ。手順は予約リストから、既存のかんたん予約を選んで修正する。録画モードや、録画日、録画時間、毎日・毎週録画など一般レコーダーの詳細予約と同じ要領で予約内容を修正できる。

EPG番組表

ユーザーの履歴を分析しておすすめの番組を表示

自由なキーワードで予約録画することが可能

7倍モードでBDに30時間録画

本体右側面にBDドライブユニットを搭載。新たに採用された7倍モードを使えば、二層BD-R/REに約30時間のフルハイビジョン録画が可能だ。またBD-ROM映画などを挿入すれば自動的に再生が始まる「一発再生」機能も継承している

 デジタル放送の録画モードは、標準(TS)、H.264トランスコードによる2倍、3倍、5倍モードのほか、新たに長時間7倍モードが追加された。いずれのモードもフルハイビジョン録画になり、7倍モードを使えば、二層BDに約30時間のフルハイビジョン録画が可能だ。

 「7倍モードを使えば、連続ドラマなどのシリーズものや、長時間番組も1枚のBDに納められ、別の部屋で楽しむことも可能です」

テレビとAQUOSレコーダーで同時録画

AQUOSファミリンクによる機器連動に対応。ひとつのリモコンでテレビとレコーダーの両方を操作できる

対応レコーダーを接続している場合、録画時に柔軟な連動が可能となる

 録画予約のアイデア新機能として「録画先自動切換」が挙げられる。本機能は詳細予約の画面で設定でき、「BD優先」、「常時両方」、「しない」が選べる。

 「BD優先」にすると、普段は本機内蔵のBDに録画し、録画できるBDが入っていない場合に、ファミリンク(HDMIリンク)で接続された同社のアクオスレコーダー(ファミリンク対応)で録画を代行できる。

 「BD-ROMを見てからディスクを交換せずに、うっかりそのまま外出してしまった、というときや、BDの容量が一杯になっていた、という場合に、レコーダーがピンチヒッターになってくれる親切な機能です」

 ちなみに「常時両方」に設定すると、内蔵BDとアクオスレコーダーの両方で同じ番組を録画することができる。

 「常時両方で録画すれば、レコーダーのHDD録画は見て消すタイムシフト視聴用に、DX2のBD録画をライブラリ保存用に使う、といった使いこなしができます。HDDからBDにダビングする手間が省けるので、ライブラリ指向のユーザーにも重宝されるでしょう」

BDで録画予約も持ち運べる

 これはDX2からの機能であるが、予約情報をBDに書き込んで”予約を持ち運ぶ”こともできてしまう。

 録画の詳細予約の際に「オプション機能」でBDへの「予約の書き込み」を選ぶと、BD自体に予約情報が記録される。

 予約情報が記録されたディスクを他のDXシリーズやアクオスレコーダー(2009年春モデル以降)に挿入すると、その機器に予約が自動登録され、放送時間が来れば予約録画が実行されるしくみだ。

 「この機能を利用すれば、寝室のアクオスで予約して、リビングのアクオスレコーダーで予約を実行することや、アクオスユーザーの親に予約情報入りのBDを渡して、録画は実家でしてもらう、というように、アクオスファミリーならではの便利な使いこなしができます」

予約情報が記録されたBDを挿入すると、予約の登録確認のダイアログが表示され、挿入した機器で予約録画が実行できる

BDで録画した再生リストもサイドメニューにコンパクトに表示される。フォーカスされたタイトルの動画サムネイルが下部に表示されるしくみだ。リモコンの黄色ボタンで「頭から再生」、「消去」、「保護/解除」のタイトル操作ができる

オールインワンの利点を活かした自動調整機能

面倒な設定なしに、自動で周囲の環境や映像ソースにあわせた画質・音質に調整してくれる「ぴったりセレクト」

画面の右下に「ぴったりセレクト」機能で視聴環境を感知するRGBセンサーを装備

光センサーで部屋の明るさや色温度を検知して、それにあわせた画質調整をおこなう

音質の自動調整にも対応

 「画質・音質の調整にも、かんたん操作のコンセプトを反映させました。テレビにレコーダーを外付けした場合、テレビ側ではAVソースの詳細な情報を判別できないために、おおまかな自動調整しかできません。これに対してDX2は、AVソースと液晶表示がオールインワンであるため、タイトルのジャンルや映像特性などの情報を細かく判別して液晶の表示に反映できます。このメリットを活かして、テレビ任せの全自動でソースに最適な映像と音を楽しめるようにしました」

 DX2は、部屋の照明環境や映像を検知して、全自動でイコライジング(調整)を行う「ぴったりセレクト」機能を新採用している。  本機能は、映像情報と画面右下のRGBセンサーによって、部屋の明るさと色温度(ホワイトバランス)を測定し、環境に最適な画質に調整してくれる機能である。

 例えば、強い外光の入る昼間は、画面の明るさと色濃度を上げて青寄りに調整し、電球照明で暗めになる夜は、画面の明るさを抑え、赤寄りに調整するしくみだ。

 RGBセンサーによって部屋の明るさだけでなく、色温度まで図れる贅沢な仕様で、同じ夜間でも、夕食のだんらんは明るい蛍光灯、食後は電球の間接照明、というような視聴環境の変化にもきめ細かく対応できる。

 「自動調整の幅は、ダイナミックモードに近いメリハリのある映像から、シネマモードと同じおとなしめの映像まで、可変レンジが広くフレキシブルに変化します」  また「映像素材判別」では、番組のジャンル情報と、24コマ映画など映像ソースを判別して最適な画質調整も行う。さらに「映像信号解析」で、シーンのヒストグラム解析による自動イコライジングを行う。またディスクの種別や録画記録状態、外部入力などの情報も判別して、きめ細かい自動調整を行ってくれる。

 音声に関しても、映画やスポーツなどのジャンル、5.1chサラウンドなどに最適な自動イコライジングを行い、深夜にはボリュームを絞っても聞きやすい音質に自動調整してくれるなど、手間いらずで最適なサウンドを楽しめる。

「画質調整の仕方がわからずにデフォルトモードのままテレビを見ていたビギナーの方々はもちろん、映像ソースや部屋の照明が変わる度に画質調整するのは面倒、という映像ファンの方々も重宝すると思います」

 「ぴったりセレクト」の設定はとても簡単で、「AVポジション」(画質切換)で「ぴったりセレクト」を選ぶだけで全自動の画質調整モードに切り換わる。

 センサーはテレビラックの色やカーテンの色などにも影響を受ける。こうした差異を吸収するために「部屋の照明測定」で明るさと色温度の測定基準を微調整することも可能だ。GUIには「外光」(明室)、「白熱灯」というように光源の判定結果が表示されるので、実際の照明環境に合うようにスライドバーで微調整を行えば良い。このあたりの詳細さにもこだわりが感じられる。

充実したネット機能を新採用

 「将来性の高さを実現するために、充実したインターネット機能を新たに採用しました。ネット機能をチャンネル感覚の使いやすい形にしたのがポイントです」

 DX1はネット非対応であったが、DX2はテレビ用のネット機能をフル装備している。動画配信サービスでは「アクトビラ」の「アクトビラビデオ・フル」に対応するほか、NTTぷららの「ひかりTV」は専用チューナーをあらかじめ内蔵している。またAQUOS専用サービスである「AQUOS.jp」「Yahoo! JAPAN for AQUOS」「DoTV デジ×マガ」などにも対応している。上記したように、テレビ放送とシームレスに表示され、チャンネルを選ぶ感覚で各サイトにアクセスできるのが特徴だ。

 このほかBD-LIVE対応や、携帯電話などとのIrss通信のほか、DLNA(クライアント)機能で家庭内ネットワークを実現できるなど、ネット機能はとても充実している。

 40V型以上には、先日発売されたAQUOS DS6に採用された最新の映像回路「高画質マスターエンジン」と倍速補完されたコマのボケを補正する「Wクリア倍速」回路を搭載。映像の動きや明るさに適応したノイズ・リダクションを行う「アクティブコンディショナー」を全モデルに採用している。また音声回路では全モデルにフルデジタル1ビットアンプを搭載している。

 省エネ機能も進化していて、消費電力は従来機10%減、待機電力0.1W(録画予約可)を実現している。消費電力は一般のテレビ+単体レコーダーより低めで、特に単体レコーダーと比べるとクイックスタートが不要な分だけ待機電力が低くなっている。もちろん、レコーダーと違ってエコポイントの適用製品である。

第二世代BD内蔵機にふさわしい完成度

 総じて見ると、このDX2はBD録画に加え、最新の高画質化機能やネット対応を積極的に採用しており、DX1と比べると飛躍的に進化した、という印象だ。本体の質感やAVクオリティも大きく向上しているのが実感できる。それでいて操作はとてもわかりやすい。録画機能つきのテレビは難解になりがちだが、DX2は様々なアイデア機能によってフレンドリーなBD録画を実現している。

 「単に液晶テレビにBD機能を付け足した、というよりも、新しいジャンルのテレビを開発できた、と思っています」

 確かにテレビ機能とBD録画機能が巧みに融合されていて、テレビにとりあえず録画機能を入れた、という段階から、録画機能をテレビに最適な形にカスタマイズするステージにまで進化している。第二世代のブルーレイ内蔵テレビにふさわしい完成度といえるだろう。

 本機は同社のブルーレイ内蔵テレビに賭ける意欲の高さが感じられる製品だ。

「DX2によって”ブルーレイ内蔵液晶テレビ”という新しいカテゴリーをさらに確固にしたいと思っています。いわゆる録画テレビの中で、ブルーレイ内蔵テレビは、ユーザーのニーズの中央に位置する製品だと確信しています。これからは弊社の液晶テレビをお買い上げいただくというよりも、ブルーレイつきのAQUOSがほしい、と指名買いいただけるように開発・商品化に取り組みたいと思っています」 企画担当者は確かな方向を見いだしているようで、今後の展開にも期待したい。

(Reported by 増田和夫)

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