アナログ放送終了の認知度の高まりと国が開始したエコポイント政策の後押しとの相乗効果で、不況と騒がれながらも、一般消費者の薄型テレビへの買い換えへの関心は依然と高い。
そんな流れを受けてか各メーカーもテレビの商品開発にはいっそう力が入っている。
ただ、あまりにも製品が多すぎてどれがいいのやら分からないという人は少なくないはず。
TVCMの影響もあって、液晶テレビブランドでもっとも有名なのはAQUOSだ。
実際「とりあえず、『美しい日本の液晶』のAQUOSにしようかな」と考えている人も多いと思う。
その考えの方向性は間違ってはいないが、やや漠然としすぎている。AQUOSは現行モデルだけでも8ラインナップがあり、画面サイズバリエーションを含めると全部で70モデルが存在するため、「どのAQUOSがいいのか分からない」というのが、結局の着地点かと思う。
そんな中、筆者が、「AQUOSがほしいんだけど、どのAQUOSがいい?」と聞かれれば、今期は「DS6」ラインを推す。
シャープとしてはユーザーの多様なニーズに細かく応えるべくラインナップを充実化してきたのだが、平均的な消費者から一番多いのはやはり「オールラウンドに優秀なやつがほしい」という要望だ。
「DS6」は、この要望に、ズバリ応えられる製品であり、まさに死角無しの「ベストチョイス」モデルなのである。
やはり、今から買い換えるとすれば、解像度は1920×1080ドットのフルスペックハイビジョン(フルHD)が欲しいところ。
デジタル放送やブルーレイ、あるいは今世代のゲーム機の映像を過不足なく、リアル表示するには、やはり、フルHDでないと寂しい。
いわゆる標準ハイビジョンとよばれる1366×768ドットは約100万画素、フルHDの1920×1080ドットでは約200万画素だ。つまり、標準ハイビジョンパネルでは、フルHD映像の解像度が半分に圧縮されて表示されることとなってしまう。単純計算でいくと情報量は半分くらいになってしまうわけで、この差は大きい。
DS6ラインでは32V型、40V型、42V型、46V型、52V型の5画面サイズバリエーションが設定されているが、その全ての画面サイズのモデルがフルHD解像度を採用している。
他社製品では、32V型モデルはまだ標準ハイビジョン解像度モデルのみのところも多く、32V型モデルでもフルHDパネル採用というのはAQUOSの強い訴求ポイントになっている。「32V型でフルHD」で製品を探してみると意外に選択肢が少ないことに気がつき、AQUOSのLC-32DS6の存在価値の高さに改めて気がつくはずだ。
この上は、40V型、42V型、46V型、52V型があり、当然、すべてフルHD。ちなみに37V型はDS6ラインにはラインアップされていない。
お勧めは、価格と画面サイズの大型感のバランスがいい40V型。パーソナルユースには十分過ぎる大画面が得られ、リビングで使うにも申し分なしの大きさ。これまで37V型の標準ハイビジョン機を使っていた人の買い換えにもお勧めだ。なぜなら、画面サイズのグレードアップと解像度のグレードアップを価格帯を引き上げずに、同時にできてしまうため。
42V型、46V型と52V型は予算と設置場所に合わせて選ぶのがいい。一般的な8〜12畳クラスのリビングならば46V型でも十分な大画面感は得られる。「なにはともあれ大画面が欲しい」という人には絶対的に52V型をお勧めする。実勢価格のインチ単価で換算してみるといい。実はインチ単価ではDS6ライン中、52V型のLC-52DS6が一番安いのだ。46V型を検討している人はエコポイント分を予算に組み入れて52V型に手を伸ばしてしまうのもアリだろう。
他のAQUOSにない、DS6ラインの特徴として強くアピールしておきたいのが、カラーバリエーションがあるというところ。
DS6ラインでは42V型、46V型と52V型は白色モデルと黒色モデルがラインナップされており、さらに40V型と32V型では、それらに加えて赤色も選べるようになっている。
テレビは電源を入れていないときはかなり存在感のあるインテリアとして部屋に居座るため、部屋のトータルコーディネイトにこだわりたい人にとって、このボディカラーが選べるというのは結構、重要。
基本的に、部屋の壁紙などとあわせてインテリアを白基調で統一したいのならば白色モデルがお勧めだ。
ホームシアターのセンターモニタとしての活用も想定している場合は、周囲に黒いスピーカーが置かれている場合が多いので、その場合にはやはり黒色が締まる。
焦げ茶のテレビラックや周囲に木目調のサイドボードがあるようなシックなたたずまいのリビングだと赤色が似合う。筆者のイチオシはこの赤で、カタログではやや明るい赤に見えるが実際はかなり焦げ茶に寄ったシックな色合いで高級感があるのだ。周囲の照明によっても色合いが変わるのでそこの味わいも深い。
ちなみに、DS6ラインのボディカラーは塗装色ではなく、ボディーカラー毎に異なる色の素材を使用しており、更に透明な素材を混合することで上質な質感を持たせている。
最初期のDシリーズのAQUOSは、かなりカジュアルな面持ちだったが、DS6ラインでは高級指向な雰囲気を持つようになってきた。
「AQUOS Dシリーズはカジュアル層向け」という当初のDシリーズのコンセプトは、今期のDS6ラインではだいぶ変わってきたように思える。
というのも、LEDバックライト搭載のフラッグシップ機「AQUOS XS1ライン」を除けば、今期、もっとも最先端の映像エンジンを搭載した高画質モデルとしてDS6ラインが訴求されているからだ。
その証拠に、AQUOS DS6ラインには新開発の映像エンジン「高画質マスターエンジン」が搭載されている。
高画質マスターエンジンは、AQUOS向けの新世代映像エンジンに相当し、新開発の「Wクリア倍速」と「アクティブコンディショナー」を搭載、さらに従来機にも搭載されていた「なめらか高画質」機能を進化させているのが特徴となっている。
この高画質マスターエンジンの3つの新機能はDS6ラインが初搭載となるので、本稿で詳しく解説しておこう。
液晶映像のボケの大きな原因は、いまや液晶パネルの応答速度ではなく、直前まで前フレームの映像を見続けた人間が、瞬間的に切り替わった次フレームを見たことで前フレームの知覚が脳に残ることで発生する「知覚的な残像現象」に原因がある。これが、液晶パネルのホールド式表示の原理そのものが原因とされるボケ、いわゆる「ホールドボケ」だ。
しかし、現実世界は明滅しているわけではないので、いわばホールド表示であり、液晶パネルと同じ。違いは、現実世界はフレームレートが無限大、かたや液晶パネルは基本毎秒60コマという部分だ。突き詰めれば、この差がホールドボケの原因ということになる。
この差を埋めるために考案されたのが、前フレームと次フレームの間に算術合成したフレームを挟み込んで表示することで、実質的にフレームレートを増加させ、現実世界の視界(フレームレート無限大)に少しでも近づけてホールドボケを低減しようとする「倍速駆動技術」(補間フレーム挿入技術ともいう)だ。
この、液晶テレビの残像低減技術としてすっかり定着してきた感のある倍速駆動技術は当然DS6ラインにも搭載されるが、DS6ラインにはその進化形の「Wクリア倍速」が搭載されている。
これは、基本的な方針は通常の倍速駆動技術と変わらないが、補間フレームに適応型補正を行うロジックを挿入しているのがポイントとなっている。
カメラのパン時に生じるぼやけを検出し、倍速処理する際に輪郭強調等で鮮鋭化することで、動画ぼやけを抑えることが可能になる。なお、この補正量は補間フレーム生成の折に算出した、映像の動きベクトルに応じて強弱を調整する制御となっている。補間前の映像に適した処理をすることで、鮮鋭化された映像から補間する為、クリアな動画映像に改善されるのだ。
アクティブコンディショナーは簡単に言うと、最近流行の映像フレームに対して適応型の画質調整を行うロジックになる。
具体的には、最適なガンマ補正、黒レベル調整、ゲイン調整、色補正を、入力映像に対しフレーム・バイ・フレームでリアルタイムに調整を行う。
これに加え、ノイズ低減フィルターの動作を映像の動きに応じて強弱を制御する動作も盛り込まれている。
TV番組等の撮影時に混入するランダムノイズ(時間方向ノイズ)は3Dノイズフィルタで低減することになるのだが、これを過度に効かせると糸引き残像が出やすくなる。そこで、アクティブコンディショナーでは、映像の動きに応じてこの3Dノイズフィルタの効き方の強弱を変える制御をしているのだ。具体的には、静止画では糸引き残像が出にくいのでやや強めに掛け、動きが激しいシーンではほとんど掛けない、というような制御を入れている。さらに、アクティブコンディショナーでは、MPEGノイズ低減フィルタにも、このような適応型の制御を盛り込んでいるとのことだ。
このため、映像は視覚上、安定したSN比の高画質が得られるというわけだ。
液晶画面の映像表示は、バックライトからの光を、表示面に約200万個(フルHD解像度の場合)並べられた液晶画素でどのくらい透過させるか、制御することで行っている(※各画素はさらに小さい複数個からのサブピクセルから構成される)。
「なめらか高画質」は、表示映像を細かく、リアルタイムに分析し、その映像を表示するにあたって最適な液晶画素の光の透過制御とバックライト輝度制御を行いながら表示を行うテクノロジーだ。なお、DS6ラインより搭載された「進化型なめらか高画質」では、この一連の制御アルゴリズムをさらに洗練させて、画質を向上させている。
安価な液晶テレビのように、こうした処理を行わず固定的なバックライト輝度と1つのプロファイルだけの画素駆動を行なうと、液晶パネルの映像表現能力は無難な範囲だけにとどまることになり、ひいては色も輝度も表現幅が狭くなって、黒は浮き気味となり、しかも明暗の幅も狭くなってコントラスト感が乏しくなってしまう。
DS6ラインでは、この進化型なめらか高画質により、その液晶パネルとバックライトシステムの双方が持つ潜在能力を最大限に引き出した映像表示が行えるのだ。これにより、色ダイナミックレンジ、輝度ダイナミックレンジを最大限に確保した映像表現を生み出すことができるのである。
今回の評価にあたり、DS6ラインと同じ世代の液晶パネルを採用した同画面サイズのAQUOSのEX5との比較視聴も行ったが、グラデーション表現のなめらかさやコントラスト感は明らかにDS6ラインの方が向上しているのが分かる。液晶パネルが同じでも映像エンジンの進化でここまで画質は変わるのだ。
DS6ラインの画質の実力を確かめるべく、実際に46V型のLC-46DS6を自宅に取り寄せて視聴することにした。
評価映像には、最近、よく用いているブルーレイディスク映画ソフトの「ダークナイト」を使用。オープニングのビル群のフライバイ映像は倍速駆動技術の効果を検証するのにちょうどいい。
Wクリア倍速の効果はてきめんだ。
このシーンは単純な縦横スクロールではない、奥から手前への3Dスクロールのシーンとなるわけだが、ビルの細かい縦縞のモールドは振動せずスムーズに迫ってきている。筆者は一部のテレビにおいて、このシーンでピクセル振動を確認しているが、DS6ラインではこれが認められない。また、ダークナイトは1080/24pソフトなので、このシーンのビルの輪郭の接近の動きなどには、カクンカクンとした典型的なフィルムジャダーを知覚しやすいのだが、これもWクリア倍速の効果が素晴らしく、非常にスムーズだ。そのあとのシーンの、二人の悪党がロープをすべって移動するシーンでも、完成度の低い倍速駆動技術ではこの人物の周りに湯気のような残像が現れるのだが、それもない。かなり理想に近い倍速駆動技術となっているように見える。
チャプター20のIMAX撮影されたトンネル内のカーチェイスシーンでは、進化型なめらか高画質の効果が実感できる。プリセット画調モード(AVポジション)は「標準」か「映画(リビング)」にするとその効果がわかりやすい。
導入部の暗闇を走るシーンでは黒が締まりつつ、ハイライトがシャープに光り、立体感を感じさせるハイダイナミックレンジな映像表現となっている。中盤のロケットランチャーまで登場する銃撃戦では、爆発の閃光がまばゆいばかりに光り、かと思うと、シーンが切り替わり暗闇の走行シーンになると、暗い階調中心の画を的確に描き出してくれている。バックライト輝度をかなりダイナミックに切り換えているのだが、不自然さはなく、むしろ時間方向にダイナミックなコントラスト表現を行ってくれるため、映像としてのリアリティを強く感じられる。
夕闇の暗いグラデーションも、擬似輪郭が無く、とてもスムーズなことに感動する。
これは、進化型なめらか高画質で改良されたBDE(Bit Depth Expansion)の強化が効いているようだ。
DS6ラインでは、着目しているピクセルの近接している周辺ピクセルに探索を掛け、グラデーション表現であることを検知すると、映像自体を加工せず、サブピクセルレベルで階調をなめらかに繋ぐ補正を掛ける仕組みが適用される。これにより、ディテールがつぶれることなくグラデーションを美しく描き出すことを実現しているのだ。
これは人肌にも効果的で、頬の白いハイライトと肌色まで、グラデーションがなめらかに繋がっており、その丸みが立体的に伝わってくる。顔に影が落ちている部分などでは肌色が急激に茶色に変化していたりするが、そうした色味の違う色へのグラデーションも美しい。
アクティブコンディショナーはメニューの「映像設定」-「アクティブ設定」の「入/切」設定で「入」とすると有効になる。AVポジションでは「標準」や「映画(リビング)」などでデフォルトで有効になっている。アクティブコンディショナーの機能は特にテレビ放送の映像に効果が大きい。なぜかというと、デジタル放送では、静止している映像中のオブジェクトの輪郭部分や静止した高周波表現付近にモヤモヤとしたモスキートノイズが目立ちやすいが、これをうまく低減できるからだ。特に地デジ放送は、番組によってはけっこうノイジーなものも多いが、DS6ラインでは、このアクティブコンディショナーを有効化すると1フレーム1フレームが安定した美しさを持つようになる。
実際にDS6ラインを評価して気がついた点もあるので、晴れてAQUOS DS6ラインのオーナーとなった人への活用指南も記しておこう。
DS6ラインのなめらか高画質のハイダイナミックレンジな表現を堪能したいのであればAVポジションは「標準」モードがお勧めだ。公称値15,000:1のテレビコントラストは「ダイナミック」モード時だが、ここまで高いコントラスト表現は通常の視聴ではいらない。「標準」モードでも十分なハイダイナミックレンジ感が得られる。
モードを切り換えるのが面倒で、映画ソフトもデジタル放送も、DS6ラインにお任せっきりで高画質に見たいというのであれば「映画(リビング)」モードがお勧めだ。全自動でDS6ラインがその部屋の明るさを監視し、明るければ色温度を9300Kまで徐々に上げてマスターモニターに近い画調にして、部屋を暗くすれば色温度を6500Kくらいまで徐々に落としてくれる。この設定ではアクティブコンディショナーも有効なので、ほぼ全ての画質の調整をDS6ラインにおまかせに出来る。
ブルーレイなどの1080/24pの映画ソフトを見るとき、基本的に筆者はWクリア倍速はオンでもよいとは思うのだが、古めの映画など、フィルムジャダーがむしろ「味」になっている映像ソースを見るときなどは、メニューの「映像調整」-「プロ設定」-「フィルムモード」の設定を「標準」設定にするといい。こうすることで同一フレームを4回描画して96fpsで表示する原信号重視モードになる。ちなみに、この設定を「アドバンス(標準/強)」にすると、1080/24pソースでもWクリア倍速相当の機能が働いて補間フレームを挿入しながらの96fps表示になり、フィルムジャダーが低減されてスムーズになる。ここの使い分けはマニュアルにもあまり明記されていないので覚えておくといいだろう。
いまやテレビはデジタル放送や映画ソフトを見るだけでなく、ゲームモニターとしての機能も強く求められている。さらにいえば、PCディスプレイとしての活用の機会も増えている。
筆者は、この点も重視したテレビ選びを奨励する立場を取っているので、DS6ラインについてもこの点をチェックしてみた。
まず接続性に関してだが、HDMI端子は3系統、D5端子は2系統を装備する。うちHDMI端子1系統、D5端子1系統は脱着に便利な側面に配されているのでゲーム機の接続の差し替えがやりやすい。
プレイステーション3とXbox 360はHDMI端子が最も高画質に接続できるわけだが、その両方を接続しても1端子余る。Wiiの接続にはD5端子が最も高画質となるわけだが、Wiiを接続しても1端子余る。接続端子のアクセス性も、数も、DS6ラインに不満はない。
DS6ラインには最近のテレビとしては珍しいDSub15ピンのアナログRGB端子も搭載されている。これはPCとの接続に便利だが、HDMI端子が存在しない初期型Xbox 360を高画質に接続する端子としても利用できる。
PCはDVI-HDMI変換ケーブルを用いればデジタルRGB接続も可能だ。AVポジションを「PC」に設定すればHDMI信号の階調レベルも16-235のビデオ階調と誤認されず、ちゃんと正しくRGBの0-255で認識されていた。
ゲームプレイ時にもう一つ問題となるのは、表示遅延の問題。
高画質なテレビであればあるほど多様な高画質化処理を施すため、ゲーム機からの映像出力が表示されるまで遅延が発生しやすい傾向にあり、リアルタイム性が重視される格闘ゲーム、音楽ゲームなどが遊びにくくなってしまうという弊害が指摘され始めている。
この点もDS6ラインは対策済みで問題がない。
AVポジションを「ゲーム」と設定すると高画質マスターエンジンの大部分をバイパスして最速に映像表示を行ってくれる。他社製テレビの同種モードではまだ3フレーム前後の製品が多いが、DS6ラインはその約半分であり、これは大手メーカー製の液晶テレビ製品としては最速級ということになる。
なお、他のAVポジションでもメニューの「映像調整」-「プロ設定」-「QS駆動(120Hz)」設定を「スタンダード」もしくは「しない」と設定することで補間フレーム挿入動作ロジックがキャンセルされて遅延が低減される。これも覚えておくといい。
DS6ラインは液晶テレビとして優秀なだけでなく、ゲームモニターとしても優秀なのだ。
DS6ラインはテレビなのでサウンド性能にもこだわりを見せている。
DS6ラインは全画面サイズで左右10W、総出力20Wのフルレンジスピーカーを採用し、これを画面下の左右に配している。
ボディ側面に目をやるとエアダクトが空いていることが分かるだろう。DS6ラインはここをバスレフダクトとして空けており、バスレフ効果でしっかりした低音を出すことに成功している。
フルデジタル1ビットアンプの効果とスピーカーユニットに配された防振機構により、かなり大きめな音量にしてもビビらず、高音質が保てている。このためDS6ラインだけでも、映画や音楽番組を迫力ある音で楽しめる。
オートボリューム機能も搭載しており、番組本編とCMとでピーク音量が違っていても、一定音量で安心して聞くことができる。このおかげで、映画や音楽番組をいつもより大きめな音量で楽しんでいて、突然CMになったときに大音量になって腰を抜かしそうになることはない。CMの大音量に遠慮して番組本編を小さめな音量にして聞くような遠慮はもう不要となるのだ。
また、設置環境に応じたイコライジングプロファイルも用意されており、これはメニューの「本体設定」-「視聴環境設定」にて設定できる。「壁寄せ」「コーナー置き」「壁掛け」といった設置状態設定を正しく指定してやることで壁からの反射音や共鳴音に配慮したイコライジングを自動的に行ってくれる。一度設定すれば以降は設定しなくてもいいので、オーナーになった暁にはこちらもぜひ設定してほしい。
DS6ラインのその他の注目機能としては、ネット機能のフル実装がトピックとして挙げられる。
パソコンの代用としてではなく、テレビならではのインターネット活用に注力したネット機能を搭載しているのが特徴で、現行AQUOSで、ネット機能の全部入りはハイエンドのAQUOS RX5/XS1ラインと、このDS6ラインのみ。それだけDS6ラインにはネット機能に対する気合いがこめられているということだ。
ネット機能の核となるのは4つ。
1つはYahoo!と共同開発したポータルサイト「Yahoo! JAPAN for AQUOS」だ。ニュースや天気予報、またはフルHD写真スライドショー機能だけでなく、5月下旬から新しく始まったばかりの動画サービス「Yahoo! JAPAN for AQUOS 動画チャンネル」はDS6ラインのみ対応している。
2つ目は「DoTV」サービス。これは視聴しているテレビ放送に関連したキーワードを検索する「番組連動検索」が可能なほか、発売直後の雑誌の表紙や内容のプレビューが行える「デジ×マガ」などが楽しめるもの。特にDS6ラインではテレビ画面とネット画面を分割同時表示することができるので、番組連動検索中も番組を見続けられるのが他社製品に対する大きなアドバンテージになる。
3つ目は「アクトビラ」。これは、他社製品でも対応が進んでいるテレビのネット機能の標準的な位置づけになりつつあるもので、基本的なポータルサイト機能の他、ビデオレンタル感覚で映画をはじめとしたビデオコンテンツをオンデマンド視聴できるサービスだ。DS6ラインでは、AQUOSとしてはRX5・XS1ライン以来の、ハイビジョンコンテンツをフル画面で見られる「アクトビラビデオ・フル」に対応したことがホットトピックとなる。
そして4つ目が、NTT東西が展開する「ひかりTV」への対応。こちらは専用のチューナーをあらかじめ内蔵しているので、追加のチューナー等の必要なく、70以上のチャンネルを揃えたネットワーク経由の放送や、オンデマンド型のビデオ配信を楽しむことができる。以上4つがDS6ラインのネット対応のキモとなる。
また、DS6ラインは全画面サイズのモデルが省エネ達成率5つ星を達成しており、省電力性能も優秀だ。 この他、シャープのAQUOSブランドのブルーレイ機器、ビデオレコーダーなどをAQUOSのリモコンで連動操作できる「AQUOSファミリンク」機能、今世代のAQUOSに共通して用いられているボタンの大きい「大型リモコン」といった、AQUOS遺伝子はちゃんとDS6ラインにも継承されている。
DS6ラインは、かなり欲張りな製品である。
通常は画質性能や機能に優先度を付けて、ラインナップされたエントリー製品からハイエンド製品までに適当に割り当てていくものなのだが、DS6ラインは、メインストリームクラスという位置づけながらも,ほぼ、機能の全部入りを実現してしまっているのだ。
接続端子、サウンド機能には大きな弱点はないし、ネット機能はハイエンド譲りのフルスペック搭載で、省電力性能も優秀だ。ゲームモニター機能に至っては他社製品を圧倒する低遅延性能も持っている。
一番重要視されるであろう画質性能に至っては、まだ他のどのAQUOSにも搭載されていない最新世代の映像エンジン「高画質マスターエンジン」を搭載する。
そう、上位モデルに迫る勢いすらあるのだ。
機能・性能共にバランスのとれた液晶テレビの購入を検討している人には、やはり「高画質マスターエンジン」が搭載されているDS6ラインを筆者は推す。インプレッションでも述べたが、特にWクリア倍速の安定感と進化型なめらか高画質のハイダイナミックレンジ感はDS6ライン特有の映像美となっており、他シリーズからも一歩抜きん出た魅力があるためだ。
最後の背中の一押しは、ボディのカラーバリエーションだろう。気に入ったボディ色が選べるのはDS6ラインだけ。ここも実はさりげないが重要なポイントとなる。一種類しかないモデルと違い、カラーバリエーションがあるモデルは「自分で選んだ」という部分のオーナーシップがかき立てられて満足度が高くなるからだ。
今期、AQUOSを買うならばDS6ラインだ。
■AQUOS Dシリーズ 製品情報
http://www.sharp.co.jp/aquos/series/d/index.html
■薄型テレビ/液晶テレビ AQUOS
http://www.sharp.co.jp/aquos/index.html
■シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/index.html
■シャープ、“高画質マスターエンジン”搭載「AQUOS D」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090511_168258.html
■“画質もネットも省エネも”。「AQUOS D」の強化点は?
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090515_168706.html
■【西田宗千佳のRandomTracking】新AQUOS「DS6」に見る「新フェーズに入った液晶テレビ」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/20090604_212381.html