サイクロイド史上最薄ボディに  ダブル・ワンセグとケータイWi-Fiを凝縮した  至高の動画視聴ケータイ


AQUOSケータイ SoftBank 943SH
通話やメールといったコミュニケーションのためのアイテムとして生まれたケータイだが、現在ではカメラや音楽、映像、ゲームなど、さまざまなエンターテインメントを楽しむツールとして進化を遂げている。そんなケータイで楽しむエンターテインメントを、思う存分堪能できるケータイ「AQUOSケータイ SoftBank 943SH」が登場した。AQUOSケータイと言えば、ワンセグの定番とも言えるサイクロイドスタイルでおなじみだが、今回の943SHはサイクロイド史上最薄のボディに、ハイスペックを凝縮した最強の動画視聴ケータイとして仕上げられている。943SHの実機を見ながら、その実力をチェックしてみよう。*2010年3月現在。最厚部において。シャープ調べ。

サイクロイド史上最薄を実現したスタイリッシュボディ

 ケータイにはいろいろな形があり、それぞれに特徴を持っている。もっとも古くから利用されてきたストレートタイプはボディをスリムかつコンパクトにまとめられ、上着のポケットなどに入れてもかさばらないというメリットを持っていた。これに対し、折りたたみタイプはストレートタイプよりも大画面のディスプレイを搭載することができ、メールやコンテンツ閲覧が使いやすいというアドバンテージが支持されている。この他にも高画素化や高性能化が進むケータイのカメラ機能を活かすために、デジタルカメラのように使える二軸回転式が人気を集め、フルブラウザなどを活用するために、ディスプレイサイズを大きくできるスライド式が注目されている。

 多彩な形を実現してきた日本のケータイにおいて、オンリーワンの魅力を持つのがシャープ製端末「AQUOSケータイ」でおなじみの「サイクロイド」だ。ケータイに搭載されるディスプレイにも当初はいろいろなサイズや縦横比が存在したが、メールやコンテンツ閲覧サービスなどが普及した頃から、ほとんどの機種が縦長の画面を採用するようになっていた。ところが、2006年4月に携帯端末向けデジタル放送「ワンセグ」の放送が開始されることになり、将来的に映像コンテンツの時代の到来を考慮しても横長の画面に対するニーズが高まることが予測された。そこで、各社とも新しいケータイの形状を模索することになったが、シャープがそのひとつの答えとして、開発してきたのがご存知「サイクロイド」だ。

AQUOSケータイ初代モデルの「905SH」

2代目モデル「911SH」。液晶が3.0インチに大型化した

3代目モデル「912SH」。ワイドVGAの高解像度表示を実現

4代目となった「920SH」は、液晶サイズが3.2インチと大型化しつつ、スリムなボディに仕上げられた

5代目の「923SH」。GPSや5.2メガカメラを搭載して完成度を高めた

そして、昨年1月に発売された6代目の「932SH」。Newサイクロイドとダブル・ワンセグでまったく新しく生まれ変わった

AQUOSケータイ史上最薄となる「943SH」

932SHから引き続き、Newサイクロイドを採用する

左がNewサイクロイド採用の「943SH」、右は従来のサイクロイドの「923SH」

943SHでも、定評のあるアークリッジキーを採用

 メールやコンテンツ閲覧など、一般的なケータイの用途では、通常の折りたたみタイプと同じように縦長の画面で利用しながら、ワンセグをはじめ横長のコンテンツを視聴するときには、ディスプレイを90度回転させ、ディスプレイを横長にして視聴できるというのが特徴だ。2006年5月に発売されたAQUOSケータイ初代モデル「905SH」に始まり、2006年11月発売の2代目モデル「911SH」、2007年6月発売の3代目モデル「912SH」、2007年11月発売の4代目モデル「920SH」、2008年6月発売の5代目モデル「923SH」と着実に進化を遂げてきた。ソフトバンク向け以外でもサイクロイドスタイルを採用するAQUOSケータイが発売され、ワンセグケータイの定番的な地位を不動のものとしている。サイクロイドの人気は国内にとどまらず、シャープが展開する海外市場、なかでも中国では若い女性や富裕層のユーザーを中心に高い人気を得ている。

 着実に進化を遂げ、ユーザーの支持を拡大してきたサイクロイドだが、ディスプレイを回転させるという構造上、いくつか気になる部分があったのも事実だ。たとえば、トップパネル部分にはディスプレイ部とヒンジから伸びるアーム部分で構成されるため、トップパネルにはどうしても段差ができてしまっていた。ボディも板状のものを三枚、重ねるような構造になるため、通常の折りたたみ端末よりも少し厚みが増える傾向にあった。

 しかし、昨年1月には従来のサイクロイドの制約を解消した「Newサイクロイド」を開発し、その採用端末第一弾として、「932SH」が発売された。ディスプレイ部分を箱形の構造にして、ヒンジから伸びるアーム部を包み込むような形状で接続することにより、端末を閉じた状態でもトップパネル側は通常の折りたたみ端末と同じように、なめらかで美しい面で仕上げられている。それまでのサイクロイドのイメージを一新し、今まで以上に幅広いユーザーから高い支持を得ることに成功している。

 今回発売された「943SH」は、このNewサイクロイドをさらに進化させ、3.4インチというクラス最大級のディスプレイを搭載しながら、AQUOSケータイ史上最薄のサイクロイドスタイルに仕上げている。具体的には、歴代のサイクロイドスタイルのAQUOSケータイでは、昨年2月発売の「932SH」が約18mmという薄さを実現していたが、最厚部は約21.3mmだった。今回の「943SH」は最薄部で18mmを切る約17.5mm、最厚部は18.6mmを実現した。数字にするとわずかな差だが、実際に持った感触はグッと薄くなった印象で、手になじむ持ちやすい仕上がりとなっている。特に、同じNewサイクロイドを採用した従来の「932SH」がスクエアでソリッドなイメージでまとめられていたのに対し、今回の「943SH」はボディ周囲の角を丸め、ボタン部側の底面も少しラウンドさせた形状に仕上げているため、同時期に発売された「THE PREMIUM5 SoftBank 942SH」と同じように、手になじむ持ちやすい形状を実現できている。ちなみに、ボディがスリムになると、ダイヤルキーの操作感が気になるところだが、943SHは812SH以来、非常に定評のあるアークリッジキーを採用しており、非常に押しやすく、使いやすい操作感を実現している。

 こうした持ちやすいボディ形状で仕上げられた943SHだが、サイクロイドスタイルでは机の上に置いて、ワンセグなどを視聴することも考慮し、底面の中央部分はフラットに仕上げ、安定した状態で視聴できるようにしている。また、932SHをはじめ、過去に登場したいくつかのサイクロイドスタイルのAQUOSケータイでは、ディスプレイを横にしたサイクロイドポジションに切り替えたとき、ディスプレイ部とヒンジ部分の間にすき間ができてしまう機種もあったが、943SHではサイクロイド機構内部の構造などを見直し、サイクロイドポジションでもヒンジ部分とディスプレイ部がぴったり合うように仕上げており、視覚的にも安定感のある視聴環境を実現している。デザインや薄さを追求することはもちろん、ユーザーが実際に利用するシーンも十分に考慮した仕上がりと言えそうだ。

943SHのトップパネル。有機ELサブディスプレイを内蔵する

(左)943SH、(右)932SH
943SHは背面がフラットに仕上げられている

(左)943SH、(右)932SH
943SHでは、サイクロイドポジション時でもヒンジ部分とディスプレイ部がぴったり合うデザインに

動画コンテンツを楽しむためのMovieメニュー

動画専用メニューの「MOVIE MENU」

「MOVIE MENU」は、縦でももちろん表示される

本体左側面、赤丸のボタンが[Movieメニュー]ボタン

943SHでもダブル・ワンセグを採用する

裏番組表は、新たにサムネイル表示に対応した

「ケータイWi-Fiチャンネル」や「YouTube™」、「ニコニコ動画モバイル」にアクセスできる「動画/音楽メニュー」

 ユーザーに利用目的に応じて、縦画面でも横画面でも利用できるAQUOSケータイのサイクロイドスタイルだが、当初サイクロイドスタイルが登場したときに比べ、ユーザーのケータイの利用環境も少しずつ変わってきている。

 AQUOSケータイ初代モデルの905SHが登場した当時、サイクロイドスタイルはワンセグ視聴のためのものであり、ケータイで動画を視聴できるということが新鮮だった。その後に登場したサイクロイドスタイルを採用したAQUOSケータイでも、ワンセグを視聴しながらメールを作成したり、コンテンツ閲覧をするといった使い方を可能にしてきた。昨年発売された932SHでは世界初のダブル・ワンセグを搭載し、2つの番組を同時に視聴したり、録画できる環境を実現していた。

 今回の943SHも引き続き、ダブル・ワンセグを搭載しているが、これに加えさまざまな動画コンテンツを楽しむための環境を整えている。その入り口となるのが「Movieメニュー」だ。待受画面か、メニュー画面を表示しているときなどで、側面に装備された[Movieメニュー]ボタンを押すと、943SHで利用できる動画コンテンツを呼び出すための「MOVIE MENU」と書かれた動画専用メニューが表示される。「デジタルTV」はワンセグの視聴で、「TVプレイヤー」ではワンセグで録画した番組を再生できる。ワンセグの録画はmicroSD™メモリカード、もしくは本体メモリに記録できるが、2つのチューナーを活かし、ひとつのチャンネルを視聴しながら、裏番組を録画したり、二番組を同時録画することもできる。ちなみに、録画は番組視聴中にマルチガイドボタン中央の決定ボタン長押しで開始できるが、番組表から選んでの予約録画にも対応する。たとえば、朝のニュース番組や夜中の語学番組などを録画しておき、通勤や通学中に視聴するといった使い方も簡単に実現できる。

 「ムービー」は943SHに搭載されたCCD 800万画素カメラで撮影した動画などを再生するためのメニューだ。動画は最大864×480ドットで撮影が可能で、動画撮影時にも手ぶれ補正やセルフタイマーなどの機能も利用できる。「動画/音楽メニュー」は動画コンテンツや音楽を楽しむためのメニューが表示される。ソフトバンクが提供を開始したケータイWi-Fiのコンテンツをはじめ、「YouTube™」や「ニコニコ動画モバイル」などもここから利用することが可能だ。

 「レコーダーコンテンツ」は昨年来、シャープが積極的に取り組んでいるAQUOSブルーレイとの連携機能だ。シャープではブルーレイディスクレコーダー「AQUOSブルーレイ」を販売しているが、ここで録画した番組をUSBケーブルで接続した943SHに転送し、外出先でもワンセグよりも高画質な状態で楽しむことができる。AQUOSブルーレイに設定をすることで、携帯電話再生用動画が同時録画されるため、1時間程度の番組であれば、943SHへの転送もわずか数分で完了する。録りためた番組をなかなか家で見る時間が取れないというユーザーにはうれしい機能だ。

 そして、これらの動画コンテンツをはじめ、さまざまなケータイで楽しめるエンターテインメントのために、943SHにはシャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を活かした3.4インチのフルワイドVGA NewモバイルASV液晶が搭載されている。高輝度LEDバックライトを採用することで、従来に比べ、約33%アップの最大400カンデラという明るさを実現し、より明るく、自然な色合いを再現することが可能だ。新たに色温度コントロールにも対応し、前述のAQUOSブルーレイとの連携による「高画質 番組持ち歩き」の映像では、ジャンル設定に合わせて最適な色に調整する。もちろん従来同様、太陽光などの乱反射を抑えるリフレクトバリアコート、周囲の明るさに合わせて、バックライトや映像の明るさをコントロールする明るさセンサーも搭載されており、美しく色鮮やかな映像を楽しめる環境を整えている。

ハイスペックを活かす使いやすさも充実

943SHは、CCD 800万画素カメラを搭載

 歴代のAQUOSケータイの中でも、もっとも動画コンテンツを楽しむ環境が充実した「943SH」だが、その他のスペックもかなり充実している。

 まず、カメラは前述のようにCCD 800万画素カメラを搭載する。CCDは暗いところでの撮影や動きの速い被写体に強いという特徴を持ち、シャープでは一昨年から再びイメージセンサーにCCDを採用し、画像処理エンジン「ProPix」を組み合わせたモデルをハイエンドを中心に展開している。943SHの800万画素カメラは、スペックこそ現在の最高峰であるAQUOS SHOT SoftBank 940SHの1210万画素には譲るが、機能的にはほぼ同等のものを搭載する。たとえば、暗いところでの撮影にも強い「高感度ISO 12800対応」、狭い室内でもワイドに撮影が可能な「広角29mm撮影」、撮影時の手ぶれを抑える「6軸手ぶれ補正」、被写体のぶれを抑える「動き検出ブレ補正」、暗いところでもシャッター速度が落ちない「高感度ぶれ補正」など、基本機能はしっかりとサポートしている。もちろん、被写体を追いかけてピントを合わせる「チェイスフォーカス」、指定した被写体に対し、継続的にピントを調整する「コンティニュアスAF」なども搭載されている。

 そして、940SHにも搭載され、高い評価を得ている多彩なカメラモードも継承されている。カメラ付きケータイも高機能化に伴い、いろいろな設定項目が増えてきたが、その設定項目がどんなときに効果があるのかは、ある程度カメラに対しての知識が必要になるため、初心者にはわかりにくい面もあり、せっかくの機能が使われない可能性がある。そこで、シャープでは撮影する目的別にカメラモードを用意し、そのカメラモードを選べば、最適な撮影ができるようにしている。たとえば、笑顔でシャッターが切れる「笑顔カメラ」、とにかく急いで、すぐに取りたいときに、フォーカスを固定して撮影できる「すぐ撮りカメラ」、自分を撮るときに、ディスプレイが見えなくても顔が枠内に入れば、セルフタイマーでシャッターが切れる「自分撮りカメラ」などが用意されている。この他にも海で撮影するときに適した「海カメラ」、夜景向けの「夜景カメラ」、オークションに出品する写真を撮るときに便利な「オークションカメラ」など、より具体的なシチュエーション向けのカメラモードも選ぶことができる。通常はすべて自動で設定される「おまかせオートカメラ」が簡単だが、シチュエーションに合わせたいときはこれらのカメラモードを選んで撮影するわけだ。自分で細かく設定したいときのために、「こだわりカメラ」というカメラモードも選ぶことができる。940SHで高い評価を得た「ダイナミックレンジ補正」、撮影を失敗したときにガイドをしてくれる「撮り直しガイダンス」も搭載されており、ハイスペックなカメラを搭載しながらも初心者にも使いやすい環境を実現している。

 ちなみに、カメラを活かした面白い機能として、レシートを撮影し、文字認識をさせて、家計簿を付けられる「撮って家計簿」、書類や本に書いてあるわからない言葉を撮影し、文字認識をさせて、スマートリンク辞書で意味を調べる「ラクラク瞬漢ルーペ」などが用意されている。人物や風景を撮るだけでなく、実用にも活かせるカメラ機能が充実しているわけだ。

「撮って家計簿」は、このようにレシートをカメラで撮影し、文字認識をさせると

このように、購入店舗や品目、支払方法などが読み取られ、登録できる

月の目標を設定することや、支出内容のグラフを表示することもできる

 

「ラクラク瞬漢ルーペ」は、カメラで文字を認識させ

スマートリンク辞書で検索ができる
©2005-2008 Taishukan

 

 また、前述のように、943SHは、IEEE802.11b/gの無線LAN(Wi-Fi)機能が搭載されており、ソフトバンクが提供する新サービス「ケータイWi-Fi」に対応する。すでにパソコンなどWi-Fiの設定をしているユーザーは、接続設定の大変さを経験されているかも知れないが、943SHには無線LANアクセスポイントや無線LANルーターへの接続を初心者でも設定しやすいように、BUFFALOのAOSS、業界標準のWPSという簡単設定機能を搭載している。筆者自身もWi-Fi機能を搭載した端末は何機種も使ってきたが、943SHのWi-Fi機能は手動設定も含め、非常にわかりやすい。ちなみに、公衆無線LANサービスについても接続設定が可能で、ケータイWi-Fiユーザー向けに提供されるBBモバイルポイントの設定もあらかじめ項目が用意されているので、ユーザーIDとパスワードを入力するだけで使いはじめることができる。Wi-Fi環境を活かしたフルブラウザについても、Wi-Fiと3Gネットワークを切り替えながら使う「PCサイトブラウザ」、Wi-Fi環境のみで利用する「ダイレクトブラウザ」の2種類が用意されており、ユーザーのニーズに応じて、使い分けられるようにしている。

Wi-Fiの設定には、AOSSやWPSに対応する

 さらに、ケータイの基本機能とも言えるメールや日本語入力についても、使いやすさを考えた強化が図られている。メールではソフトバンクが提供するデコレメール(装飾付きメール)を使いやすくするために、「楽デコ」という新しい機能が用意されている。デコレメールは背景に色を付けたり、マイ絵文字を挿入したり、いろいろと楽しい装飾ができるのだが、実際にひとつずつ指定すると、かなり手間が掛かってしまう。そこで、楽デコでは入力した文章の内容に合わせ、ワンタッチでデコレメールに変換できるようにしている。しかも装飾のレベルを「ハデめ」「ふつう」「ひかえめ」の3段階で調整できるほか、「オリジナル」でユーザー自身がカスタマイズした装飾にワンタッチで変換することも可能だ。ちなみに、デコレメールには欠かせないマイ絵文字についてはカテゴリーごとにパレット表示したり、受信したメールのマイ絵文字を一括登録、複数登録をできるようにしている。

 日本語入力の「ケータイShoin9」もさらに進化し、変換候補が横羅列表示になったり、数字入力と漢字入力を何度も切り替えることなく、簡単に日時表示に変換できるようにしている。文字入力時に[辞書]ボタンを押して、スマートリンク辞書を参照し、入力しようとする言葉の意味を確認しながらメールを作成するといった使い方もできる。

過去から未来を自由に飛び回れる「スピンぐるログカレンダー」

「スピンぐるメニュー」は、中央のベクターパッドをなぞると表示される

 こうした個々の機能について、SHシリーズは従来から使いやすいユーザーインターフェイスを追求してきているが、昨年の940SHからは、端末そのもので使いやすさに対する新しい取り組みを始めている。それが「スピンぐるメニュー」だ。

 ケータイには多彩な機能が搭載されているが、ユーザー自身がそのケータイにどんな機能があるのか、何ができるのかといったことを、ある程度知っていなければ、それぞれの機能を使うことはできない。そこでSHシリーズでは、ユーザーがケータイを使う場面や日付、曜日、時間帯、利用履歴などに合わせ、その場面で使える目的別の機能とおすすめの機能を表示する「スピンぐるメニュー」が作られた。すでに、940SH、941SHにも搭載され、各方面で高い評価を得ている。

ユーザーの行動に合わせたおすすめ機能を表示する「スピンぐるメニュー」

 使い方はいたって簡単で、スピンぐるメニューを呼び出したいという画面で、ベクターパッドと呼ばれる中央のマルチガイドキーの外周をぐるぐるとなぞる。すると、画面にはレイヤーを重ねるような形で、らせん状にアイコンが並ぶスピンぐるメニューが表示される。らせん状に並ぶアイコンのうち、左側に並ぶのが目的別のメニュー、右側にはユーザーの利用履歴や時間帯などの情報をAI(人工知能)システムが判断して表示するオススメメニューが並ぶ。たとえば、朝起きた直後にスピンぐるメニューを表示すると、「今日の予定」のアイコンが表示され、深夜にケータイを開くと、翌朝、起きることを考慮し、「アラーム」がオススメされたり、夜食のための「キッチンタイマー」がオススメされたりする。また、通勤・通学中の朝の時間帯に、イヤホンを接続し、スピンぐるメニューを表示すると、音楽を再生する「ミュージックプレイヤー」やワンセグの「デジタルTV」がオススメされる。実際に使ってみると、今まであまり意識していなかった機能などもオススメされ、943SHを新鮮かつ楽しく使える印象だ。

 そして、このスピンぐるメニューをベースに、新たに搭載されたのが「スピンぐるログカレンダー」だ。通常、ケータイにはカレンダー機能が搭載されており、最近では自分のスケジュールを登録する人も増えている。その一方で、ケータイで通話をしたり、メールを送受信したり、カメラで写真を撮ったりしたとき、そこには日付や時間帯といった情報もいっしょに記録されている。この過去の記録と未来の情報を結びつけ、ひとつの画面で飛び回れるようにしたのがスピンぐるログカレンダーというわけだ。

 スピンぐるログカレンダーはカレンダー画面を呼び出し、そこでスピンぐるメニュー同様、ベクターパッドをぐるぐるとなぞると、画面が表示される。ベクターパッドを左右に操作すると、メールの送受信や発着信履歴などがアイコンで表示され、そこでベクターパッドの下方向を押すと、そのメールや発着信に対するおすすめのアイコンが表示される。たとえば、受信したメールがあり、そのメールのアイコンを選ぶと、受信ボックスを表示しようとしたり、大事な内容をメモできるように「ちょこっとメモ」、メールを楽しくするための「アスキーアート」などの機能を呼び出せるように、オススメされる。もし、スピンぐるログカレンダーに会議などのスケジュールが登録されていれば、会議を他の人に伝えるために「電話帳」が、会議の当日には会議の内容を録音するために「ボイスレコーダー」や、会議中に周囲の人にケータイをのぞかれないように「ベールビュー設定」がオススメされる。そして、翌日以降には「着うた・メロディ」(ボイスレコーダーで録音した音を再生できる)がオススメで表示されるのだ。ベースとなったスピンぐるメニューはその利用シーンや履歴などに応じて、機能をオススメしてくれるというスタンスだったのに対し、スピンぐるログカレンダーは過去から未来まで、時間軸に沿って、それぞれのシチュエーションやイベントなどに応じて、他の機能をどう組み合わせて使うと便利なのかを発見させてくれるという印象だ。使い込んでいくほどに情報が少しずつ蓄積され、943SHが自分になじみ、自分も経験を積んで、943SHに慣れ親しんでいくように作り込まれている。ケータイのライフサイクルが長くなってきているという現状を考えてもなかなか興味深い機能のひとつと言えそうだ。

「スピンぐるログカレンダー」。電話帳に誕生日が登録されていると、画面のようにお知らせが表示される

発着信やメールの送受信、予定などが時間軸に沿ってアイコンで表示される

アイコンを選ぶと、その内容に対するオススメ機能が表示される。画面は、「旅行」の予定アイコンに、「現在地地図」の機能がオススメされているところ

 この他にもベクターパッドの下方向を長押しするだけで、ワンタッチで赤外線通信によるプロフィール送受信の画面を起動できる「プロフィール交換」、ケータイの待受画面でストーリー性のあるコンテンツが楽しめる「キャラタイム」、[辞書]キーを押すだけで、国語/英和/和英辞典に加え、ウィキペディアなどのインターネット情報のネット辞書も利用できる「スマートリンク辞書」など、多彩な機能が揃っており、そのいずれもがよく使い勝手が考えられた構成になっている。

最強の動画視聴ケータイ「AQUOSケータイ SoftBank 943SH」は「買い!」

 ケータイは通話やメールだけでなく、いろいろな機能が搭載され、さまざまなサービスを利用することができる。なかでも最近はワンセグをはじめ、動画コンテンツはインターネット上のものや、ブルーレイディスクレコーダーとの連携など、急速に利用シーンが拡がってきている。943SHは、そんな多彩な動画コンテンツを思う存分楽しめるように作り込まれた端末だ。サイクロイド史上最薄となるスリムかつスタイリッシュなボディはもちろん、インターネット上のさまざまなコンテンツを快適に利用できるWi-Fi環境、高品質な撮影ができるCCD 800万画素カメラ、映像を美しく再現する3.4インチ フルワイドVGA対応NewモバイルASV液晶など、ハードウェア面のスペックも充実している。そして、ケータイに搭載されている多彩な機能をユーザーが上手に使いこなせるように、新しい楽しみ方を発見できるように取り組んでいる「スピンぐるメニュー」と「スピンぐるログカレンダー」もユニークかつ新鮮だ。まさに、日本のケータイらしく、おもてなしの心とさりげない気配りが込められた非常に完成度の高い端末と言えるだろう。動画コンテンツを思いきり楽しみ、ケータイを便利に、新鮮に活用したいユーザーに、ぜひ体験して欲しい端末だ。

カラーは左から、ラピスブルー、ホワイト、ブラック、レッド

 

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット+ BlackBerry Bold」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。

 

■関連情報
□「SoftBank 943SH」製品情報(ソフトバンク) http://www.softbank.jp/mb/product/3G/09wi/#943sh
□「SoftBank 943SH」製品情報(シャープ) http://www.sharp.co.jp/products/sb943sh/

■関連記事
□薄型サイクロイドでWワンセグ、Wi-Fi対応の「943SH」
 http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20091110_327762.html
□ソフトバンク、サイクロイドでWワンセグ「943SH」3月5日発売
 http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20100303_352427.html

 

*SOFTBANKおよびソフトバンクの名称、ロゴは日本国およびその他の国におけるソフトバンク株式会社の登録商標 または商標です。*「AQUOS」「AQUOSケータイ」「AQUOS SHOT」「サイクロイド」「サイクロイドスタイル」「ProPix」「チェイスフォーカス」「スマートリンク」「ベールビュー」「スピンぐるメニュー」はシャープ株式会社の登録商標または商標です。*「ケータイWi-Fi」「THE PREMIUM」「デコレメール」「楽デコ」「PCサイトブラウザ」はソフトバンクモバイル株式会社の登録商標または商標です。*「Yahoo!」および「Y!」のロゴマークは、米国Yahoo! Inc.の登録商標または商標です。*AOSSは、株式会社バッファローの商標です。*Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。*「BBモバイルポイント」はソフトバンクテレコム株式会社の登録商標です。*「着うた」は株式会社ソニー・エンタテインメントの登録商標です。*「らくらく瞬漢ルーペ」「撮って家計簿」は株式会社アイエスピーの登録商標または商標です。

[PR]企画・製作 株式会社 Impress Watch 営業統括部
問い合わせ先:watch-adtieup-sharp_943sh1003@ad.impress.co.jp
Copyright (c) 2010 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.