-法林岳之 執筆- 閉じても消えない大型サブディスプレイで  いつでも最新情報をチェック  新しい楽しさを演出する防水ケータイ
「mirumo SoftBank 934SH」
外出先など、離れたところで使える電話として生まれた携帯電話。しかし、メールやコンテンツ閲覧、写メールなどの使い方が生まれたことで、携帯電話はコミュニケーションや情報を見るための「ケータイ」へと進化し、私たちの生活に欠かせないツールになっている。そんなツールとしての可能性をさらに拡げてくれる新しいスタイルのケータイ「mirumo SoftBank 934SH」が発売された。実機を見ながら、その見た目と使い勝手をチェックしてみよう。

情報を表示するためのディスプレイ

mirumo SoftBank 934SH

 私たちが利用するケータイには、いろいろなボディ形状がある。なかでも現在、もっとも広く普及しているのは、折りたたみデザインだ。これをベースにした二軸回転式(スウィーベルスタイル)やSHシリーズでおなじみのサイクロイドなどを加えれば、およそ半数以上のケータイが折りたたみデザインを採用している。

 こうした折りたたみデザインを中心としたボディ形状が広く支持されてきたのは、今から10年ほど前、各携帯電話事業者がメールサービスに加え、コンテンツ閲覧サービスを提供し始めたのをきっかけにしている。音声通話が中心だった時代は小型軽量であることが重視され、電話番号を表示する程度のディスプレイしか搭載されていなかったが、メールやコンテンツ閲覧ではより多くの文字と情報を表示できた方が便利なため、ディスプレイサイズを大きくできる折りたたみデザインが重宝がられるようになったわけだ。同時に、折りたたみデザインは端末を閉じると、ディスプレイのバックライトをオフにできるため、省電力にも寄与するという隠れたメリットも存在した。

 その後、ディスプレイの大型化や高画質化、高解像度化が進み、折りたたみデザインが主流になっていったが、その一方で、ユーザーからは別のニーズが生まれてきた。それは折りたたみデザインの端末はケータイを閉じてしまうと、ディスプレイが隠れてしまうため、時計などが確認できないうえ、メールや不在着信などの情報にも気づきにくいからだ。そこで、多くの折りたたみデザインの端末では、時刻や電波状態、バッテリー状態などを表示するためのサブディスプレイを搭載している。ただ、サブディスプレイを搭載することで、デザイン的にサブディスプレイが目立ってしまったり、搭載するディスプレイの種類によっては、消費電力が増えてしまったり、ボタン操作をしなければ、視認できないなど、使い勝手の面での制約もある。

 今回発表された「mirumo SoftBank 934SH」は、シャープが新たに開発した「メモリ液晶」をトップパネルに搭載することで、ケータイを取り出すと、常に最新の情報をチェックできるようにしている。3.0インチというメインディスプレイ並みのサイズでありながら、常時表示が可能で、消費電力も有機ELサブディスプレイの1/500程度しかないという特徴を持つ。屋外でもハッキリと見えるほど、視認性も良く、240×456ドットの高解像度表示が可能なうえ、ミルキーホワイト×ミラー調の上品な表示ができるため、今までのケータイにはなかった新しい楽しさと独特の存在感を実現している。

 常に多彩な情報を表示

トップパネルに搭載される大型のサブディスプレイ「メモリ液晶」は、3.0インチ、240×456ドットの高解像度

卓上ホルダーにセットして充電を開始すると、自動的に横表示の卓上時計モードに切り替わる

 934SHのトップパネルに搭載されたメモリ液晶には、実に多彩な情報を表示することができる。

 まず、端末を閉じた状態のホームパネルには、季節や時節のイベント等により表示が変わる「季節イベント時計」、シンプルな「アナログ時計」や「デジタル時計(2種類)」、カレンダーと組み合わせた「カレンダーアナログ時計」と「カレンダーデジタル時計」、2カ所の時計が表示できる「世界時計」といったスタンダードなものに加え、アニメーションを組み合わせた「Flower Carnival」「Oriental」「Butterfly」「MOSHINEKO」、言葉や単語がタメになる「英語の絵本」や「世界のあいさつ」、電池状態を表わす「バッテリーメーター」、何も表示せずに鏡のように使える「エチケットミラー」などが用意されており、これらのうち、3つを選んで設定しておくことができる。設定した3種類のホームパネルは側面の[▲]キーと[▼]キーを押すことで、切り替えることが可能だ。ちなみに、934SHには卓上ホルダーが同梱されており、端末を卓上ホルダーにセットして、充電を開始すると、これらのホームパネルのグラフィックは横表示の卓上時計モードに切り替えることもできる。常時表示のメモリ液晶の特徴を活かし、机の上などに置いた時計のようにも使えるわけだ。

カレンダーアナログ時計

英語の絵本

世界のあいさつ

バッテリーメーター

ホームパネルにはペットや家族の写真など、お気に入りの写真を表示させることもできる

歩数計のカウント表示やお天気アイコン、S!速報ニュースなど、ホームパネルに重ねて表示できる

「アクティブメニュー」アイコンが円に並んで表示され、ここから各項目を選択する

待ち受け画面に貼り付けた「メモ」を表示できる

 ホームパネルでもうひとつ面白いのは、プリインストールされているグラフィックなどだけでなく、ピクチャーフォルダに保存されているカメラ画像や「きせかえアレンジ」でダウンロードしたコンテンツも利用できる点だ。カメラで撮影した画像については、特定の部分をトリミングする形で使うことができ、表示もメモリ液晶用のものに自動的に変換される。家族や恋人、ペットなどの写真を設定するのも楽しいが、ドットによる階調表現で表示されるため、自分で撮った街中や旅先の風景などを設定しても意外に見栄えのする表示になる。

 この3つのホームパネルには、複数の情報を重ねるような形で表示することもできる。934SHに内蔵されている歩数計のカウントをはじめ、S!速報ニュースで配信されるニュースコンテンツ、ソフトバンク端末ではおなじみのお天気アイコン、自分で設定するアラームなどの情報を表示することが可能だ。なかでもS!速報ニュースやお天気アイコンは、いつでもチェックしたい情報なので、端末を開かなくてもすぐに確認できるのは、非常に便利だ。

 また、これらの情報をより詳しく見るときは、「アクティブメニュー」を利用する。アクティブメニューはホームパネルの表示から[シャッター]キーを押すことで切り替え、画面を見てもわかるように、表示できる情報のアイコンが円に並ぶメニューが表示される。各項目は側面の[▲]キーと[▼]キーで切り替えることができ、詳しく表示したい項目にカーソルを合わせ、[シャッター]キーを押すと、より詳しい情報が表示される。アクティブメニューには前述の「S!速報ニュース」「天気予報」「歩数計」「エチケットミラー」に加え、「メモ」「スケジュール」「残高表示」「ガイド」「UVチェック」が項目として用意されている。メモや予定は端末のツールメニューに機能として搭載されている「カレンダー」(予定リスト)とメインの待受画面に貼りつけた「メモ」を表示でき、ICはおサイフケータイ®の電子マネーの残高を表示できる。UVチェックはサブディスプレイ横に搭載された紫外線センサーを使い、紫外線の強さを0〜5のレベルで表示することができる。

 もちろん、音声通話やメールが着信したときには、サブディスプレイに着信を知らせるメッセージが表示され、アクティブメニューの「INFO」を選択すれば、着信の日時やメールの内容を確認できる。この他にもミュージックプレーヤーで音楽再生時に曲名やアーティスト名を表示したり、「リラクゼーションタイム」機能を利用しているときには、専用のアニメーションを表示することも可能だ。

 今まで、ケータイのサブディスプレイというと、折りたたみデザインの端末を閉じて、情報が見えないことをカバーするためのものという位置付けだったが、934SHのサブディスプレイはメインディスプレイとは別の「第二のディスプレイ」として、ユーザーが便利に楽しくケータイを使えるように演出している。しかもユーザーのニーズに合わせ、表示する情報やコンテンツ、グラフィックなどをカスタマイズできるため、使う楽しみも増えている。

スケジュール

新着情報(インフォメーション)

S!速報ニュース

残高表示

UVチェック

歩数計

ミュージックプレイヤー

天気予報

季節イベント時計

キッチンタイマー

CCD 800万画素カメラや防水などの実用機能も充実

昨年の824SHの性能を受け継ぎ、IPX5/IPX7相当の防水性能を実現する

 3.0インチのメモリ液晶を搭載し、今までにない存在感と楽しさを演出する934SHだが、実用的な機能もかなり充実している。

 まず、ケータイを日々、楽しく活用するために欠かせない機能として、IPX5/IPX7※1相当の防水性能を実現している。SHシリーズでは昨年、当時としては世界最薄※2の防水ケータイ「THE PREMIUM WATERPROOF SoftBank 824SH」が美しいデザインで注目を集めたが、934SHはその流れを受け継ぐもので、キッチンなどの水廻りで使うときをはじめ、お風呂の中でのワンセグ視聴や音楽再生、「リラクゼーションタイム」機能など、幅広いシーンで※3活用することができる。特に、これからのシーズンは、水を使うシチュエーションが増えてくるが、そんなときでも934SHなら、安心して、アクティブに使えるわけだ。

 メインのディスプレイは、3.0インチのフルワイドVGA表示が可能なNewモバイルASV液晶を採用し、色鮮やかで美しい色彩表現を可能にしている。高輝度バックライトにより、高コントラストの美しく見やすい映像を表示できる。太陽光などの乱反射を抑えるリフレクトバリアコート、周囲の明るさによって、ディスプレイの明度を調整する明るさセンサー、6色カラーフィルターなど、従来のSHシリーズで好評を得てきた技術もしっかりと継承されている。

 ワンセグについては、シャープの液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術が活かされており、美しい映像を楽しむことができる。毎秒15フレームで送られてくるワンセグ映像の中間フレームを補うフレーム補間も搭載、縦画面表示では高解像度のディスプレイを活かし、最大11行の字幕を表示できる「字幕読むモード」も利用できる。電車で移動中など、公共の場ではワンセグを消音状態にして、字幕で視聴することが多いが、映像と字幕の切り替わりがうまく同期していないと、内容が理解しにくいといったことが起きるが、字幕読むモードは少し前の字幕も画面に表示されているため、こうしたストレスも起きないというわけだ。

 従来のAQUOSケータイをはじめ、SHシリーズのワンセグ機能でサポートされてきた番組表からの録画予約やタイムシフト再生、音声のみ再生、お目覚めTV、繰り返し録画などもサポートされているうえ、最新のダビング10にも対応する。

 そして、今回発表されたAQUOS SHOT SoftBank 933SHなどでもサポートされているAQUOSブルーレイ連携機能も搭載されており、AQUOSブルーレイ(BD-HDW40/35/32)で録画した番組を転送し、フルワイドVGA液晶のパフォーマンスを十分に活かし、ワンセグよりも高画質な映像を楽しむこともできる。

CCD 800万画素カメラを搭載する

顔がフレームに入っているかなどの情報を表示する「自分撮りガイド」に対応

セルフタイマー時には大型サブディスプレイにカウントを表示できる

 カメラについては、昨年の冬モデル「SoftBank 930SH」で初めて採用され、高い評価を得たCCD 800万画素カメラが搭載されている。現在、多くのカメラ付きケータイにはCMOSイメージセンサーが採用されているが、一般的にCCDイメージセンサーの方が高感度かつ低ノイズであり、暗いところでの撮影や動きの速い被写体もぶれずに撮影できるという特徴を持つ。934SHに搭載されているカメラモジュールは自社で開発した800万画素のCCDイメージセンサーに画像処理エンジン「ProPix」を組み合わせたもので、CCDが持つ本来の特徴を十二分に引き出し、誰でも気軽にきれいな写真を撮影できるようにしている。たとえば、暗いところでの撮影についても最大12800の高感度ISO※4に対応し、ロウソク程度の明かりでも十分にきれいな撮影が可能だ。カメラ付きケータイでの撮影に多い手ブレについても6軸手ぶれ補正に加え、被写体ぶれを抑える「動き検出被写体ぶれ補正」を組み合わせ、手ぶれの少ない写真を撮影できるようにしている。

 また、カメラを起動して、被写体に向けるだけで、自動認識し、それぞれの撮影に最適なモードに設定するシーン自動認識※5が利用できるため、面倒な設定を意識することなく、シャッターを切るだけで、簡単に本格的な撮影ができる。自動認識されるシーンも人物、風景(自然)、夜景、夜景+人物、料理、テキスト、名詞読み取り、バーコードリーダーと、ユーザーがよくケータイで撮影するものがピックアップされている。これに加え、ユーザーがシーンを選ぶだけで、最適なカメラ設定ができるシーンセレクトにも対応しており、街並みや海、赤ちゃん、スポーツなど、33種類のシーンがあらかじめ設定されている。オートフォーカスは被写体を追尾する「チェイスフォーカス」※5、自動的にピントを調整し続ける「コンティニュアスオートフォーカス」※5に対応しており、子どもやペットなど、なかなかジッとしていてくれない被写体も確実に撮影することができる。笑顔に合わせてシャッターを切る「笑顔フォーカスシャッター」は3段階のレベル調整が可能で、相手が振り向いたときに撮影できる「振り向きシャッター」にも対応する。なかなか思うような写真が撮れないというユーザーのために、質問形式で撮影方法をガイドし、最適な設定で再撮影ができる「撮り直しガイダンス」、逆光で撮影してしまったときにプレビュー画面で補正ができる「ダイナミックレンジ補正」なども用意されており、カメラ付きケータイになれていないユーザーでもきれいに撮影できるように工夫されている。

 音楽再生については、Windows Media® Playerで採用されているWMA形式、SD-Audio規格のAAC形式、ノンセキュアAAC形式に対応しており、ステレオBluetooth®ヘッドセットと組み合わせれば、ワイヤレスで音楽を楽しむこともできるし、バスルームに持ち込んで、音楽を聞きながら、ゆっくりと半身浴を楽しむことも可能だ。

 この他にも従来モデルから好評を得ているオンライン辞書とも連携した「スマートリンク辞書」、上下左右からののぞき見を防ぐ「新ベールビュー」、端末を振ったり、裏返したりすることで、クイックサイレントやズーム操作などができる「モーションコントロールセンサー」などの機能も搭載されている。さらに、ソフトバンクが新たに提供を開始した最大10Mバイトの大容量・高画質コンテンツを楽しめる「ハイスペック動画」、AQUOSケータイ SoftBank FULLTOUCH 931SHから順次、対応端末が増えている「モバイルウィジェット」にも対応し、最新のエンターテインメントも存分に楽しめる端末として、仕上げられている。

※1: (IPX5)内径6.3mmのノズルを用いて、約3mの距離から約12.5リットル毎分の水を3分以上注水する条件であらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても、電話機としての性能を保ちます。(IPX7)常温で、水道水、かつ静水の水深1mの水槽に電話機本体を静かに沈め、約30分間水底に放置しても、本体内部に浸水せず、電話機としての性能を保ちます。
※2: 2008年5月31日時点、ROA Group調べ
※3: 水道水以外の石けん、洗剤、調味料、ジュース、海水のほか、高温のお湯や冷水などは対象外です。
※4: 待受(480×854)サイズまでの撮影の場合。
※5: 撮影時の状況によっては対応しない場合もあります。

新しい楽しさと便利さを実感できる「mirumo SoftBank 934SH」は買い!

 主に音声通話のための道具として生まれたケータイだが、メールやコンテンツ閲覧など、コミュニケーションや情報ツールとして、今や手放せない存在となっている。「mirumo SoftBank 934SH」は、そんなケータイに新しい楽しさと便利さを実感できるように、さまざまな工夫が凝らされた端末だ。「サブ」と呼ぶにはもったいほど大画面のメモリ液晶は、さまざまな情報を視認性良く表示できるだけでなく、見て楽しめる演出も兼ね備えている。CCD 800万画素カメラやAQUOSで培われたノウハウを活かしたワンセグ、安心して活用するには欠かせない防水など、スペックもハイエンド端末に相応しい充実ぶりだ。さまざまな生活シーンでケータイを楽しく便利に活用したいユーザーに、ぜひおすすめしたい端末だ。

カラーバリエーションは全4色。左からホワイト、ブラック、ピンク、ウッドブラウン

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるポケット+ BlackBerry Bold」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。

●SOFTBANKおよびソフトバンクの名称、ロゴは日本国およびその他の国におけるソフトバンク株式会社の登録商標 または商標です。 ●「AQUOS」「AQUOSケータイ」「AQUOS SHOT」「AQUOSブルーレイ」「ProPix」「笑顔フォーカスシャッター」「振り向きシャッター」「チェイスフォーカス」「スマートリンク」「ベールビュー」「お目覚めTV」はシャープ株式会社の登録商標または商標です。 ●mirumo、FULLTOUCH、The PREMIUM、モバイルウィジェット、S!速報ニュース、お天気アイコン、きせかえアレンジは、ソフトバンクモバイル株式会社の登録商標または商標です。 ●「Yahoo!」および「Y!」のロゴマークは、米国Yahoo! Inc.の登録商標または商標です。 ●「おサイフケータイ」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。 ●Bluetooth®は米国Bluetooth SIG,Inc.の登録商標です。 ●WindowsはMicrosoft Windows operating systemの略称として表記しています。 ●Windows、Windows Mediaは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標です。