充実の機能でユーザーを満足させる  ワンランク上のスタンダードケータイ  SoftBank 831SH  −法林岳之 執筆−

 カメラやワンセグ、おサイフケータイ®など、さまざまな機能が搭載されてきたケータイ。ハイスペックで高機能な端末が求められる一方、十分な機能を搭載しながら、スタンダードで使いやすいケータイを求める声も多い。そんなユーザーのわがままなニーズに応えてくれる端末「SoftBank 831SH」が登場した。ソフトバンクの2009年春モデルの中でも幅広いユーザーから関心を集めている831SHの実機を見ながら、その出来をチェックしてみよう。

自分がケータイに求めるものとは?

    みなさんがケータイに求めるものは何だろうか? デザインやボディ形状など、ルックスを重視する人もいるだろうし、カメラやディスプレイのサイズなど、スペックを気にするユーザーも多い。ソフトバンクの2009年春モデルに、フラッグシップモデルとして登場した『AQUOSケータイ SoftBank932SH』のように、他を圧倒するようなスペックに心躍らせるユーザーもいれば、キーの打ちやすさや画面の見やすさ、搭載されている機能の使いやすさなど、機能面からケータイを選ぶ人もいる。

 ケータイは国内市場において、すでに契約数が1億を突破し、誰もがごく当たり前のようにケータイを使うようになってきたが、その一方で、ユーザーのニーズは多様化し、ケータイに求められる要素も時代の流れとともに、トレンドが少しずつ移り変わってきている。たとえば、SHシリーズが市場を切り開いたケータイのカメラ機能も当初はハイエンドモデルを中心に展開されたが、今やほぼすべてのケータイにカメラ機能が搭載され、ケータイに欠かせない機能となった。最近では、サービスを開始したばかりの頃、ワンセグやおサイフケータイ®は一部の機種のみが搭載していたが、地上デジタル放送が全国展開した現在はワンセグも欠かせないものになり、自分の生活圏にあるコンビニエンスストアや交通機関が対応していると、おサイフケータイ®にも必要性を感じるようになってくる。

SoftBank 831SH

 しかし、こうした新しい機能や対応サービスが増えることで、ケータイがハイスペックになり、操作の手順が煩雑になってしまったり、新機能に慣れないユーザーは戸惑いを感じてしまうことがある。かと言って、使っていく内に機能不足を感じたり、スペックに不満を出てくるようでは困る。特に、最近のように、ある一定の期間、同じケータイを利用した方がおトクと言われる状況を考えると、機能不足や最新サービスの非対応は避けたいところだ。つまり、これからのケータイには、充実した機能と十分なスペックを実現しながら、使いやすさやクオリティの高さがうまくバランスしていることが求められるわけだ。

 今回、ソフトバンクの2009年春モデルとして発売された「SoftBank 831SH」は、ワンランク上を目指したスタンダードモデルだ。ソフトバンク向けのSHシリーズには、AQUOSケータイをはじめとするハイエンドモデルの他に、過去にも「SoftBank812SH」や「THE PREMIUM SoftBank820SH/821SH」「NEW PANTONE® SoftBank830SH」など、多くのユーザーに高い評価を受けてきたスタンダードモデルの名機がいくつも存在する。今回発表された831SHは、これらのスタンダードモデルの流れで培われたノウハウを継承し、これからの時代に求められる機能やソフトバンクの最新サービスに対応しながら、ユーザーの使いやすさや満足感にこだわった新しい時代のスタンダードケータイとして、開発されている。

ホールド感の良いコンパクトボディに快適性No.1のアークリッジキーを搭載

幅49mmのコンパクトなボディは、男女問わず持ちやすい

SHシリーズ定番となったアークリッジキーを採用

    従来のスタンダードモデルの流れを受け継ぎ、ワンランク上のスタンダードモデルとして開発された831SHだが、ボディデザインは従来モデルの流れからは一新され、全体的に新鮮な印象を受ける。

 ボディはスタンダードな折りたたみデザインを採用し、アクリルパネルが装着されたトップパネルはフラットで透明感のある美しさを演出し、サブディスプレイ横にはデザイン上のアクセントが施されている。ボディは女性の手にも持ちやすい幅49mmのコンパクトボディにまとめられているが、電池蓋側のボディがわずかに丸みをおびた形状に仕上げられており、男性が持ってもホールド感があり、手になじむ印象だ。

 背面にはオートフォーカス対応3.2Mピクセルのカメラを搭載し、カメラ部横にはモバイルライト、赤外線通信ポートを備え、おサイフケータイ®対応を表わすロゴは電池カバー部分に刻印されている。

 キー形状は、812SHシリーズではじめて採用され、今やソフトバンク向けSHシリーズの定番とも言えるアークリッジキーだ。最近は端末の薄型化を実現するため、ややキーのクリック感が疎かになる傾向が見受けられるが、831SHに採用されたアークリッジキーはキーを押すときの指の傾きやふくらみを考慮し、キーの並びにU字のカーブを付け、キーの間に凹凸を設けることで、押しやすさを追求しているのが特徴だ。ネイルアートなどでつけ爪を付けている女性はもちろん、筆者のような指先の太い男性でもキーの区切りがわかりやすく、しっかりとしたクリック感もあり、非常に使いやすい。ちなみに、831SHは932SHなどと同じように、ダイヤルボタンの左下に[辞書]キーを備えており、後述するスマートリンク辞書をワンタッチで呼び出すことができる。

カラーベールビューにも対応した、3.0インチワイドQVGA液晶

スタンダードな折りたたみボディに、3.0インチのワイドQVGA対応NewモバイルASV液晶を採用

背面側には96×39ドット表示の有機ELサブ液晶を搭載

おなじみベールビュー機能は、カラー対応になった

    ディスプレイは400×240ドット表示が可能な3.0インチのワイドQVGA NewモバイルASV液晶を採用し、サブディスプレイは96×39ドット表示が可能な有機ELを搭載する。従来の830SHなどでは2.4インチのQVGAだったことを考えると、かなりのスペックUPと言えそうだ。ディスプレイのサイズが大きくなったことで、視認性が向上する反面、周囲からののぞき見が気になるところだが、831SHに搭載されている液晶ディスプレイはカラーベールビュー機能に対応しているため、[辞書]ボタンを長押しするだけで、上下左右からののぞき見防止用のフィルタ画像を表示することができる。ベールビューは従来モデルでも採用されてきたが、今回はフィルタ画像がカラーになり、固定のカラーやカラーアニメを設定できるほか、本体内蔵の7種類のパターンに加え、きせかえアレンジでパターンを設定できるので、テーマに合ったカラフルでかわいいフィルタ画像を表示することもできる。

 サブディスプレイは視認性の良い有機ELディスプレイを採用しており、時計や電波状態に加え、バッテリーメーター、お天気アイコンも表示することができる。バッテリーメーターはメインディスプレイの電池アイコン同様、パーセント表示が可能だ。

【動画】ベールビューは、フィルタ画像がカラーになった

【動画】アニメパターンも本体内蔵で複数用意されている

AQUOSで培われた映像技術を活かしたワンセグとブログツールにも対応した使いやすい3.2Mカメラを搭載

    831SHはワンクラス上のスタンダードモデルとして開発されたこともあり、内容的にもかなり充実している。

 ワンセグについては、今や欠かすことができない機能だが、831SHは前述の通り、同社の液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を活かして開発されたNewモバイルASV液晶が搭載されており、ワンセグも美しく鮮明な映像で楽しむことができる。別売のmicroSDTMメモリーカードを装着すれば、ワンセグの録画も利用可能だ。視聴中の番組を録画する「ワンタッチ録画」、視聴中の番組情報や電子番組表「Gガイドモバイル」からの「録画/視聴予約」などに対応する。ワンセグの録画というと、実は朝のニュース番組や深夜番組などを予約録画しておき、通勤時間や昼休みなどに視聴するといった使い方に適している。録画した番組はTVプレイヤーで再生することができるが、831SHのTVプレイヤーは別売りのステレオイヤホンマイクを使って音声だけを楽しむことができるため、通勤中に朝のテレビのニュース番組を「聞く」といった使い方も可能だ。

 ワンセグを視聴するときの機能も充実している。ワンセグは[TV]キーを押すだけで起動できるが、番組の視聴中にダイヤルボタン右下に装備された[マルチジョブ]キーを押すと、画面表示を切り替えることができる。切り替えはキーを押すたびに、「縦表示」→「縦拡大表示」→「横表示」→「全画面表示(横)」の順で切り替わり、「全画面表示」ではワンセグのパネル表示やピクト表示をOFFにして、ディスプレイに番組のみを表示する使い方もできる。

[マルチジョブ]キーのワンタッチで、ワンセグ画面の表示を切り替えられる

 また、ワンセグの視聴中、メールが着信すると、画面上にテロップのような表示が流れ、着信したことを知らせてくれるが、この状態でメールボタンを長押しして、受信メールを表示すると、画面を2分割して、ワンセグとメール画面を同時に表示することができる。つまり、ワンセグの視聴を止めることなく、いつでもメールを参照したり、返信したりできるわけだ。同様に、[ショートカット]キーからショートカットメニューを起動すれば、メール以外にも電話帳やちょこっとメモなどの機能を起動し、2画面で利用することができる。ワンセグの「ながら利用」が使いやすくなっているわけだ。

 カメラについては、前述の通り、オートフォーカス対応の3.2Mピクセルカメラを搭載する。812SHや820SH/821SH、830SHなど、従来のスタンダードモデルでは2Mピクセルカメラが搭載されていたことを考えれば、一段とスペックが向上したことになる。シーン別撮影や最大QVGAサイズのムービー撮影、暗い場所の撮影を助けるモバイルライトなどを備える。

 カメラ周りで評価されるのは、ブログツールだ。ここ数年で一気に広まった感のあるブログだが、実際にエントリーを投稿するには、決められたメールアドレスへの送信による登録、ブラウザからの登録(アップロード)などの方法が利用できるが、ブログツールでは最大5カ所までのブログの設定を登録しておくことができる。ブログの設定にはブログ名や投稿先のメールアドレス、タイトルなどを登録しておくことができるが、画像についてはブログツール内で投稿する画像サイズを「小(320×320ドット以内)」「中(640×640ドット以内)」「大(1024×1024ドット以内)」「そのまま送信」を選ぶことができる。通常、ブログではレイアウトの関係上、投稿できる写真サイズが決まっており、ブログツールではカメラで撮影した後、ブログツールを呼び出せば、適切なサイズに変換した(切り出した)状態でメール作成画面を呼び出すことができるわけだ。ちなみに、カメラで撮影した画像は本体メモリーやメモリーカードに保存できるが、831SHは最大8MBのmicroSDHCTMメモリーカードにも対応しており、より大きいサイズの写真などをたくさん保存することができる。

ブログツールにも対応しており、カメラで撮影した後簡単にブログ投稿できる

 さらに、カメラ機能は通常の静止画や動画の撮影だけでなく、従来モデル同様、「名刺読み取り」に対応する。名刺読み取りはその名の通り、名刺を読み取るだけで、名前や住所、メールアドレスなどの情報を検出できるというものだ。読み取ったデータは電話帳データとして活用できるが、シャープのパソコン向け公式サイト「ケータイdaSH」で配布されている「名利管理ユーティリティー」を利用すれば、読み取った名刺データをパソコンに読み込み、編集管理をすることもできる。

待受画面を演出するモバイルウィジェット、デスクトップショートカットとネット辞書の一括検索にも対応したスマートリンク辞書

831SHはモバイルウィジェットにも対応

デスクトップショートカット機能は、頻繁に利用する機能やデータなどを貼り付けておける

    831SHには今までのスタンダードモデルには搭載されなかったような新しい機能も搭載されている。

 たとえば、2008年冬モデルとして発売され、高い人気を獲得した「AQUOSケータイ FULLTOUCH SoftBank931SH」では、待受画面にニュースや天気予報、オリジナルコンテンツを表示できる「モバイルウィジェット」に対応したが、今回の831SHもスタンダードモデルながら、いち早く対応している。ウィジェットは言わば、待受画面に表示できるコンパクトサイズのアプリ機能のことで、ユーザーはソフトバンクが提供するウィジェットストアで公開されているウィジェットをダウンロードし、インストールすれば、いつでも自由にウィジェットを使うことができる。待受画面に貼り付けることができるウィジェットは、1枚のシートにつき、931SHでは3枚までだったのに対し、830SHでは5枚まで拡張することができる。931SHはタッチ操作のため、待受画面に表示されているウィジェットをすぐに選択できたが、831SHは通常のキーで操作をする必要があるため、マウスと同じようなポインタ表示を採用する。

 モバイルウィジェットと並ぶ形で、便利に利用できるのが「デスクトップショートカット」だ。これは自分が頻繁に利用する機能やデータなどを待受画面にショートカットとして貼り付けておき、すぐに呼び出せるようにするものだ。1枚のシートにつき、最大30件までのアイコンを貼り付けることができる。さすがに、タッチ操作に比べれば、操作感は一歩譲ることになるが、このクラスの端末でも手軽に楽しめるのはユーザーとしても非常にうれしいところだ。

 831SHには従来モデルから継承しながら、機能強化が図られた機能もある。たとえば、「インターネットマシン SoftBank922SH」や「AQUOSケータイ SoftBank923SH」で高評価を得たスマートリンク辞書もそのひとつだ。文字入力中やPCサイトブラウザ閲覧中に調べたい単語があったときに[辞書]キーを押すだけでワンタッチ起動するスマートリンク辞書は、内蔵の国語/英和/和英辞典に加え、語句・語義の豊富なネット辞書を通信経由で検索することができる。また今回の831SHは、複数のネット辞書を一括検索する機能も備える。ちなみに、購入時の状態から「辞書リスト更新」を選ぶことで、最新のネット辞書に更新することが可能だ。

 また、機能というより、ハードウェアの追加になるが、831SHはFeliCaを搭載しており、おサイフケータイ®にも対応する。対応機種同士でFeliCa経由の電話帳データの転送をする「IC通信」にも対応する。

 この他にも最大1Mbytesの容量に対応したメール、URLやメールアドレスなどの入力を強化したケータイ Shoin7、着信があった振りを見せる「見せかけコール」など、実用的な機能がしっかりと揃っている。ソフトバンクの最新サービスについてもダブルナンバーや着デコ、きせかえアレンジ、世界対応ケータイなどに対応しており、通常の利用であれば、ほとんど不満を感じることなく、利用できるはずだ。

安心して長く使いたい新スタンダードケータイ831SHは「買い!」

    ケータイに求める機能は人によって、さまざまだ。まさに、十人十色、多種多様なニーズが存在する。それだけに、1つの機種ですべてのユーザーのニーズをカバーすることは難しい。

 しかし、今回紹介した831SHは、現在のソフトバンクのラインアップにおいて、スタンダードモデルに位置付けられながら、十分に充実した機能を搭載しており、豊富な対応サービスや美しいボディデザインとともに、安心して長く使うことができる端末として、仕上げられている。まさに、ワンクラス上の満足感を得られる新しい時代を目指したスタンダードケータイだ。ケータイをあまり構えることなく、もっと楽しく、便利に活用したいユーザー、バランスとコストパフォーマンスを重視したいユーザーに、ぜひ、おすすめしたい端末と言えるだろう。


カラーバリエーションは全6色。上段左から、ミントグリーン、ピンク、ホワイト、ブルー、ブラック、ゴールド

■関連情報
□「831SH」製品情報(ソフトバンク) http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/831sh/
□「831SH」製品情報(シャープ) http://www.sharp.co.jp/products/sb831sh/

■関連記事
□PCメールやウィジェットに対応する「831SH」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/43747.html
□ハローキティモデルの「831SH KT」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/43751.html

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。

*「Yahoo!」および「Yahoo!」「Y!」のロゴマークは、米国Yahoo! Inc.の登録商標または商標です。
*「AQUOS」「AQUOSケータイ」「スマートリンク」「ベールビュー」「VeilView」「リニアエッジ」「見せかけコール」「アークリッジ」は、シャープ株式会社の登録商標または商標です。
*microSDTM、microSDHCTMはSD Card Associationの商標です。
*FeliCaはソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。
*FeliCaはソニー株式会社の登録商標です。
*モバイルウィジェット、お天気アイコン、The PREMIUM、FULL TOUCH、インターネットマシン、ダブルナンバー、着デコ、きせかえアレンジ、 マルチジョブは、ソフトバンクモバイル株式会社の登録商標または商標です。
*SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは日本国およびその他の国におけるソフトバンク株式会社の登録商標または商標です。
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