ワンセグケータイの定番として、すっかり定着した感のあるSHシリーズのAQUOSケータイ。初代モデルから常に進化をリードしてきたソフトバンク向けのAQUOSケータイに、初の兄弟モデルとなる「AQUOSケータイ 822SH」が発売された。スリムに、ライトに、使いやすく進化したAQUOSケータイ 822SHの実機を見ながら、その内容をチェックしてみよう。-法林岳之執筆-  スリムに、ライトに、楽しく使える  SoftBank  AQUOSケータイ 822SH

SHブログ07冬

AQUOSケータイのもうひとつのカタチ

今回発売された、AQUOSケータイ「822SH」。920SHの兄弟モデルとして登場

 今やケータイの代表するエンターテインメント機能のひとつとして、人気を集めているワンセグ。そのワンセグをもっとも見やすいスタイルとして、開発されたのがサイクロイドスタイルであり、それを採用したのがシャープが開発するAQUOSケータイだ。薄型テレビでもっとも人気の高い同社の液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の名を冠したモデルは、ワンセグケータイの定番として、すっかり定着しつつある。

 AQUOSケータイは、2006年5月の旧ボーダフォン時代に発売された「905SH」が初代モデルだ。ワンセグケータイとしては当時の3事業者向けの端末の内、もっとも後発という立場だったものの、サイクロイドスタイルのユニークな機構と視覚的に見やすく、わかりやすいデザインが支持され、またたく間にワンセグケータイのトップシェアを獲得した。905SHで得られた人気は、MNP商戦開始時の2006年11月に発売された2代目「SoftBank 911SH」に受け継がれ、AQUOSケータイはワンセグケータイの定番的な存在になっていく。2007年6月に発売された3代目モデルの「912SH」は、3インチのワイドVGA液晶や3.2Mピクセルカメラの搭載など、ソフトバンクのラインアップにおいて、フラッグシップモデルに位置付けられるスペックが与えられたことで、ハイエンドユーザーにも満足できる高機能モデルへと進化を遂げた。

 そして、2007年11月には従来の3モデルで培われた機能やハイスペックの仕様を受け継ぎながら、約18mmのスリムボディに凝縮した「920SH」を発売し、市場で好調な売れ行きを記録している。3Gハイスピードや3.2インチフルワイドVGA液晶に加え、国際ローミング対応や多彩なワンセグ機能、サイクロイドスタイルを幅広い機能に活用できるサイクロイドメニューを追加するなど、新しい時代のAQUOSケータイとして、着実に進化を遂げた充実のモデルに仕上げられている。

 今回発売された「AQUOSケータイ 822SH」は、この920SHと兄弟モデルとして開発されたものだ。基本的なスペックやデザインを同じものにしながら、必要な機能やスペックを絞り込むことで、誰でも手軽に扱えるAQUOSケータイの普及モデルとして、開発されている。AQUOSケータイの最新モデルの単なるバリエーションということではなく、幅広いユーザーに気軽にAQUOSケータイの良さを体験してもらうための「もうひとつのAQUOSケータイ」という位置付けだ。

2006年5月発売初代AQUOSケータイ「905SH」。サイクロイドスタイルにより、ワンセグケータイのトップシェアを獲得

2006年11月発売の2代目 「911SH」。MNP商戦開始時に発売し、ワンセグケータイの定番となる

2007年6月発売の3代目 「912SH」。フラッグシップモデルに位置づけられ、高機能モデルへと進化

2007年11月発売 「920SH」。国際ローミング対応、サイクロイドメニュー追加。今冬のソフトバンク向けSHシリーズのハイエンドモデル

AQUOSケータイ史上最軽量ボディ

AQUOSケータイの特徴である「サイクロイドスタイル」を採用している

ボディ設計を見直し、約18mmの薄さを実現。最薄部は14.7mmとなっている

クリアで質感の高い仕上げ

 AQUOSケータイの特長といえば、やはり、サイクロイドスタイルという独特の機構にある。サイクロイドスタイルは通常の折りたたみデザインをベースに、ディスプレイ部を回転させることで、ワンセグなどを横画面で視聴しやすくしている。しかし、その回転するメカニズムのため、端末を折りたたんだ状態ではヒンジ側がボタン部、ディスプレイ部、ディスプレイを支えるアーム部分の3枚が重なるような構造となる。そのため、従来モデルでは本体を折りたたんだ状態での厚さが22〜23mm以上と、最近のケータイのトレンドである薄型化に追従することは、なかなか難しいのではないかと考えられていた。

 今回発売されたAQUOSケータイ 822SHは、AQUOSケータイ 920SH同様、ボディ設計などを見直すことにより、約18mm※2という薄さを実現している。先端部分の最薄部は14.7mm、ボタン部の幅も操作時に持ちやすい49mmに収めることで、使いやすく、持ちやすいデザインにまとめている。

 トップパネルはAQUOSケータイ 920SHがソリッドなイメージで仕上げられているのに対し、AQUOSケータイ 822SHはクリアで質感の高いボディに仕上げられている。ボディカラーもブラックやゴールド、ホワイトシルバーといった上品なイメージのものに加え、ライトブルーやピンクといった明るいイメージのカラーもラインアップされており、AQUOSケータイをカジュアルに持ちたいユーザーの期待にも応えている。

 また、スペック的にはオールインワンを目指したAQUOSケータイ 920SHに対し、AQUOSケータイ 822SHは必要な機能を絞り込み、バランスを重視した構成となっている。その結果、ボディ重量については、AQUOSケータイ史上最軽量※1となる約120gを実現している。

※1 AQUOSケータイの比較において。2007年12月3日現在(シャープ調べ)
※2 折りたたみ時、突起部を除く。

気軽にワンセグを楽しめる機能も充実

液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を応用した「NewモバイルASV」液晶を採用

「明るさセンサー」や「シーン別明るさコントロール」で、周囲の環境や視聴中の映像に合わせてバックライトを調整できる

ワンセグ視聴中でも二画面表示でマルチタスク動作が可能

 バランスを重視した構成とは言うものの、AQUOSケータイ 822SHはワンセグを気軽に楽しむための機能が充実しており、ワンセグケータイの定番モデルに相応しいスペックを実現している。

 まず、シャープのお家芸でもある液晶ディスプレイについては、液晶テレビ「AQUOS」で培われた技術を応用した「NewモバイルASV」液晶を採用する。液晶本体と前面パネルを密着させたリフレクトバリアパネルを採用することにより、太陽光などの乱反射を軽減させ、色再現性に優れた「6色カラーフィルタ」との相乗効果により、屋内外できれいな映像を楽しめるようにしている。バックライトについても「高演色バックライト」を採用し、NTSC比120%の高い色再現性を実現している。進化した「SV(SuperVivid)エンジン+」では従来の映像調整にテレビと同様の色調整を加え、周囲の環境や視聴中の映像に合わせてバックライトを調整する「明るさセンサー」や「シーン別明るさコントロール」も採用しており、ワンセグ視聴時の動画コントラスト2000:1※3という高コントラストと色鮮やかな映像を実現している。番組のジャンルに合わせて映像を調整するAVポジションは「標準」「ダイナミック」「映画」のモードから選択できるうえ、ワンセグの番組情報データに連動する「ジャンル連動」に設定しておけば、視聴する番組に合わせた設定が活かされるようにもできる。従来のAQUOSケータイでも十分に美しい映像を楽しむことができたが、AQUOSケータイ 822SHのNewモバイルASV液晶を中心とする映像環境は一段と強化されており、ワンセグを視聴すれば、その違いをハッキリと体験できるほどの進化を遂げている。

 実際に利用する上での機能も充実している。まず、番組表からの予約録画、視聴中の番組のワンタッチ録画、くり返し録画に対応しており、予約録画については予約時刻が近づいたときに画面表示とアラームで知らされ、録画予約中のワンセグの感度をスモールライトの色で確認できるようにしている。ワンセグ視聴中の着信については、音声着信は[開始]ボタンでそのまま、応答することができ、メールについても画面上にテロップのように、着信した情報が表示される。AQUOSケータイ 920SHと違い、音声着信時のタイムシフト再生には対応していないが、ワンセグの連続視聴が約6時間、連続録画が約5時間とAQUOSケータイ 920SHを上回っており、たっぷりとワンセグを楽しめるようにしている。ちなみに、ワンセグ視聴中のマルチタスク動作も可能で、メールの送受信や新規作成、アドレス帳の参照などを二画面分割表示でも操作できるようにしている。

 また、ケータイを目覚し代わりに利用するユーザーのために、あらかじめ設定した時間にワンセグの視聴を開始できる「お目覚めTV」機能が新たに搭載されており、最大5件まで設定しておくことができる。逆に、寝るときの「おやすみテレビ」的な使い方もできるように、10分/30分/60分/120分の範囲で自動的にワンセグをOFFにする「オートオフ設定」もできる。

※3 デジタルTV視聴時においてシーン別明るさコントロール設定ONの時

サイクロイドメニューで使い勝手を向上

サイクロイドメニュー「TV」

サイクロイドメニュー「AV」

サイクロイドメニュー「INTERNET」

 AQUOSケータイではディスプレイを回転させる操作とワンセグの起動を関連付けていたため、サイクロイドポジションに切り替えるだけで、簡単にワンセグの視聴を開始することができた。これは初代モデルから一貫した操作性の特長でもある。極端な話をしてしまえば、メールやYahoo!ケータイの操作をまったく知らなくてもワンセグの起動だけなら、それこそ、幼児でも操作できてしまうほど、簡単だったわけだ。

 しかし、このディスプレイを回転させるという操作をワンセグの起動だけに利用するのは、もったいないという考えもあり、今回のAQUOSケータイ 822SHでは920SH同様「サイクロイドメニュー」と呼ばれるメニューを用意することで、頻繁に使う機能をすぐに呼び出せるようにしている。サイクロイドメニューでは従来通りのワンセグの起動のほか、「TV」「AV」「INTERNET」の3つのカテゴリーに分けたメニュー、メール受信ボックス表示、カメラ/ビデオ起動、メインメニュー、Off(待受画面)を選べるようにしており、自分の好みの設定をしておくことができる。「TV」「AV」「INTERNET」の3つのカテゴリーのメニューは方向キーの上下で切り替えられる。

 自分好みにできるという点では、SHシリーズでおなじみのカスタムスクリーンにも対応しており、横画面の待受画面やメインメニューなども含め、トータルでカスタマイズをできるようにしている。カスタムスクリーンのデータについては、専用サイト「カスタモ」から直接、ダウンロードすることができる。ダウンロードで購入したデータは、ダウンロード時のみの課金となるため、同じ機種を使い続けている限り、新たに課金されることなく、使い続けることが可能だ。

 ユーザーインターフェイス関連では、SHシリーズが従来モデルから搭載している「シンプルメニュー&でか文字設定」が継承されている。はじめて電源を入れたとき、機能を絞り込んだ「シンプルメニュー」、スタンダードな「標準メニュー」、すべてのメニューで文字サイズを大きく表示する「でか文字メニュー」のいずれかを選ぶ画面が表示され、そこで選んだ設定が反映されるしくみだ。一度、設定した後も待受画面で[TV/文字]キーを長押しすれば、切り替えることができる。

 ワンセグと並ぶエンターテインメント機能のひとつである音楽再生については、従来モデルからサポートされてきたノンセキュアのAAC形式、SD-Audio規格に準拠したAAC形式、着うた®/着うたフル®に加え、新たにWindows®での標準形式であるWindows Media® Audio(WMA)にも対応する。WMA対応はソフトバンクが提供する「S!ミュージックコネクト」で利用可能になるもので、アプリケーションはソフトバンクのサイトからダウンロードできる。AQUOSケータイ 822SHと接続するUSBケーブル(別売)とmicroSD™メモリーカード(別売)を用意すれば、音楽CDから取り込んだ楽曲データを端末に転送し、楽しむことができる。

200万画素CMOSカメラを搭載。「シーン別撮影」や「名刺読み取り機能」など多彩な機能を搭載

 カメラは最大1200×1600ドットの静止画、320×240ドットの動画を撮影できる200万画素CMOSカメラを搭載する。夜景やスポーツが選べるシーン別撮影、連写、接写などの機能も備えており、水平・垂直方向に動かして撮影するパノラマ撮影、新聞記事やホワイトボードの必要な部分だけを読み取れるスキャナ撮影などの機能も利用できる。カメラ周りで注目できる機能としては、ビジネスにも役立つ「名刺読み取り機能」だろう。SHシリーズの2007年夏モデルの一部から採用されている機能だが、名刺をカメラで撮影すれば、そこに印刷されている名前や住所、メールアドレスなどを認識することができ、読み取った内容をそのまま、アドレス帳に登録できるというもので、非常に重宝する。また、英文の名刺読み取りにも対応している。

 同様に、ビジネスに役立つ機能としては、フルブラウザの「PCサイトブラウザ」、オフィス文書などを読み込むことができる「ドキュメントビューア」が用意されている。HSDPA方式による3Gハイスピードに対応し、下り方向で最大3.6Mbpsの高速通信ができるため、PCサイトブラウザも快適に利用することができる。ちなみに、PCサイトブラウザはソフトバンクの通信料定額制「パケットし放題」の対象となるため、上限額の5985円(税込)の範囲内で利用できる。

カメラやワンセグ、音楽再生をライトに使いたいユーザーにおすすめ

 ワンセグケータイの定番的存在として、市場をリードし、定着したAQUOSケータイ。ソフトバンクの数あるラインアップにおいても常に注目される人気モデルだが、現在は人気モデルであると同時に、ソフトバンクのラインアップのフラッグシップモデルに位置付けられているため、求められるスペックや機能も一段と高くなっている。

 そこで、AQUOSケータイをもっと幅広いユーザーに気軽に使ってもらえるように企画されたのが今回紹介したAQUOSケータイ 822SHだ。同時に発表されたAQUOSケータイ 920SHをベースに、必要とされる機能やスペックを絞り込むことで、誰もが気軽に手にできるモデルとして仕上げられている。「AQUOSケータイは欲しいけど、使いこなせるかな?」「多機能すぎて……」「価格がちょっと心配」と躊躇していたユーザーにもおすすめできるバランスのいいモデルと言えるだろう。



カラーバリエーションは全5色。左からブラック、ゴールド、ライトブルー、ピンク、ホワイトシルバー

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows Vista」「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。「ケータイならオレに聞け!」(impress TV)も配信中。asahi.comでも連載執筆中

■関連情報
□「822SH」製品情報(ソフトバンク) http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/822sh/
□「822SH」製品情報(シャープ) http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/821sh/

■関連記事
シャープのソフトバンク向け冬モデル開発者インタビュー

□3インチ液晶のAQUOSケータイ「822SH」
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/36819.html

□プレミアムなモデルをラインナップしたソフトバンクの冬モデル
 http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/mobile_catchup/36852.html

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*3G HighSpeed、S!メール、カスタムスクリーン、S!ミュージックコネクト、PCサイトブラウザはソフトバンクモバイル株式会社の登録商標または商標です。
*「Yahoo!」及び「Yahoo!」「Y!」のロゴマークは、米国Yahoo! Inc.の登録商標または商標です。
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*「アクオス」及び「AQUOS」「AQUOSケータイ」「サイクロイド」「Cycloid」「サイクロイドスタイル」「リフレクトバリア」「リニアエッジ」はシャープ株式会社の登録商標または商標です。
*着うた®、着うたフル® は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの登録商標です。
*WindowsはMicrosoft Windows operating systemの略称として表記しています。
*Windows、Windows Mediaは、米国Microsoft Corporationの米国及びその他の国における登録商標です。